月: 2020年5月

女王・昭子から見た秘書早坂、他:遅報(34)

 人は、どこまで本当のことを喋るのか。

 佐藤昭子『決定版 私の田中角栄日記』新潮文庫、2001年(初版1994年)が届いた。さっそく読み出したが、大変読みやすい(ゴーストライターいたんだろうな)。そして早くも序章で「自らいわく、側近中の側近、三顧の礼をもって迎えられたという元秘書氏が、講談調でオヤジを語れば、世の中の人はそれがすべて真実だと思ってしまう」(p.19)というくだりに出会う。ここでほのめかされている早坂への皮肉っぽい表現の内実は、おいおい多少踏み込んで述べられていて、情報の是正におおいに役立つ(p.67、75、93)。1952年以来33年間秘書だった彼女からすると、さしもの早坂先生も、出戻りの新参者にすぎず形無しだ。

1928-2010年:81歳

 その彼女がめずらしく感情的に激しく反応しているのは『文藝春秋』1974/11月号掲載の児玉隆也「淋しき越山会の女王」であって、立花隆のほうではなかった。それは彼女の知られたくないプライベート部分に触れていたからである。彼女は本書で具体的にそれに言及していない(p.18-9)が、娘あつ子によると、どうやら新橋の場末のキャバレーで働いていた時代のことだったらしい(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/40349)。

 昭子(改名前は「昭」)に言わせると、角栄の取り巻き(政治家はもとより、小佐野、神楽坂芸者たちを含む)はやたら角栄との関係を針小棒大に吹聴して、それがマスコミにより角栄の実像から乖離した「闇将軍」というレッテルを貼られることになり、世間の誤解を招くことになった、ということらしい。批判された金権政治もそんな金はみたことないと言い切っている。それは「金庫番」と名指しされていた彼女にとって真実だったのだろうか、それとも・・・。ただ論より証拠、彼女は逮捕も裁判沙汰にもなっていないのも確かである。早坂情報的な角栄の政治資金用金庫は他所にあったのかもしれない。彼女はそこを上手に切り分けて巧みに角栄を守ろうとしていて、私などもう説得されそうになる(p.104-8)。人事については自分の関与を明け透けに述べているのと比べると(これ自体、たいへんなことだが)、角栄が一枚上手だったのか(隠すというより、身内が知らないほうがいいこともあるし)、彼女が知らない顔をしているのかのどちらかであろう。それにしても、彼女もご他聞に漏れず抜かりなく蓄財に励んでいたようで、娘のあつ子によると、一時は巨額の資産を所有していたが、資産を預けていた人物が1995(平成7)年に逮捕されてから大半を失い、そのうえ若いツバメを侍らせてもいたようで、影響力も低下した由(伊藤あつ子『昭:田中角栄と生きた女』講談社、2012年)。

 ロッキード事件についても、角栄とはまったく関係ない、あれは石油関係のアメリカの国内問題での飛び火、および多方面でエネルギー資源確保外交を展開していた田中叩きのキッシンジャーたちユダヤ系の策謀だった、との田原総一朗説を紹介していて(p.249-251:「アメリカの虎の尾を踏んだ田中角栄」『中央公論』1976年7月号;実際は通産官僚あがりの小長啓一秘書官の発言)、私のような歴史畑の人間好みの仮説でなかなか読ませてくれる内容だ(もちろん、日本側の思い込みだとの反論もあって、たぶんそうだろう。角栄以下そう思い込みたかっただけのことだろう:https://www.excite.co.jp/news/article/E1469582127490/?p=3:徳本栄一郎『角栄失脚:歪められた真実』光文社、2004年)。

 そして「裁判というものが、こんなに変なものだとは知らなかった」ともっともな感想を漏らしている。時効期日に追われていた東京地検特捜部による強引な無理筋の事件では、被疑者を取調べした検察官が証言の行間を作文して「事実」を創作・捏造してゆくのだから、そういうことになる。角栄は身に覚えのない5億円授受を認める事ができなかったので一審、控訴審で有罪になってしまったが、法廷闘争技術的にはそれを認め、総理大臣の職務権限で争っていたら勝てたはずだという法曹関係者もいたほどだ、としていて興味深い(p.181)。裁判については弁護士・木村喜助の本が届いたので読んでみたが、なんだか本質からはずれた法的解釈に終始していて、新しいことはない感じだが、民間機に総理大臣の職務権限は成り立ちがたいので、そこで頑張れば無罪もありえた、という結論は納得できる。そのように方針転換しようとしたら角栄が倒れたので、従来通りでやるしかなった、と。それがP3Cだと軍事防衛費で職務権限に抵触してくるので、そっちは弁護側もまったく触れようとしないわけだ。いずれにせよ、法廷論義なんて真実の解明からほど遠いわけだ。

 被害者であったから、彼女のマスメディア批判は厳しいものとなる。そしてまた角栄の凋落でいとも簡単に人心が離反していく身勝手さ、薄情さ。「今さら驚くことはない」(p.230)と日記に書いて、裏切られた落胆を懸命に奮起させている様子は痛々しい。まさしく人情紙風船。子飼いの代議士が分裂して相争う後日談への眼差しは、太閤亡き後の正室寧々(高台院)もかくあらん(あ、昭子さんは側室か)、という感慨が襲う。

 あれこれ探っていると、つぎつぎ注目すべき本がでてくる。産経新聞特集部編『検察の疲労』角川文庫、2002年、も発注した。こんなの図書館にないからつい購入してしまうが、うっかりすると文庫本などアマゾンだと捨て値の1円や85円だったりする。それがつい検索で「日本の古本屋」を使うと800円だったりして高い買い物になる。しかし、同時代のマスコミで煽られた時流に抵抗して野次馬が真実を見ようとすることは大変難しい(今のコロナ騒ぎだって、そうだ)。それより当事者が死に絶えたあと、角栄の実像はどうなってゆくのやら。そんな自分に2000年前を論ずる資格というか能力があるのだろうか。疑問だな〜と思わざるを得ない。

【追記】中尾庸蔵『角さん、ほめられ過ぎですよ!:異常人気の「角栄本」の正しい読み方』扶桑社、2016年を、間違ってKindle版で購入(おかげでまた目まいに襲われた。目も痛い)。内容が正鵠を射ている感じで、なかなかいい。石原慎太郎の本を買わなくていいこともわかったし。テレビでの、丸紅からの5億円授受を認めた榎本発言を検察も裁判所も弁護団もなかったことにした、というくだりには恐れ入った。

 ところで関係本を収集していて、「女たちがみた角栄」というレポートができそうだ、ということに気付いた。なんと愛人二人が書いているし、娘二人も書いているし。こういう人も珍しいかもしれない。

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いい加減にしてほしい、大学改悪:飛耳長目(44)

 こんなウェブ記事が飛び込んできた。当時の官僚におだてられ、いいように鼻面を引き回された結果ではあるが、100年先を見通しての見識がなかったわけだ。「国立大学法人化は失敗だった:有馬朗人元東大総長・文相の悔恨」:https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00158/051900003/?n_cid=nbpnb_mled_mpu

 有料記事なので、ここでの全文引用は控える。

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 国立大学の教育・研究活動に必要な基盤的経費である国立大運営費交付金。2004年に国立大学が法人化して以降、年々減少が続いており、東大もその例外ではない。この法人化の方向性を決めたのが、1998~99年に文部大臣(現・文部科学大臣)に就いていた元東京大学総長の有馬朗人氏だ。当時は、大学に自主性が生まれるといった効果を期待して法人化されたが、結果的には、そうした効果以上に人件費に充当される運営費交付金の削減で、若手研究者の減少を招くこととなった。法人化は「失敗だった」とする有馬氏に、法人化の経緯や今後のあるべき姿を聞いた。

  日本の大学は海外に比べて資金が不足しているといわれます。東京大学総長や理化学研究所理事長、文部大臣も務められた経験から、今の大学についてどうみていますか

1930-:89歳

有馬朗人・元東京大学総長、文部大臣(以下、有馬氏):1990年代半ばごろ、日本はバブルが崩壊した後で経済市場が危機的な状況にあり、政府は多過ぎる公務員を減らそうとしていました。そして同時にいわれたのが、国立大学も何とかできないかということでした。最初、国立大学を私学化する案も出ていましたが、むしろ日本ほど大学教育で私学が大きな役割を果たしている国はないと、大学の在り方を検討する国の会議の委員も務めていた私は反対しました。

 米国もハーバード大やプリンストン大といった私学はあるが、州立大もきちんと役割を果たしている。ドイツやフランスはだいたいが国立や州立です。私学がこれほど頑張っているのは日本くらい。むしろ、国に対してもっと大学が貢献できるようにするなら、私立大を国立にすべきだと言いました。

 そんな議論がされている間に、持ち上がってきたのが国立大学の法人化でした。そのとき私は文部大臣を務めていて、世界中の大学を調べてみると、オーストラリアの国立大学は法人で、ドイツやフランスの大学関係者からも「法人化したほうが自主性が高まる」という答えが返ってきた。文部省でも検討委員会をつくって議論した結果、法人化したほうが良い面があるという結論が出ました。それで私は法人化を決心したんです。

運営費交付金は減らさない約束だった

海外事情も調べたうえで決断したのですね

有馬氏:ところが、実際、2004年に国立大学が法人化されると、その後、毎年1%ずつ運営費交付金が減らされていきました。

 こうしたことが約10年続きました。この結果、運営費交付金には人件費が入っているので、若手研究者が雇えなくなったんです。全国の大学で正規雇用の若手研究者がガタっと減り、理工系で博士課程に進む数も大きく減りました。運営費交付金が毎年減らされていくことを、私は読み切ることができませんでした。(以下、略:残り 1265文字 / 全文 2245文字)

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 この記事のシリーズ名が「東大の突破力 「知」はコロナ後の日本を救えるか」。笑ってしまった。経歴見ても徹頭徹尾あの悪名高い「原発村」でどっぷり体制側の人だし。読者のコメントにも「東大を潰してその予算を全国の国立大に振り分けたほうが雇用も研究も増えるのでは?」「この失敗の経験がこれから役立つことは無いであろうと思います」と、多少見当外れだが辛辣なものが多い。むべなるかな、むべなるかな。

 現行制度に問題があるから(しかし、問題はいつでもどこにでもある)、改善を目指すと称して「改革」が試みられる。今の場合、文系の私の理解では、教授・助教授・助手という封建的主従関係が学問の発展を疎外しているとされ、大学的には国際化をめざしてあくまでその是正のため制度をいじったはずなのだが、実際には人員削減ばかり行われて、かえって(水増しされた)若手研究者の首を絞める結果となっているし(もう少し言うと、アメリカ式の消耗戦をよしとして採用したわけ:私も大変お世話になった日本育英会奨学金だって、貸与型導入で改悪されてしまった:私は免除職19年勤務で返還義務が免除された)、学問の国際化が進展するどころか、研究の継続性はぶち切られ、理系ですら研究業績数の先細りばかり言われている始末である。いずれにせよ、いつものことだがそうなる恐れは最初から指摘されていた(その点、慎重でつむじ曲がりの研究者にいささかも怠りはない)。それに目をつむって(押さえ込んで)飛び込んだ先は、もっとひどい地獄だったわけである。なんともはや、というしかない。

【追記】2020/12/20「NHKスペシャル:パンデミック激動の世界(6)”科学立国”再生への道」を、妻と一緒に見た。彼女によると、研究を知らない役人なんかが金を握っていると、目先が利かないから全然いい成果に結びつかない、と。また、何だかんだ言ったところで、定職についた途端、研究止めちゃう人も多いのよ、と。後段は、私の分野でもなぜか論文書かなくなる連中が多い現実あって、そんな連中が人事権握ってしまうので、結局ろくでもない方向に行くのをあちこちで目撃しているので、ああ理科系も同じなのかと。逆にいうと、この袋小路を突き破るエネルギーは凡夫には無理なんじゃないか、とついつい思ってしまう。

 なお、この番組で、有馬氏が自分の理想を実践すべく沖縄科学技術大学院大学学園創立に尽力していたこと、この12/7に死亡されたことも知った。ご冥福をお祈りしておく(/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201207/k10012750731000.html)。しかし新設大学はともかく、既得権を主張する既存大学の変革は至難だし、新設にしても腐ったリンゴが混じってきて早晩骨抜きになってゆく。永遠のモグラ叩きが必要で、改革しようとしても改悪と叫びだす輩が必ず出てきて、とかくこの世はうまくいかない。

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テレワークで、ラテン語いっしょに読みませんか

 以前からラテン語で以下を読んでいます。エウトロピウス『首都(ローマ)創建以来の略史』全一〇巻

 これまで渋谷の貸ルームでやっていましたが、ご多分にもれず4月末からZoomでのテレワークでやり始めており、今週で第3巻まで新しい方針(原文直訳主義)で訳し直しました。今現在、密着授業がないので、ポーランドから林君も参加してます(時差の関係であっちは真昼です)。来週からは第4巻の見直しに入ります。後期古代の文体なのでむつかしくありませんし。気軽に参加してみませんか。部屋代もいらないので、参加料は不用です。

 毎週、火曜日、午後6時半から90分ないし120分です。テキストはBudé 版(初版一九九八年、第二版二〇〇二年)です。当方(k-toyota@ca2.so-net.ne.jp)に連絡いただければ、ラテン語テキストと見開きの仏訳のpdf版を送付します。現参加者は歴史畑の連中ばかりなので、肝心な箇所で音韻的背景あるかもと思っても放り投げています。なので、とりわけ語学系の方の参加があるとうれしいです。

 Zoomでのテレワーク接続についての段取りは、江添誠氏(macezoe@kokushikan.ac.jp)にホストをお願いしておりますので、彼にご連絡・ご相談下さい。

テレビ画面は最初と最後だけで、勉強中は音声のみ。この日一人はWi-Fiの調子が悪くてiPhoneの音声で参加、林くんはポーランドから参加、でも音声遅延はまったくなくスムーズでした
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マリー・アントワネットと角栄:飛耳長目(43)

 これまた偶然、NHKの4Kスペシャルで「マリー・アントワネット最後の日々」(2019年フランス製作)の再放送を見ることができた。革命政府の裁判のでたらめさは、まあ予測できたが、あからさまな19世紀的女性蔑視の表明だったという件には、考えてみれば当たり前であるが、私にとって欠落視点で勉強になった。最後に、でっち上げの証拠で死刑に導いた検察官エベールや、全員一致で死刑に同意した裁判の陪審員たちも大半がその後ギロチンで処刑されたという後日談もあって、ちょっとだけ救われた思いである(ルイ17世の哀れな死についても初めて知った)。これを見ていて、以前、2019年3月に「ピュイ・デュ・フー」について書いたことを思い出した。

1755-1793年(37歳)

 最近、テレビでNHK「未解決事件」シリーズの再放送で、ロッキードがらみのものを見たことを連想。そこでロッキード事件の核心について、私など驚天動地のP3Cが本丸だったのだが、という話も出てきていた。それもあって、早坂茂三『怨念の系譜:河井継之介、山本五十六、そして田中角栄』集英社文庫、2003年(初版、東洋経済新報社、2001年)を読む気になったのだろう。まあすでに歴史上の前2名についてはそれなりに平静に読めたものの、私自身の同時代史で報道に翻弄されていた田中角栄(1918-1993年:75歳)については、なにしろ早坂が当事者のマスコミ対策の秘書だったこともあり(1962-85年)、未だ記述内容に疑心暗鬼の呈である(当時、立花隆『田中角栄研究』講談社、1976年[初版『文藝春秋』1974年]を貪るように読んだものだ:早坂は立花の名を挙げずに「路地裏の狙撃兵」[p.233]とかなり貶めている])。だが、政界やマスコミの毀誉褒貶、それによる世論操作・大衆の変節は、フランス革命と寸分変わりないわけで(ロッキード裁判も国内法を無視した超法規的証拠による一審実刑・控訴審棄却判決のあと、死亡による最高裁での控訴棄却で未決着のままである:こんな記述もある。「木村弁護士の著書の中に、・・・記者たちとのやりとりが出ている。・・・記者の諸君が・・・(中略)・・・と言うので、『何でそれを書かないんだ』と聞くと、『いやデスクが通らないんです』などと言う。・・・現場の記者が多少の真実を伝えようと努力しても、マスコミ社内の空気が許さなかった」(p.254-5):今だってそうだろう、我々も気をつけないといけない)、まだまだ評価が定まるには時間がかかりそうだ。弁護人・木村喜助『田中角栄の真実:弁護人から見たロッキード事件』弘文堂、2000年、や越山会の女王・佐藤昭子『私の田中角栄日記』新潮社、1994年、を読んでみようと思う。

中央が田中、右が早坂(1930-2004年:73歳)、目つきが、ね

 但し、田中が郵政相時代にバセドー氏病を発病し投薬を受けて「やや躁」にコントロールされていたことを暴露しているのは、秘書ならでは知りえた極秘情報だ(p.280-1:後から入手した児玉隆也『淋しき越山会の女王、他六編』岩波書店、2001年、p.48にもそれが書かれていた[ということは、1974年にすでに言及されていたわけ])。無類の汗かきだったのもそのせいか。躁状態は並の凡人を驚かす言動を平気でやってしまう。それを人々は「天才」と誤解する場合もある。否、自在にそんな自分を操れるのが天才なのだろう。コントロールされない場合、もちろん普通は「異常者」扱いされるのがオチなのだが(私は角栄の娘の言動にそれを見てしまう)。私的にはこの一点で田中の人心収攬術の秘密を掴みえた気になっている。

【追記】5/21:なんか変だな〜と思っていたら・・・。官邸が検察庁K某がらみの「法改正」をやたら素直に引っ込めたので、世間ではツィッターの勝利なんて言っているようだが、私のような旧世代からするとあんなものにそんな力はない、妙な雲行きだなおかしいなと思っていたら、裏に文春爆弾があったのか:https://mainichi.jp/articles/20200521/k00/00m/040/003000c?cx_fm=mailasa&cx_ml=article&cx_mdate=20200521。官房長官がいかに口頭否定したところで、見え見えですね。だれも信じません。事実はともかく、これでK氏は退け時ではあります。

 ところで、今回の件、実は広島三区の河井克行前法務大臣夫婦の問題もからんでいたことを、初めて知った。新恭氏による「永田町異聞メルマガ版」:「検察庁法改正案で挫折した安倍首相に迫る河井前法相立件のXデー」(https://www.mag2.com/p/news/mag_author/0001093681)。モリカケ問題再燃もありかも。ところで河井君、広島学院同窓会名簿によると、20期生で宗研所属の由。宗研(カトリックの宗教研究会)でなにを学んでいたのやら。今さら猛省促しても無駄だろうな。

 なんと、官邸が抱き合わせで検事総長辞任を求め始めているらしい。ただ検察側としても同じ穴のむじなで、人事に裏は付きものだが、おおいにもめてほしいものだ。:https://mainichi.jp/articles/20200521/k00/00m/010/093000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20200521

【追記2】広島ネタで思い出したので、2010年に村木厚子厚生労働省元局長改竄問題で逮捕された前田恒彦をググってみたら、なんと本人のフェイスブックがヒット。自分の事件のノートも書いていて、その姿勢は評価したい(但し有料:https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20151228-00052360/)。今般の問題についても、やっぱり内部事情には詳しく説得力ある(https://ja-jp.facebook.com/MaedaTsunehiko/)。彼は法曹界への復帰はしないと公言しているらしい。ま、こういう生き様もあるわけだ。応援したくなった。そもそも被告にとっての事実と法廷での事実認定には深い乖離があって、納得できないことが多いのが常だ、し。

 彼の問題は、むしろ私的には彼の大学時代の恩師金澤文雄先生があの当時ご壮健だったことが分かって嬉しかったことを思い出す(1928-:さて現在ご健在なのだろうか)。先生は、東北大学のご出身で、当時の広島大学政経学部で刑法学を講じておられたが、学内のカトリック研究会の顧問であらせられ、集会届けなどの印鑑いただきに毎月研究室におじゃまし、お掃除に来られていた奥様にもお会いする機会もあった。新潟人らしい律儀なたたずまいの方だった。お、新潟県人・・・。

【追記3】新恭氏「永田町異聞メルマガ版」:「河井前法相の買収疑惑はいよいよ自民党本部に波及か」(https://www.mag2.com/p/news/453740?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000001_fri&utm_campaign=mag_9999_0605&trflg=1)。今回の手入れが、総理に至る前段階として、自民党本部の金庫番の元宿某氏にまで及ぶかどうか、に注目している。

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世界キリスト教情報第1530信:2020/5/18

= 目 次 =      
▼新型コロナに対抗、子どもを力づける米国の日曜学校教師たち      
▼米教会が『Zoom』提訴、オンライン聖書勉強会で性的虐待動画流れる      
▼中国当局が河南省で高齢司教の葬儀を規制      
▼北朝鮮、韓国ドラマ流布や聖書所持していた住民を“処刑”

 なお、これまでの「情報」は以下で全て見ることができる。http://www.kohara.ac/news/
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年金と生活保護費:痴呆への一里塚(22)

 ウェブ記事を見ていたら(「困窮し東京離れる団塊世代 料理人コウイチさんの老後」https://digital.asahi.com/articles/ASN5F51M4N5CUTIL00M.html?ref=mor_mail_topix2)、都内某区の74歳単身男性が毎月受領している生活保護費が月13万円ほどと書いてあった。都内の特養は待機者が多く、群馬県の施設でも3食付きで月15万かかる由。差額2万はどうしていたのだろうと気になったが、それには言及がなかった。私の母の場合、父が死ぬまでずっと専業主婦で扶養家族だったが、それでも月13,4万くらい年金もらっていた(被爆者加算もあったような)。広島で施設に入った場合でも、なんだかんだで20万弱はかかり、それが東京だと特養は入所が無理なので、私立の施設でまあ軽く25万、とそのあたりは実体験したので見当がつく。私の母の場合は広島の賃貸収入があったので、老後後見人としては本当〜に助かった。私の年金もまったく足りそうにないから(団塊の世代の我ら1947年生まれから年金額ががくんと減ったことはご存知だろうか。そのあたり人生の諸先輩はどうやら私の倍はいただいているらしい:私の年金受領額は月あたりで生活保護費の数万円ほど上乗せにすぎない)、広島の家を手放す気はまったくない。しかし築40年物だからあと10年持つかどうかだろうが。ま、私の生存期間には十分か。

 それはさておき、私がその記事を読んで不意打ちだったのは、生活保護費が年金並にもらえている、というこれまで私が知らなかった事実だ。昨年10月の厚労省の調査だと、生活保護を受給している世帯は164万人弱で、うち高齢者世帯は90万弱、うち単身世帯は82万強で過去最多、の由。

 これが日本における高齢者の平等な受給現状なのだ、と初めて得心がいった。ありがたい制度だと思う反面、いずれにしてもとてもではないが、年金に依存しての老後など心細い現状には違いない。若い人たちは私よりもっと大変ダと思う。頑張ってください。

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朗報!図書館再開

 大学での授業再開(といってもオンライン授業のようだが)に一週間先だって、わが書棚代わりの大学図書館が来週月曜から再開されるらしい。そこに研究個室ももらえているので、大変有難い。もともと3月にだって、それでなくとも人影が絶えていたキャンパスの中でも図書館には職員以外だれもいなかったので、個人的には休館する意味も、光熱・人件費節減ということ以外に理解できなかったのだが。

 考えてみたら、Stay Homeで都のシルバーパスもこの2か月ほとんど使っていない。四ッ谷の立ち食いソバ屋の味も恋しい。これで少しは外出する気になるだろう。体重だけは確実に成長中で、だけど怖い?ので体重計にも乗っていない。以前週刊誌かなんかの表紙に「これではコロナでなく成人病で殺される」といったタイトル見た記憶があるが、本当にそうだ。

 全人代もこの26日に開催される由。さてどうなることやら。

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3000年前のゴールデン・ハット:遅報(33)

 「ゴールデン・バット」は発売中止になったタバコであるが、昨年だっけ放送のNHK BSプレミアムで「コズミック フロント☆NEXT」の「謎のゴールデンハット 秘められた古代天文学」の再放送を偶然みた。

 そのあとの番組「プレミアム・カフェ」がなんと「失われた色を求めて」だった。帝王(貝)紫の「染司よしおか」4代目常雄氏(1916-1988年)がなつかしく、とうとう全部みてしまった。息子さんの5代目幸雄氏も録画後の2019年に亡くなられて(1946-)、現在は3女の更紗さんが6代目を継承(録画の中で、誰もやる人がいないので、と)、常雄氏以来の染師福田伝士氏とともに天平の色彩再現で頑張っている。https://www.youtube.com/watch?v=Pen9_R3d8jo;https://www.youtube.com/watch?v=NrHH4eWUo8s

吉岡三代と、染師福田伝士氏

 以上、昔多少手がけた分野なので懐かしく(本はすべて処分してしまった)、ついやってしまった閑話休題でした。

 今から3000年前の、農耕が始まっていた後期青銅器時代の「骨壺墓地文化」に属する、フランス・ドイツ・スイスから出土した4つの特異な黄金製の帽子?をめぐってのお話。重さ300〜490グラムの軽くて薄く伸ばされた黄金製の表面に打ち出された円盤などの紋様に注目して、サロス周期(太陽、月、地球が18年ごとに同一平面で並んで日・月蝕が起こる)を記録しているのでは、という天文学者提唱の仮説を紹介している。複雑な計算法は私には理解不能である。

原型には最初みな帽子のつばがあったらしい
ベルリン博物館所蔵品底部:ドイツ南端ないしスイス北端あたり出土と想定されている。好事家所有だった
日蝕・月蝕仮説での計算例

 これが事実だとすれば、これまで古代バビロニア人が最初に知っていたとされていた学説が修正される可能性もある。いわんや前5世紀にギリシア人が初めて発見した、という旧説は完全崩壊で、ご同慶の至りだ。農耕時代において日・月蝕の予言は農民統治に大いに役立ったはずなので、支配者・神官が権威づけにかぶって、もっともらしくやっていたのでは、というわけ。

こんな感じかな

 出土土偶類にもそれをかぶっていると思われるものがあるそうだ(テレビ画像では出ていたが、ウェブをググってみたがみつからなかった)。そういえば、メソポタミアだったっけに宇宙人か爬虫類人種かといわれてきたとんがり頭の土偶あった。そっちはすぐに出てきたが、それには帽子のつばはない。ま、見方によれば、むしろ古代ローマの神官flamenのかぶり物やローマ教皇の三重冠のほうがそれに見えないこともないような。・・・ちょっと強引か。

メソポタミアだっけの土偶
左、Ara Pacis壁画での4人のflamenたち;右、ベネディクト16世と教皇三重冠

 これまで後進地域とされてきた古ヨーロッパ世界の見直しにもつながってくるし(ストーンヘンジに代表される、エジプト以前の巨石文明のヨーロッパ先在が認められ出しているし)、このあと鉄器を持ってケルト人が登場する。それとの関係も興味深い。というか、謎だらけ。

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田中宇氏のコロナ総括見解

 氏の見解のまとめ的なものがアップされた。「田中宇の国際ニュース解説 無料版」 2020年5月13日 http://tanakanews.com/

 異論があるかもだが、ご一読の価値ありかと。氏の論点に私も全面的に同意しているわけではない:統治者やマスコミの空騒ぎ、集団免疫による感染症の収束、ワクチンの無意味さ、そして地球温暖化論への批判点に関しては同感。

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ローマ・パンテオン前広場で地面陥没

 どうもこのところ体調が今ひとつである。連日夕方になると風邪をひいている感じなのである。微熱があって熱っぽいくせに、首回りから悪寒を感じる。家から出ないから温室効果的になって、夕方の気温の低下に体がついていかない、そんなときうとうとしているとてきめんそうなる、そんな感じ。妻からは時節柄いま風邪を引くと面倒ですよ、と言われていて、でもどうしようもなく。

 なので、ここでは今ひとつ情報を詰める余裕がないので、とりあえずメモ的に記しておこう。5/6の報道。

 ローマでは時々起こっているのだが、大雨の後など、突然道路が陥没したりする。なにかの拍子に地下の埋蔵の空間が口を開けるわけだ。ここ100年間に年平均で30箇所、なんと2018年には175箇所、2019年には100が記録されている由。ちなみにナポリでは2019年に20箇所。

こんな調子で、ときに自動車も転落してたりしています

 先月、映画「ローマの休日」のロケ地のひとつでもあるパンテオン前の広場の西端でそれが生じた。今回、広場を舗装している玄武岩のsanpietrini約40個分の穴が開いたのだが、ここは実は1990年代の地下共同溝工事ですでに知られていて、調査も行われていた箇所、らしい。

 なのにこの機会に再調査もしているようで、写真のような感じで古代ローマ時代の構造物が現れた。現在の地面下2m余に横たわる敷石はわかるが、ほとんど地面直下の西側面のあの構造物はなんだろうか。それなりの公共建築物の外壁のようにも見えるが。気のせいかパンテオン内のドーム部分の構造に似ているような・・・。

パンテオンのは単純な矩形ではなくて何重にもなっている

【追記】それでなくともローマの地面はちょっと掘るだけで古いものが出てくる。次の写真は、2012/9にたまたまクリプタ・バルビ前の通りで遭遇した風景。トッレ・アルジェンティーナ広場方向に西に向けて撮っている。さて何のための工事だったか。

 アメリカ人研究者がかつて意気揚々と地下埋蔵物の探査機を持ち込んだが、そこら中で反応するので調査にならなかった、という話を聞いたことがある。むべなるかな、むべなるかな。

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