2019年を終わるにあたり

 このブログ、本来的には古代ローマ時代の発掘とかに関する速報・遅報と、私のいささかの学的遺言を掲載する目的で始めた。遺言は別にして、情報ネタは掲載分をゆうに10倍するものがあり、それらはEvernoteに保存してはいる。どこかに書いたが、だがそれなりのコメントを付けてのアップは、故人、もとえ個人のキャパシティをはるかに越えている。

 たとえば、先史時代のドイツにすでに奴隷がいたとか、彼らすら予想外に他民族との交流があったとか、前ローマ時代のゲルマン軍の葬送儀礼や、フン族のヨーロッパ進出は平和的だったのではとか、ローマ軍の鉛弾の威力は絶大で蛮族を恐れさせていたとか、最古のチーズやワインの痕跡の発見とか、ここ10年の発掘での新発見とか新(珍)説はまあ枚挙にいとまないわけである。同好の士がおられたら、情報とコメントを寄せてほしい。それを転載する労はとれると思う。

 このところまたトイレ関係を集中的に集めだしているが、その中で以下の本の「おわりに」で印象的な言葉をみつけた。ジャック・シム(近藤奈香訳)『トイレは世界を救う』PHP新書、2019/11。

 副題が「一年後に人生が終わるとしたら、何をしていたいか?」で、そこで「お金を稼ぐ上で、あなたは時間を失っているのだ」、「時間はお金のように貯金して後で使うことはできない。したがって、時間は最高の価値と交換されるべきなのだ」と。私のような歳になると身に浸みるお言葉である。

 その上で彼は、最高の価値は、他者を助けることだ、と断言する。どこかで聞いたことのある”Be Men for Others, with Others”という理念と通じているなあ。とまれ、トイレを考える上でなかなかいい入門書となっている。

 中村哲医師の非業の死が報道された(1946/9/15〜2019/12/4)。深く哀悼の意を表明する。彼は私より1歳年上で、中学の時プロテスタントの洗礼を受けたキリスト教徒だったが、彼のような生き様をすることができる人は、キリスト教徒といえども多くない。否、稀である。彼は医師として1984年、38歳の時にパキスタンにわたり、のちアフガニスタンに移った。そのうち、病気の原因は飢餓にあるとの認識から用水路建設を一念発起、2010年にまず25キロの水路を完成し、10万の農民の生活基盤を確立した由。

 ユネスコやユニセフのプロパガンダも指摘しているように(http://www.unesco.org/new/fileadmin/MULTIMEDIA/HQ/SC/pdf/wwdr1_executive_summary_jp.pdf;https://www.unicef.or.jp/special/17sum/)、水への着目は当たり前といえば当たり前のことだが、それを身をもって実践してしまうというあたりが、彼が常人を越えていたわけである。

 そして、水資源の保全は、農業用水だけではなく、新鮮な飲料水の確保と汚染防止の手立ての必要もある。その対極に屎尿問題が位置する。

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