月: 2021年8月

100年振りの発見:ローマ市域石標pomerium cippus

 2021年7月16日公開。これまでローマで10個しか発見されていなかった市域表示のトラバーチン製境界石pomerium cippus が100年振りにみつかった(前回発見は1909年)。それはアウグストゥス霊廟で下水道工事の作業中に地面から約3.5メートル下で見つかり、現在、霊廟すぐ隣のアラ・パチス博物館で、皇帝クラウディウス像のそばに展示中とのこと。

 クラウディウスはローマ周辺に140以上のチッポを置いたとされているが、見つかったのは今回のものを含めて11個だけ。そのうち4つは元の位置に残されており、一部はバチカン博物館に所蔵されている由。

今回発見のもの

 研究者によると、後49年のクラウディウス帝によるローマ市域の拡大時のもので、その全文は、以下の通り。

たとえばCIL. VI. 1231 = ILS. 213:右の境界石の写真は、バチカン博物館所蔵のもの

 今回の出土物は下から2行目までが完全に、その上2行が部分的に残っていた。カイサルCaisarという古色蒼然とした表記やFの逆転文字使用など、いかにもエトルリア語に暁通していたクラウディウスらしいこだわりが見てとれる。

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ヴェネツィアのラグーン上をローマ道が走っていた!

2021/7/22 Scientific Reports掲載:

https://www.nature.com/articles/s41598-021-92939-w

 最近別件で知ったのだが、古代ローマ時代のテュレニア海の水位は今より1m低かったのだそうだ。こういった事情も加味して2000年前の状況を考える必要がある。古代ローマ時代、現在水没してしまったヴェネツァ・ラグーンの古ビーチの尾根を伝って、ローマ道がAltinumからClodiaに走っていたと研究者たちは長年想定してきた。今回の調査はその北端のTreporti水路でのもので、水深4.3-5.3mの尾根上に1140mにわたって12の起伏構築物も確認された。

赤線が想定ローマ道;今回の調査地点は上記右の短い紫部分
左が構造物確認地点、右がローマ道の復元・構造図

 私見ではこれが本来的なローマ(軍)道なのか、若干疑問。むしろ海からの侵入への対抗施設のように思える。それはともかくとして、この存在は、この地域にローマ時代の安定した集落システムがあったという仮説を裏付けているのは確かとされている。

【私はグラドーが好きだ。あそこで食した魚料理とヴィーノ・ビアンコが忘れられない】

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世界キリスト教情報第1593信:2021/8/2

= 目 次 =
▼バチカンの前代未聞の財政詐欺、枢機卿らに対する公判が開始
▼バチカンが「第10回世界家庭大会」のシンボル画発表
▼米ワクチン接種で最も抵抗強い白人福音派
▼ロンドンで風刺画描かれたTシャツ着用の女性襲撃される
▼「アヤソフィア」のモスク化をユネスコ非難、トルコが反論
▼台湾=立法院、ウイグル族応援の公聴会初開催
▼アルベール・ヴァンホーヴェ枢機卿逝去
 今日は最初の記事。ま、ただ、表ざたになったという事にすぎないのだろうが。

◎バチカンの前代未聞の財政詐欺、枢機卿らに対する公判が開始
【CJC】バチカンの高位聖職者たちが公金を海外の高級不動産の購入に不正に流用した嫌疑で起訴される、公判が7月27日開始された。ロシアのスプートニク通信が報じた。
 バチカン内部では国外投資の資金の不正使用がこれだけ大規模に捜査されたことはなく、ましてその詳細が公表されたことなどかつてなかったため、この裁判は多くの点で前代未聞とされている。
 カトリック教会の枢機卿がバチカンの国立裁判所に起訴されたのはバチカンの近代史上初めて。被告席に立つのは、ローマ教皇庁の中では最高の権力を持つ幹部であり、長い間、教皇フランシスコが最も信頼を置く同僚に数えられていたジョバンニ・アンジェロ・ベッチウ枢機卿(73)。
 ベッチウ枢機卿の他に被告人席には9人が立つ。そのうちレネ・ブリュルハルト被告とトマーゾ・ディ・ルッツァ被告は、金融情報局(AIF)のかつてのトップだった。□
【追伸】この件、さらには中国との司教叙階問題、セオドア・マカリック枢機卿がワシントン大司教時代に未成年者に性的虐待を行っていた容疑での公判を受けることになった、といった件について、詳しくは以下参照。http://blog.livedoor.jp/wien2006/
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