大学のロックダウンはなぜ続く

 こんな事態は、リタイア組の私にとって50年前の大学闘争時の封鎖・ロックアウト以来の歴史的出来事である。時々元の職場大学に行くと、未だ正門でチェックされ(学生証ならぬ名誉教授証を提示)、構内に学生の姿はごく稀である。例外は理工学部でやはり実験しないといけないのだろう、閉められたドアの向こうに人の気配があるのが救いである。

 私にとって現在の大学は図書館以外にないのだが、ここも閑散としてほとんど人影はない。職員が張り付いているのがなんだかもったいない気さえする。そんなとき、以下の記事が。「大学「全面再開」わずか2割 足りぬ教室、実験や実習は感染リスクと向き合い模索」:https://mainichi.jp/articles/20200925/k00/00m/040/231000c?cx_fm=mailasa&cx_ml=article&cx_mdate=20200926&pid=14613

 そうこうしていたら、事情通の元同僚(やはりリタイア組)から、事務系は現在「自宅勤務は週2日までで、来月から週3日出勤になるそうです」 とホットな情報が。正規職員はともかく、この調子だと、臨時採用の職員はていのいい解雇・雇い止めにあっている可能性大だな、と考えがめぐってしまう。私が人事担当理事だったら、もちろんそうするからだ。要するに、普段の状況だと部署的に既得権があるので、人員削減はなかなかできないが、今回のような「非常事態」であれば、経営者側は思い切った荒療治ができるわけだ。なにがなんでもスリム化が駄目というわけではないが、その先の未来にいかなる像をみているのか、それが問われていると思う。

 デジタル社会の到来は、かくしてポスト・新コロナの唯一の成果になるかもしれない。テレワーク授業が常態化すれば、大学教員・非常勤採用にも影響がおよぶはずで、そうなるととくに駆け出しの若手研究者の未来はさらに暗い。少なくとも、予備校的に講師選別はきつくなるだろう。そこから基礎教養的なものはまっ先に淘汰されてしまうだろう。

 私的には、この機会に、授業で使用する画像・動画の著作権がらみの従来規制は大幅に緩和してほしい、そのための制度を早急に確立してほしい、と念願すると同時に、複数校で講義する非常勤の録画映像の所有権とかで、非常勤講師の立場を追い込むことにならない工夫が必要な気がしてならない。

 すべての制度には裏と表、陰と陽がある。とかく現在の官邸主導の政策はいけいけで、陰(おお、大学「院」)への目配りが足らないことだらけだ。プラス面に付随しているマイナス面への目配りこそ、事務官僚の本骨頂のはずなのだが。

 こんなことが頭をかすめていたら、以下の記事が。「安倍政権は、働き方改革や1億総活躍、女性活躍と聞こえのいい言葉を並べましたが、結局は雇用を壊しました。それぞれの制度は企業にとっては抜け穴だらけで、「非正規という言葉を一掃する」という安倍前首相の言葉とは、まったく逆のことが起きています。」:https://mainichi.jp/articles/20200925/k00/00m/040/229000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20200926 

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