月: 2023年1月

世界キリスト教情報第1671信:2023/1/30

 どうやら今回から情報の提示方法が変わったようなので、試しに全文転載する。

《ハイライト》
◎2023年度「世界広報の日」に向け教皇メッセージ
【CJC】教皇フランシスコは、カトリック教会の2023年度「第57回世界広報の日」のためのメッセージを発表した。バチカン・ニュース(日本語版)によって紹介する。

 「世界広報の日」は、様々な形のメディアを通して行う福音宣教について、教会全体で考え、祈ることを目的とするもので、毎年、聖霊降臨の前週の日曜日(2023年度は5月21日)に、一方、日本の教会においては復活節第6主日(今年は5月14日)に行われる。

 これに先立ち、毎年、ジャーナリストの保護者、聖フランシスコ・サレジオ司教教会博士の記念日1月24日に、教皇によるメッセージが発表された。

 教皇はこれまでの「来て、見なさい」、「心の耳で聴く」といったテーマに続き、今年は「『愛に根差した真理に従い』心を込めて話す(参照=エフェソ4・15)」(仮訳)を選ばれた。

 メッセージで教皇は、「行く、見る、聞くようにわたしたちを動かすのは心である。心が開かれた、受容的なコミュニケーションを行わせる」と述べている。

 そして、耳を傾けることを学んだ後、対話と分かち合いを発展させたもの、すなわち心のこもったコミュニケーション、愛に根差した真理に従った会話を学ぶよう教皇は招いている。

 イエスは、「木はそれぞれ、その結ぶ実によって分かる」(参照=ルカ6・44)。

 「善い人は良いものを入れた心の倉から良いものを出し、悪い人は悪いものを入れた倉から悪いものを出す。人の口は、心からあふれ出ることを語るのである」(参照=ルカ6・45)と言われた。

 それゆえ、わたしたちが「愛に根差した真理」に従って語るためには、自らの心を清める必要がある。純粋な心で聞き、話してこそ、わたしたちは外見の奥にあるものを見、混乱した騒音を克服することができる、と教皇は述べている。

 心を込めて伝えるとは、読む人、聞く人に、今日の人々の喜びや恐れ、希望や苦しみに対するわたしたちの分かち合いを理解してもらうことである。このように話す人は、相手を大切に思い、その自由を尊重する、と教皇は言う。

 このようなコミュニケーションのために、教皇は、イエスが十字架上の死を遂げた後、エマオへ向かう弟子たちに話しかけた不思議な「旅人」をモデルとして示している。

 復活されたイエスは、悲しむ弟子たちの歩みに尊重をもって付き添いながら、心を込めて話しかけられる。実際、弟子たちは、その「旅人」と話しながら、「心が燃える」(参照=ルカ24・23)のを感じていた。

 分極化や対立の構図が目立つこの時代、教会共同体でさえもその影響を受けていないとはいえない。このような中、「心から」「広げた両腕から」のコミュニケーションのための努力は、情報にたずさわる者たちだけでなく、すべての人の責任でもある。教皇は、わたしたち皆が、真理を語り、それを愛をもって行うよう召されている、と述べる。

 教皇は、「心を込めて話す」ことの最も輝ける模範を示した人として、帰天400年を迎えた聖フランシスコ・サレジオ司教・教会博士を挙げられた。そして、同聖人の柔和で、人間性にあふれ、反対者をも含むすべての人と忍耐強く対話する姿勢は、神のいつくしみの愛のすばらしい証しとなった、と思い起こされた。

 「心は心に語る」という同聖人の言葉は、世代を超えた多くの人に影響を与えた。その一人である、ジョン・ヘンリー・ニューマンは、この言葉をモットーに選んだ。教皇はニューマンの「よく話すためには、よく愛するだけで十分である」という言葉を引用されている。

 聖フランシスコ・サレジオの、「わたしたちが伝えるのは、わたしたちそのものである」という教えに触れつつ、教皇は、今日のソーシャルメディアが、ありのままの自分ではなく、「かくありたい自分」を伝えるために利用されていることをも指摘している。

 教皇は、この「優しさの聖人」から、真理を勇気と自由をもって語り、物々しい攻撃的な表現を用いる誘惑を退けることを学ぶよう勧めている。

 教皇は、教会においても耳を傾け、また耳を傾け合うことの必要が大いにある、と述べ、心に灯をともし、心の傷に塗る香油となり、兄弟姉たちの歩みの光となるコミュニケーションの構築を急務として提示された。

 そして、教皇は、聖霊に導かれた、親切で、同時に預言的な、第三千年期にふさわしい新しい福音宣教の在り方を見い出し得る、教会のコミュニケーションを望まれた。

 「穏やかに語る舌は骨をも砕く」(箴言25・15)。「心を込めて話す」ことは、戦争のある場所に平和の文化を推進し、憎しみと敵意が荒れ狂う場所に対話と和解の道を開くために、またとなく必要とされている、と教皇は強調。

 世界的な紛争を生きる今日の劇的状況において、対立的でないコミュニケーションを確立することが求められている、と述べている。

 教皇は、対話に開き、統合的な軍縮を進め、闘争的な心理状態を解くことに努力する伝達者の必要を説きつつ、聖ヨハネ23世の次の言葉を示された。「真の平和は、ただ相互の信頼のもとにのみ築くことが可能である」(回勅=地上に平和を)。□

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◎エルサレム礼拝所銃撃で7人死亡=イスラエル・パレスチナ間で暴力の応酬続く

【CJC】東京新聞カイロ報道によると、イスラエル占領下の東エルサレムにあるユダヤ教の礼拝所で1月27日夜、銃撃事件があり、付近にいた通行人ら少なくとも7人が死亡、3人がけがをした。28日朝にも東エルサレムの旧市街近くで銃撃があり、ユダヤ人2人が重傷を負った。

 イスラエル当局によると、礼拝所を銃撃したのは、東エルサレムのパレスチナ人の男(21)。車で現場に到着後、建物や通行人に向けて銃を乱射し、その後射殺された。ネタニヤフ首相は事件後に現場を訪れ、「近年で最も深刻な事件の一つで、決意と冷静さを持って行動しなければならない」と述べた。

 イスラエルでは昨年末、ネタニヤフ氏率いる右派リクードや極右、ユダヤ教政党など6党による新政権が発足。直後に国家治安相の極右政党党首が、エルサレム旧市街にあるイスラム教とユダヤ教の共通の聖地を訪れるなどし、パレスチナ側が猛反発していた。

 イスラエル軍はパレスチナ人への取り締まりを強め、26日には占領下のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸ジェニンの難民キャンプを急襲し、過激派組織「イスラム聖戦」と交戦。パレスチナ人9人が死亡、約20人が負傷した。その後、パレスチナ自治区ガザのイスラム主義組織ハマスがイスラエルにロケット弾を撃ち込み、イスラエル軍は27日に報復の空爆を実施した。□

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◎スペイン南部で教会を刃物で襲撃、聖職者1人死亡=テロ疑い容疑者拘束

【CJC】パリ発共同通信によると、スペイン南部アルヘシラスで1月25日、男が複数のキリスト教会や周辺で人々を大型の刃物で襲い、教会関係者1人が死亡、聖職者1人を含む4人が負傷した。捜査当局は男を拘束し、イスラム過激思想の影響を受けたテロの疑いがあるとみて動機を追及する。スペイン通信(EFE)などが伝えた。

 男はモロッコ国籍のヤシン・カンサ容疑者とされる。目撃者の話によると犯行時に「アラー(イスラム教の神)」と叫んでいたという。

 スペインのサンチェス首相はツイッターで、死亡した教会関係者の遺族へ弔意を表明し、当局の捜査を全力で支えると訴えた。□

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◎ウクライナ東部ソレダルで抗戦続く=「ロ軍に大きな損害」とゼレンスキー大統領

【CJC】キーウ/ソレダル近郊(ウクライナ)発ロイター通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は1月12日のビデオ演説で、東部ソレダルのウクライナ軍は陣地を維持しており、ロシア軍に大きな損失を与えていると述べた。

 ゼレンスキー氏は、ソレダルの2部隊に対する感謝を表明し、「持ち場を死守し、敵に大きな損失を与えている」と述べた。詳細は明らかにしなかった。同氏はまた、ウクライナ軍の上級司令官と会談し、ソレダルや周辺地域の戦闘に対する増援などについて詳細に分析したと述べた。

 ロシアのプーチン大統領の盟友が経営する民間軍事会社ワグネル・グループは、ソレダルを制圧したと宣言していた。

 ロシアが任命した現地当局者はオンライン放送で、ソレダルには「幾つか小さな抵抗地区」が残っていると述べた。米当局者は、ソレダルでのロシア勝利が事実だとしてもその重要性を疑問視している。

 米国家安全保障会議(NSC)のカービー報道官はホワイトハウスで記者団に「(近郊の要衝)バフムトとソレダルの両方がロシア側に落ちたとしても、戦争自体に戦略的な影響を与えることはないだろう」と述べた。

 東部ドネツク州のキリレンコ知事は国営テレビに対し、15人の子どもを含む559人の民間人がソレダルに残っており、避難することができないと述べた。□

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◎教皇出席の「世界青年の日」ミサ向け7億円余の祭壇支出に激しい批判

【CJC】ポルトガルの首都リスボンで今夏8月1~6日に行われるカトリック教会の行事「世界青年の日」を巡り、教皇フランシスコが出席するミサで使用される祭壇設置に市が500万ユーロ(約7億円)余り拠出すると発表され、交流サイト(SNS)で激しい批判が巻き起こっている。リスボン発ロイター通信報道を紹介する。

 カルロス・モエダス市長は「祭壇の詳細は当局と教会、バチカン(ローマ教皇庁)との話し合いで決定した」とした上で、「非常に高額な」行事だと認めた。

 SNSでは、インフレ加速の中で祭壇にこれほど高額な支出を行うことに数千人が市長批判を投稿。革新系である左翼ブロックの議員はツイッターに「問題は資金不足でなく支出の優先順位だ」と投稿した。

 統計局によると、リスボンの家賃は2017年から53%上昇しているが賃金は依然低水準で、労働省によると昨年は労働者の半分以上が月給1000ユーロ以下だった。

 「世界青年の日」には、世界から数十万人の青年が参加する。□
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ミラノ・プラダ財団の展覧会でのコンスタンティヌス大帝巨像:2023/1/31-2/19

 ウェブをググっていたら偶然見つけた。「Reimpiegare l’antico. La mostra alla Fondazione Prada di Milano」(https://www.artribune.com/arti-visive/archeologia-arte-antica/2023/01/reimpiegare-antico-mostra-fondazione-prada-milano/):別名Recycling Beauty

 この展覧会は2023/1/31-2/19に、ボローニャで開催されるらしい。私はもちろん行くことはできないが、そこでの展示の中にコンスタンティヌス大帝の巨像のレプリカもあるらしいので、それをメモっておく。

 思い起こせば、かつて2007年にトリーアを訪問したときにちょうど大展覧会が開かれていて(http://pweb.sophia.ac.jp/k-toyota/atelier/constantinus_1700.pdf)、そこで目撃した記憶のある大帝巨像はその後どうなったのかとずっと思っていた。それと同一かどうかは不明なうえに、あてにならない私の記憶とはイメージがちょっと違っている気もする【まったく別のものと判明】。しかもこの写真やたら広角で撮っていてかなりいびつな感じがするが、ともかくその前に立っている女性との対照で、その巨大さが伝わってくるだけの意味あるわけだ。

周囲の壁の窓の形は、もちろんフォロ・ロマーノの新バシリカを模しているのだろう。

 その後ぐぐっていて、Factum Foundationによる本巨像複製作業工程の詳細を知ることができた。それだけでも一見に値するはずだ。特に冒頭の3D再現映像が奇をてらっていて面白い。https://www.factumfoundation.org/pag/1890/re-creating-the-colossus-of-constantin

 ただ、コンスタンティヌスの後頭部は壁に接着されて平べったくなっていたはずのところ、今回の復元像では若干猫背になっているのは参考資料とされたユピテル神としてのクラウディウス像の影響によるものか。いずれにせよ、この展覧会のカタログあれば見てみたい。

【後日談】

古書で発注できました。新本90+送料20ユーロのところ、英国経由なので総計67.05ポンド、¥10600程度でした。現地の書店だと新本割引きで半額くらいになっていたりするのは知っているけど、なにせ重たいので旅行者には負担です。

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ウクライナ”異聞”:腐敗国家が多すぎる

 相対的な事実を知ることが重要である。知る人ぞ知る事実がある。これにようやく我が国のマスコミも触れ出したのも戦闘の中だるみのせいだろう。これに触れると、軍事的援助への意欲が失われるはずなので、これまで善玉ウクライナをさんざ宣伝してきたマスコミだったのだが。

 2023/1/29づけでBBC Newsが以下を報じている。「ウクライナのもう一つの戦争、汚職:ゼレンスキー氏の対応は」(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/29280?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=20230130)

 汚職まみれだということは、ウクライナ人のみならず、西欧にもかねて周知のことで、これまでNATO加盟が拒否されてきたのもそのせいだ。国家存亡の危機と報道されている今次の戦争でも相も変わらずうごめいている連中にこと欠かないのが現実なのだ。桝添要一「西側に戦車提供を求める裏で汚職まん延、ウクライナの「裏切り」」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73713)

 しかしこれは何もウクライナだけではない、我が祖国においても新コロナ対策に群がっている輩は多数いる。検挙されるのは氷山の一角で小物ばかり、その裏で巨悪が肥え太っているのは、オリンピックがらみの利権つまみ食いでも明らかなのだが。挙げ句が防衛費倍増ときたもんだ。

 国際腐敗認識指数という統計がある(腐敗認識指数 国別ランキング・推移:

https://www.globalnote.jp/post-3913.html)。それによると、2022年では、180ヶ国中、ウクライナ116位とか。日本は18位、アメリカは24位、イタリアは41位といった感じなのだが、ロシア137位なので、ウクライナはまだ立派と言えるかも。否、中国が65位なのだから、ロシアがだらしなさすぎるというわけか。投獄されていても金次第でゴルフに行けるなどと最近何かと話題のフィリピンでもなんと116位で、おおウクライナと同率とは。逆にいうと、ウクライナもその程度なのである。

赤色が濃いほど、腐敗レベルが高い:https://ja.wikipedia.org/wiki/腐敗認識指数#/media/ファイル:Indice_de_Percepción_de_corrupción_2019.jpg

 しかしこの地図を見ると、腐敗国家のほうが普通で、清廉潔白とされる国のほうが例外なんだ、いやいやそんなに現実は甘くない、この統計だって裏があるのでは、と疑わざるを得ない気がしてならないが、公務員にろくな給料を支払っていない脆弱な国家システムの国では、当然のこと許認可の書類提出ごとにリベートを要求されちゃうというあたりが真実なのであろう。

 ということは、現在の地球上でも「国家」の体をなしていない国家が大部分だ、ということなのであろう。それを建前的に思い込まされている常民の、なんと哀れなことか。

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スコトーマのはずし方とシャープール1世レリーフ

 小日向文世主演のテレビドラマ「嫌われ監察官音無一六」を見ていると決め言葉に「スコトーマ」scotomaがよく登場してくる。この言葉はもともとギリシア語で「暗闇」の意味だが、眼科で「盲点」という医学用語として使用されてきた。それが近年医学のみならず心理的作用で生じる「心理的盲点」にも使用されるようになったらしい。

 私は緑内障を患っているのだが、この病気は視神経がダメージを受け視野が狭くなっていく病気で、それが眼圧等によって視神経が一般よりも早く減少していく場合、点眼薬で眼圧低下を処方されるわけだが、定期的に視野検査をすると視神経がすでに死んでいる部分が黒く明示される。だが実体験としては正常に見えているので気付きにくいわけだが、要するにすでに視神経は死んでいるのに見えているのは、実は脳が欠落部分を補っているかららしい。

 つまり、普段我々が見ている世界は、眼から取り入れた視角情報を脳で再現した、いわばヴァーチャルな世界といえるわけだ。人間の脳生理はこうした補完をなにげなくやり通しているわけだが、ご本尊の自分自身がそれで騙されていることに気づかないでいるという現実がある。

 我々はえてして見たいと思っていることだけ見てしまう、というのはこういった脳のなせる技なのであるが、実はそれが客観的であるべき研究という場においても生じがちであることを銘記すべきなのである。意外と落とし穴は多いのだ。私の研究で見るべきものがあるとしたら、その類いの研究成果が幾つかあると自負している。たとえば上智大学史学科編の『歴史家の〇〇』シリーズ掲載論稿とか、コンスタンティヌスの記念門とネロの巨像との関連、などなど。文書史料にちゃんと書いてあるのに、平板な読み込みのため読み手の先入見での見落としが意外と多いのである。最近もそれを思い起こす機会があった。気が向けばこのブログで言及してみるとして、今は題名だけ書いておくと、シャープール1世の対ローマ三重凱旋記念レリーフ、とりわけナクシュ・イ・ルスタムのそれに登場しているローマ人(皇帝)をどう同定するか、である。私は35年前にそれについて言及する機会があったのだが、相変わらず根拠のない誤った俗説が世間的に大手を振って流布している。これが現実なのである。

ナクシュ・イ・ルスタムのシャープール1世レリーフ全景      ローマ皇帝二名の表情:顎髭の有無に着目で決着のはず

 研究者に限ったことではないが、スコトーマの罠から脱出することが肝要となる。我らの日常語で表現するなら、先入見を捨てるよう努力するということで、その「外し方」の提要については、「スコトーマ」でぐぐればウェブ情報で同音異曲の解説に巡り会えるはずなので、ぜひご一読いただきたい。

 

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旧統一教会に軍事組織が?

 こんな物騒な情報が飛び込んできた。

 「有田芳生氏が暴露。旧統一教会「非公然軍事部隊」示す極秘資料」元情報2023/1/06,13{

https://www.mag2.com/o/magmag_official_newsletter/2023/0126.html):但し一部無料試し読み。

  1960年代後半から70年代にかけての大学世相(上記ブログで名前が出ているのは早稲田大学)としては、赤軍派などへの対抗手段として、反左翼勢力がそういった軍事組織の構想を考えていたことは十分あり得るので(三島由紀夫の楯の会を想起せよ)、私にはまんざら荒唐無稽とは思えないのである。 

 有田氏の有料メルガマ購読者になるべきかどうか、今悩んでいる。 
                  

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世界キリスト教情報第1670信:2023/1/23

≪ 目 次 ≫

▽韓国が最大労組に捜査=「北」指令で反政府活動の疑い
▽米国での差別撤廃「進展せず」=キング牧師の娘が演説
▽教皇、シノドス控え9月末にエキュメニカルな祈祷集会予告
▽教皇、フィンランドのエキュメニカル使節の訪問を受ける
▽教皇、ミャンマーでカトリック教会が放火、全焼したことに悲しみ表明
▽フランス人修道女のシスター・アンドレ死去=世界最高齢、118歳

 今回は、アメリカの宿痾である二番目を紹介する。
◎米国での差別撤廃「進展せず」=キング牧師の娘が演説
【CJC】ワシントン発共同通信によると、米公民権運動の黒人指導者キング牧師の功績をたたえる祝日の1月16日、末娘バーニス・キングさん(59)が南部ジョージア州アトランタで演説し、米国での差別撤廃は「ほとんど進んでいない」と訴え、いら立ちや失望をあらわにした。AP通信が伝えた。

 キング牧師が「私には夢がある」と演説したワシントン大行進から今年8月で60年となる。バーニスさんは人種差別のほか、警察の暴力や経済上の不公平、強硬な移民政策が見られると指摘。改善されない現状に「疲れ、いら立ち、失望した」と嘆いた。

 人種差別撤廃に取り組んだキング牧師は、ノーベル平和賞を受賞。39歳だった1968年に南部テネシー州で暗殺された。1月15日が誕生日であることにちなみ、1月第3月曜日が祝日に定められている。

 同日、首都ワシントンでは、黒人を中心とした参加者がキング牧師のイラストが入った横断幕を掲げて行進。ロシアによるウクライナ侵攻を念頭に「戦争反対」と抗議する人の姿も目立った。

 バイデン大統領は、ワシントンで開かれた公民権団体のイベントで講演した。自身が就任した2021年1月以降の2年を振り返って「私たちは多くのことを一緒にやり遂げてきた。このまま続けよう」と述べ、政権への支持を訴えた。□
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オスティア遺跡関連メモ:忘れへんうちに

 別件をググっていたらたまたまみつけたので、とりあえずメモしておく。

 ブログ投稿者:ほしがらす(自称「山姥」) 2006年から記事アップ。ご主人が山男だったので山に登るようになったと書いておられるが、コマ目に写真記録をアップされていて、私などワンゲルの行動中に写真を撮る余裕などなかったので、感心してしまう。

 その彼女が「忘れへんうちに 旅編」の2022/3/22から4/12にかけて四回に分けてオスティア訪問記が書かれている(https://hulule-hulule-voyage.blogspot.com/2022/03/blog-post.html)。なぜか出版年間違っているが、前年出版の堀賀貴氏の近著を参考文献に掲載しているのはさすがというか。

 それと、これは私の個人的好みなのだが、出色のガイドブック、ガリマール社が原本の『 ローマ―イタリア (〈旅する21世紀〉ブック望遠郷』同朋舎、1995年、を利用しているのにも好感が。この本、私もたいへんお世話になった(もう一つ挙げるとしたら、『イタリア旅行協会Touring Club Italiano 公式ガイド』全5巻、NTT出版、1995-97年、が情報量としては断トツ:両者ともあれから30年近く経つので、ホテルの料金など改訂新版が出てほしいところだが、バブル期末期のあの時代だからこその出版だったと思われるので、もう無理だろうなあ)。

 彼女の訪問記は、国外に限ってもキルギス、ウズベキスタン、ギリシア、東トルコ、イスタンブール、ポンペイ、ローマなどなどと多彩である。私はこれまでも時々見かけていて、並の観光旅行者ではないなと感心していたのだが(そのころはよもや女性とは思っていなかった)、今回はイラン関係でシャープール1世関係を検索していてたまたま引っかかった。それは2017/3からアップされている。キルギスやウズベキスタンを含め、このあたりの重厚さから彼女の興味の中心かと勝手に推測。

 

 

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世界キリスト教情報第1669信:2023/1/16:少年虐待疑惑の枢機卿死去

≪ 目 次 ≫
▽バイデン米大統領、キング牧師の教会で演説、分断解消呼びかけ
▽教皇「核の脅威の下では全員が敗者」=駐バチカン外交団との集いで発言
▽コンゴの教会、日曜礼拝中に爆発、10人死亡
▽東部ソレダルで抗戦続く、ロ軍に大きな損害=ゼレンスキー氏
▽フィリピンで「ブラックナザレ祭」3年ぶり開催
▽オーストラリアのジョージ・ペル枢機卿死去=少年虐待で逆転無罪

 今回は最後の情報を。真実はいかに。

◎オーストラリアのジョージ・ペル枢機卿死去=少年虐待で逆転無罪
【CJC】シドニー発時事通信によると、オーストラリア最高位のカトリック聖職者で、バチカンの幹部だったジョージ・ペル枢機卿が1月10日、ローマの病院で、心疾患のため死去した。81歳だった。

 ペル氏は少年への性的虐待を巡り、下級審で実刑判決を受けたが、最高裁で逆転無罪となった経緯がある。

 1941年、豪ビクトリア州生まれ。メルボルンやシドニーの大司教を経て枢機卿となり、2014~191年にバチカンの財務責任者を務めた。

 ペル氏はメルボルン大司教当時の1990年代に、10代前半の少年2人に性的虐待を行ったとして起訴された。2019年に一審と控訴審で禁錮6年の刑が言い渡されたが、20年に最高裁は一転して無罪判決を下した。

 ペル氏は1月5日、前教皇ベネディクト16世の葬儀に参列したが、関節手術のため入院していた。シドニーで埋葬される予定。□
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世界キリスト教情報第1668信:2023/1/9:エルサレムで墓荒らし

≪ 目 次 ≫
▽ロシアがクリスマス中、「一方的停戦」入り=ウクライナ拒否
▽イスラエル警察、キリスト教墓地荒らしで10代少年2人逮捕
▽名誉教皇ベネディクト16世の葬儀が1月5日、バチカンで
▽ベネディクト16世の墓、一般公開、訪問可能に
▽「神の正義は、愛と憐れみから来る正義」教皇、日曜正午の祈り
▽イラン、反政府デモめぐり新たに2人死刑に
▽サッカー元ブラジル代表ペレの葬列行われる

 今回は、2つめを紹介。

◎イスラエル警察、キリスト教墓地荒らしで10代少年2人逮捕
【CJC】サウジアラビアのリヤドで発行されている日刊英字紙「アラブ・ニュース」(日本語版)がエルサレム発で報じるところでは、イスラエル警察は1月6日、エルサレムのプロテスタント墓地にある複数の墓が倒され土台から引き抜かれているのが1日発見された事件に関連して10代の少年2人を逮捕した。

 少年たちは20基以上の墓を破壊したと供述している。

 170年以上の歴史を持つこの墓地にはエルサレムの著名な軍人や聖職者が眠っている。

 米国大使館パレスチナ担当事務所は5日遅く、この宗教的な場所がまたも標的とされたことに「懸念」を表明した。墓地が荒らされたのはこの10年で2度目だ。
 同事務所は「宗教的な場所の破壊行為は誰によるものであれ容認できない。エルサレムは全ての住民のための都市でなければならない」と述べた。

 イスラエル警察は容疑者の名前を公表していないが、2人は18歳と14歳でイスラエル中心部の住民という。

 犯行時の防犯カメラの映像には、ユダヤ教の頭蓋帽をかぶりツィーツィート(戒律を順守するユダヤ教徒が着用する結び目のある儀式用の房)を着けた若い男性2人が十字架を倒し、墓石を破壊し、墓に向かって瓦礫を投げつける様子が映っていた。

 イスラエル警察は、「宗教的な施設や場所に対するいかなる損壊行為も重大な問題であり、エルサレムに存在する独自で繊細な生活構造を害するものである」としたうえで、この行為は「意図的な破壊行為」と述べた。

 エルサレムの裁判所は6日、審理を行って少年2人の勾留期間を延長した。□

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今回の貨幣オークションでの出物:ネロ、コンスタンティヌス大帝、ディオクレティアヌス

 今日、CNGから第531回目のオークションの連絡が届いて(https://www.cngcoins.com)、まあもはや購入する気はないものの、覗いて見てびっくり。私にとって久々の興味深い出モノが目についた。

 まず目についたのは、ネロ帝のオスティア港打刻コイン。それが2つも出品されていたのだ。オークションで見るのは初めてだと思う。実は、私は2017年の共著の背・裏カバーにこの類似品をなにげに印刷したことがある(AD64, Roma造幣所打刻)。それが以下であるが、コレクターの個人蔵というだけあって、図案の精緻さ・打刻・保存状態がすばらしい逸品である。

 今回のLOT 1031は、Æ Sestertius(circa AD65, Lugdunum造幣所)で、表裏ともかなりダメージを受けており残りが悪い感じで、しかしそれでも業者希望価格は$750。初値は$450だが、まだ誰も手を挙げていない。まあ買う人はいないだろうな。

NE[RO CLAV]D CAESAR AVG GER P M TR P IMP P P / (ex.) PORT AVG

 LOT 1036は、Æ Sestertius(circa AD64, Roma造幣所)のほうは、上記個人蔵にははるかに及ばないが表裏とも保存状況は良好で、それもあってか、業者価格は$1000で、すでに9件の入札があり、現在$950になっている。最終までまだ20日間あるので、どこまでせり上がるか見ものであろう。

NER[O CL]AVDIVS CAESAR AVG GER P M TR P IMP P P / 上 AVG VSTI (ex.) S POR OST C

 このたびの2枚では表面の肖像的は左向きで描かれているが、編著のそれは右向きだし、今回でも銘文は造幣所で異なっている(より詳細に検討してみると、同じローマ造幣所でも同一というわけではない)。

 ネロの貨幣では、今回もうひとつLOT 1034(AD64, Roma造幣所)に私は興味を惹かれた。それが以下である。裏面の図像はいったい何の場面なのだろうか。中央のちょっと小さな人物がネロで、その左後にいるのが母小アグリッピナだと面白いと思ったのだが。裏面の銘文はCONG DAT POP (ex.) SCとなっている。congiarium=祝儀だから、皇帝からローマ市民への祝儀分配の場面(図像の詳細説明は、cf., RIC, vol.1, 1984, p.156, 8)。業者価格$500で、現在5件で$425まできている。

 さらにもっとも興味あったのは、以下のコンスタンティヌス大帝のSolidus金貨(LOT 1181:AD335, Nicomedia造幣所:21mm, 4.04g)である。もう10年早かったらボーナス突っ込んでも購入したかも。業者価格で$2000のところ、現在、入札4件目で$1500。

裏面銘文:VICTORIA CONSTANTINI AVG (ex.SMNP;楯の中にVOT XXX)

 実は、同じCNGのオークションTriton XXVIでディオクレティアヌスの金貨が数枚出ているので、そっちも見に行った。https://auctions.cngcoins.com/auctions/4-85Z7YJ/triton-xxvi?page=2&categories=4-6WINQ&limit=96
それは、LOT829-836で、なかでも高額な業者希望価格$50万のLOT830にはYouTubeも添えられていた。https://www.youtube.com/watch?v=uMXipueSIxs

ただ、こっちは1/10に開始し、締切はあと1日6時間後のようだが、現在4人の入札で$37万5千。

IMP C G VAL DIOCLETIANVS P F AVG / IOVI CONSER VATORI (ex.)AQ

 この金貨は、294年、新設のアクイレイア造幣所のおそらく最初の打刻の、通常のアウレウス金貨10枚分のデニオdenio貨で、38mm, 53.65g、即ちディオクレティアヌスの皇帝就任10周年decennalia記念の10アウレウス金貨、というごく限られた贈答用記念貨幣で、それがオークションに登場したのはここ100年で初めてのことなのだそうだ。YouTubeで確認できるが、本品の保存状況は完璧といっていい。同様のものはこれまで少なくとも4枚確認されていて、いずれも博物館所蔵となっている由。なお裏面の神像はディオクレティアヌスの守護神Iovius= Jupiter像。

【追記】2023/2/26:昨日なんとCNGから紙メールが届いた。これまでにないことだったので何ごとかと開封したのだが、大略いかのような画期的なオークションの報告だった。だから、売り物を出してください、というわけ。

  「先日行われたTriton 26では、ロット830のディオクレティアヌス帝の10枚のアウレウス金メダリオンに6人の入札者があり、100万ドルの大台を超えたのです!  このコインは最終的に190万ドルで落札され、ローマ帝国コインとしては最高記録となりました。バイヤーズプレミアムを含めると、230万ドル以上となり、CNGの長い歴史の中で、どのコインも最高値を記録してきました(40年以上にわたって、かなり信じられないようなコインを販売しています)。 レアでグレードの高いものはすべて、このような結果になっているようです。

 しかし、驚くべきことに、他の市場も同じように動いているのです。先日行われたDavid Hendinコレクションの聖書のコインと分銅の販売では、販売前の見積もりが99,000ドルでしたが、販売終了時には323,000ドルとなりました。これは予想の326%という驚異的な数字です。これらのコインの推定価値は100ドルから5,000ドルの範囲でした。このように、コイン市場の両端がこの高騰の影響を受けていることが分かります。」

 

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