月: 2021年10月

もうひとつの「死の川」fiume mortoみっけ:オスティア謎めぐり(16)

 テヴェレ川関係をググっていて、以下の書き込みを発見(https://www.montinvisibili.it/Ansa%20morta%20Tevere)。表題は「テヴェレ川の死の曲がり角」Ansa morta del Tevere

 てっきりオスティア・アンティカ付近の1557年の大湾曲部分の切断のことだと思って読み出したのだが、・・・なんか変だ・・・。

 掲載のGoogle Earthの地図がなぜか湾曲が真逆になっているしと思っていると、測量図的な地図も出てきて湾曲部分の真ん中を「G.R.A.」が横切っているではないか。それは首都ローマの回りを走る高速道路「ローマ大環状線」のことなので、こりゃ違うぞと。

 調査の結果、この場所をテュレニア海の河口から遡上させると、下記の画像の右上となり、遺跡から直線距離で11.5km、逆にそこからローマ市内のフォロ・ロマーノまで直線距離で11km。まあ、帝都ローマから河口までの中間点。現在自然公園化されていて、この湾曲に沿ってサイクリング道があるそうで、それ関連の写真もいっぱい出てきた。こんな場所があったこと、これまで全然しらなかった。

                     右上の青色に注目せよ ↑

 ところで、先にこの「もう一つ」に触れてしまったが、我らの本命の「死の川」についてはまた別に紹介したい。

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努力するのではなく、楽しむべし

 大谷翔平が大ブームである。私でさえ、明け方まで夜更かししていて、朝11時頃目が覚めるので、テレビでMLBをみるのがすっかり習慣化してしまった。「彼、試合に出ているのがとにかく楽しいんですよ」という解説者の声が印象的だった。

 その延長でググっていて以下が眼にとまった。創造力の源泉はこれなのだ。いずれも有料記事であるが。

「流れ星の大出現、中学2年生が独自発見 専門家「涙が出るほど感動」」
https://digital.asahi.com/articles/ASPB27DZMP9VULBJ008.html?pn=12&unlock=1#continuehere

「カブトムシの常識、埼玉の小6が覆す 世界的雑誌に論文」
https://digital.asahi.com/articles/ASP5P5VLDP5MULBJ00G.html?iref=pc_rellink_01

「(大人も自由研究)子どもと一緒にカブトムシハント 夜か早朝、ドングリの木を狙え」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14579776.html?pn=3

 現実問題としては、努力しなければ楽しむこともできないのだが、時間を忘れての努力とは楽しんでいる、ということなのだろう。だったら、最近の私も、研究を、人生を楽しんでいる、といっていいのかも知れない。現役時代にはそう考える余裕もなかったような気がするが。

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上級市民が実在する我が祖国

 いまさらで、しかも論がぶっ飛んでいて若干脱線気味だが、警察の忖度を十分なる庶民レベルから論じた以下が面白かった。「日本のマスコミは死んだ。忖度で大出世の中村格警察庁長官にベッタリのTV局」(https://www.mag2.com/p/news/513597/1)。

 古代ローマ史で後211年以降では、奴隷と外国人以外はみな一応「ローマ市民」となったことになっている。まあ自由身分と認知されたわけであるが(それにより税収増加が企てられていたという説が主流だが)、それを聞いたり読んだ人は「みな法的に平等になった」と誤解してしまう。だけどそんなことは決してなかったのが現実で、支配身分の元老院身分や騎士身分はちゃんと機能していた、「上級市民」honestioresとして。

 現代日本でもそれは厳然と存在していて、そういうことは他ならぬTVでの刑事物番組ではいつも出てくる話で(テロップでは「すべて創作」と断り書きさるのがお約束であるが)、私のようなぼんくらは「そんなこと実際にあるのかな、とりあえず自分には無関係」と思って慣れっこになっているのだが、今回の記事は、警察が意図していたかどうかは別にして(前例の積み重ねがあったからには違いないが)結果的にそうなっているメカニズムを指摘しているところは面白かった。

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児童虐待報告:世界キリスト教情報第1602信:2021/10/4

= 目 次 =

▼聞くことを学ぶ=2022年度の「世界広報の日」
▼仏カトリック教会の児童虐待、司祭ら約3000人関与
▼アフガニスタンに医療物資32トン到着
▼欧州のサンマリノ、中絶合法化へ住民投票で賛成多数
▼ギリシャ・クレタ島で強い地震、1人死亡

 今日は2番目だろう、やっぱり。しかし、ここまでやられると、なにもカトリックに限ったことではないのかも、とつい思ってしまっている私がいる。

◎仏カトリック教会の児童虐待、司祭ら約3000人関与
【CJC】仏カトリック教会内での児童性的虐待問題を調査する独立委員会は10月3日、1950年以降に児童を虐待していた司祭や教会関係者が2900人から3200人に及ぶことをAFP通信に明らかにした。

 独立調査委は2018年、国内外の教会を揺るがした児童性的虐待スキャンダルを受けて仏カトリック教会が設置した。法律家や医師、歴史学者、社会学者、神学者ら22人で構成されている。

 2年半にわたり教会や裁判所、警察の記録の調査と目撃者への聞き取りを行った結果をまとめた報告書は、5日に発表される予定。

 報告書の公開を前にAFP通信の取材に応じたジャンマルク・ソベ委員長は、この数字は「最も少なく見積もった」結果だと述べた。□
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最近の海中考古学情報

 久々にArchaeological News Networkを覗いてみた。幾つか最新情報が目についたが、中でも以下が興味深かった。

 「エガディ諸島の戦いで発見された2つのブロンズ製軍艦ラム」(

https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2021/09/two-bronze-warship-rams-discovered-at.html

 この記事は第1次ポエニ戦争に決着をつけた「エガディ諸島の海戦」(前241年3月10日)での2021年夏の調査で、新たに青銅製の2つの衝角(ラム)その他が発見されたという報告である。今回の調査ではその他にも、戦闘時に弾丸として使用された鉛製のスリンガー弾数十発、青銅製のヘルメットや頬当て数個、ローマ時代やヘレニズム時代のギリシアのコインなどが発見されたらしい。すべてがあの海戦の遺物だとすると、噂に違わぬ大海戦だったわけだ。とはいうものの、あのブログに掲載されているのは海上に引き揚げられた衝角の写真だけだった。もっと詳しく知りたいものだ。

 以上はこのプロジェクト16年目の成果で、それ以前には古代の衝角はなんと2つしか発見されていなかったものが、これで25個を数えるに至った由。なかなかの成果だが、だれかまとめて紹介してくれているのだろうか。

軍艦に装着された衝角想定図                海戦想像図

 しかも今般、副産物的に、後4世紀前半のアンフォラ(現ポルトガルのルシタニア製とスペイン・バエティカ製)を輸送していた難破商船さえも発見した由。こっちも知りたいものである。

 しかしこういう情報に接するたびに疑問に思うのだが、なぜ我が国の共和政ローマや海軍史やっている研究者(およびその周辺、院生など)がまともに紹介しようとしないのか、ということである。

 そんなこんなで、もっと詳しい情報はないかとぐぐってみたら、2017年度の報告がアップされていた(https://www.realmofhistory.com/2017/10/31/battle-egadi-islands-punic-war-rams/)。ここではなぜかそれをうまくアップできなかったので、YouTubeを掲載しておこう(あれ、後からみたらアップされてたのは、なぜ? 今度は余分な二つ目の消し方がわからん;あ、なんとか消せたぞ:以上、アップ時の独り言でした)。

https://www.realmofhistory.com/2017/10/31/battle-egadi-islands-punic-war-rams/
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