月: 2021年12月

「ジェンダーサイエンス」を見た

NHK BS1で二度目の「ジェンダーサイエンス」を見ている。男女の性差は発生時と思春期に性ホルモンをどれだけ浴びるかという問題であって、これはもう神の配剤というしかない。その挙げ句、個々人の大脳は男性性と女性性のモザイク状態からなっている、という指摘はなかなか魅力的な説である。

 さらにまた、女性の月経がらみで、栄養状態の向上(2年ほど月経年齢が早まった)と女性の社会進出(妊娠数と授乳期間の減少)によって、昔の子供を6人出産する場合と、現代では、前者の生涯月経対件数が50回だったのに、現代日本では450回を体験すると、女性はこれまでにない異常状況におかれているという数字が示され、こうしたプラス面の裏側で月経困難症や子宮内膜症による不妊というマイナス面に直面していると指摘していた。

 試しに私が計算してみたのだが、初潮年齢2年早まり、6人を妊娠出産し二年間授乳したとしても、(2+3×6)×12=240にしかならない。差引き210は17年分に相当するがどういう計算をしているのだろうか。

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日系人ハワイ収容所

 私はこれまでアメリカ本土の日系人収容所のことを聞いてきていて(昨晩も消えた祖父の足跡を訪ねた日系3世の女性ジャーナリストの番組をNHKでみた:本土に日系人は12万人いた由)、いつも、肝心のハワイの日系人はどうだったんだろうと疑問に思っていた。余り多すぎたので強制収容はやれなかったという話を漠然と聞いていて、そんなバカな、野放しだったらオレなんか当たり前のようにスパイ活動やったはずだし、と思ってきた(開戦前に碇泊艦などの情報は絶対彼らを通じて日本側に流れていたはずだ)。その疑問を払拭する記事が毎日新聞連載の中に出てきて、積年のつかえがようやく取れた思いである。

「あの日、真珠湾で:歴史に埋もれたハワイ収容所「二つの祖国」はざまで2000人選別」

https://mainichi.jp/articles/20211207/k00/00m/040/183000c:但し、有料)。

 やっぱり16万人と余りに多かったので(当時の全住民の3分の1を占めていた:ついでに言うと広島出身者が多く、被爆者も多いと聞いたことがある。これは日本でひどい被爆者差別があったので親戚を頼って戦後に移住したのだろう。なお、行ったことないので今はどうか知らないが、共通日本語は広島弁だ、とも)、教師や僧侶など有力者だけ選別して2000名のみが、劣悪な環境下の収容所に放り込まれたのだった。ハワイ諸島だけで17箇所もあったそうだ。

 ここでも体験者は死に絶える直前の状況だ。記録の保存活動は日系のボランティアに依存している。

400人が収容されたオアフ島ホノウリウリ収容所:毎日新聞より
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最近の発掘報告:トルコ、英国、スイス

 このところ情報がやたら多かった。詳しく触れる余裕がないので箇条書きにとどめる。【なぜか段落がうまく切れない。悪しからず】  2021/11/3:トルコのスミルナ(イズミル)で劇場関係者専用のトイレ発見:https://arkeonews.net/in-the-backstage-of-smyrna-ancient-theater-latrina-found/

② 2021/11/7イギリス・ケント州サンドウイッチ、リッチバラで、剣闘士が競技直前に滞在した独房発見:https://karapaia.com/archives/52307450.html

  だだし、以前ペルペトゥア関係で触れたことがあるが、こういった部屋は決して珍しいものではない。 ③ 2021/11/17:スイスで2000年前のローマ兵の短剣出土: https://www.livescience.com/metal-detectorist-finds-dagger-ancient-roman-battle

④ 2021/11/25:イギリスで初めてイーリアスのモザイクがラトランドで出土:https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2021/11/extraordinary-roman-mosaic-and-villa.html

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明治「維新」の真実を突け

 現在の政党に「日本維新の会」「れいわ新撰組」とかがあるが、考えてみると恐ろしい党名である。たぶん命名した人たちは軽いノリだったのだろうと思うが。というのも、いずれも当時の暴力集団だったからである。「維新」については、NHKの大河ドラマにことよせてかつてその欺瞞性に触れたことある。

 明治維新に関して高野猛が書いているので紹介しておく。「反動勢力が暴力的に幕府を打倒し国家を乗っ取った「明治維新の真実」」(https://www.mag2.com/p/news/520754)。

 その種本はどうやら以下の二冊のようだ。

津田左右吉『明治維新の研究』毎日ワンズ、2021年11月

片山杜秀『尊王攘夷/水戸学の四百年』新潮選書、2021年5月

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世界キリスト教情報第1611信:2021/12/6

= 目 次 =
▼教皇、キプロスとギリシャを訪問
▼教皇フランシスコ、スコラス・オクレンテスの青年たちと交流
▼反ワクチン唱え続けたカナダのTV宣教師がコロナで死去
▼エチオピア、世界遺産都市を反政府勢力から「奪還」
▼ベツレヘムで2年ぶりクリスマスツリー点灯式

 かつての治癒神宗教キリスト教の敗北を示している3番目を紹介する。
◎反ワクチン唱え続けたカナダのTV宣教師がコロナで死去
【CJC】カナダの宗教番組専門デイスター・テレビジョン局の放送でワクチンに反対する発言を繰り返していたテレビ宣教師のマーカス・ラム氏が、コロナウイルスに感染して11月30日午前4時死去した。64歳。
 デイスター・テレビジョンは、全世界に20億人の視聴者を持ち、キリスト教テレビ局としては世界第2位とされている。ラム氏は同局の創設者兼社長だった。
 ジョニ・ラム夫人の話では、ラム氏は番組に出演する専門家らの話に「100%の信頼をおいており」、彼らが勧める方法に従って治療を行っていた。□
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NHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争・第一回(前編)」をみた

 最近なんだか山本五十六とかの映画やドキュメンタリーがしばしば放映されているなと思っていたが、それが12/8の日米開戦記念日をめざしてのことだとようやく気付いた。忠臣蔵ではなし、これまではそんなことなかったのにと思ったのだが、今年が80周年だったのだ。

 昨晩(2021/12/4)は50分番組で標記が放映されたが(内容は、https://bangumi.org/si/-1?si_type=3&event_id=10944&program_date=20211204&service_id=0x0400&overwrite_area=23)、ド素人なりに番組構成で2点に関し腑に落ちない感想をもった。番組の主力は発掘された庶民の日記と、二・二六事件後に侍従長となった百武三郎の新たな日記(エゴ・ドキュメント)発掘にあったのだが。

 第一に「満州」の扱いであるが、満州事変と支那事変を平面的に捕らえていること(ところで「しな」が漢字変換されず手間どった。Atokでは差別用語として自主規制されているようだ。やり過ぎだ)。私の理解しているところでは、中国人にとって満州は中国・中華固有の領土ではなく、満州族=清王朝の故郷という認識が一般であったので、その領域内への日本軍進出であれば孫文や蒋介石も目をつむったのだが、それが支那への拡大となるとそうはいかない、という地政学的な視点がまったく欠如していたことである。今となっては満州も中国領土という認識が中共にも番組製作者にも刷り込まれているからだろうが、それでは、満州事変の立役者の石原莞爾がなにゆえ支那事変には反対したのかが分からないはずなのだが。

 第二に以前このブログに書いたことあるが、1901年生まれの昭和天皇は当時20-30代の若輩者で、はるかに年上の陸軍高級軍人たちに蔑ろに扱われていて(麻雀やダンスにうつつを抜かす軽薄者という風評があったが、この番組ではトランプはするが麻雀はしないと天皇に言わせていて面白かった)、いつでも弟の秩父宮や高松宮に替えちゃうぞという宮廷陰謀のただ中におかれていた、それによって彼の状勢判断が大いに左右されたはずなのだが、その点が番組ではまったく触れられていなかったことだ。番組作成者の皇室への忖度のせいだろうか(この点は、朝日新聞のほうでも、やはり忖度か高松宮の名前は明記されていないが、陸軍の反乱については明確に伏見宮から言上されていたとされている:https://digital.asahi.com/articles/ASPD44K1TPCVUTIL05G.html?pn=8&unlock=1#continuehere、但し有料)。

 番組では、天皇の対支那観も述べられていて、中国人はメンツがあるのかもだが、まともな交渉で問題解決は不可能で、片手で交渉、片手で武力で脅さないと妥結しない、というもので、そのへんの危険なバランスが結果的に失敗したわけで、これはなかなか興味深かった。

【付記1】2021/12/8毎日新聞「米国への通告前に真珠湾奇襲 国際法違反をあえて選んだか」(https://mainichi.jp/articles/20211207/k00/00m/040/402000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20211208)を読んでなっとく(但し有料)。

 これまで山本五十六は事前の宣戦布告にこだわっていて、在アメリカ日本大使館の失態で通告が遅れた、というプロパガンダが日本側からなされていたが(その際、アメリカだって色んな戦争で同様の行動とっている、という指摘も付け加えられていた)、それを根底からひっくり返す見解が出てきて、まあそう言われてみるとその通りだなと、30分前の通告だって不意打ちには違いないな、と盲点を突かれた思いである。それとあの文書、実は宣戦布告した内容ではなかった、というのも、言われてみればその通りなのである。単なる交渉中止連絡にすぎず(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/14711)、そもそも対英のマレー半島奇襲は最初から宣戦布告なしに、結果的に真珠湾より1時間以上前におこなわれていたし、となるといわゆる宣戦の勅書とは官僚お手のものの日時詐称ということになる(https://ja.wikisource.org/wiki/%E7%B1%B3%E5%9C%8B%E5%8F%8A%E8%8B%B1%E5%9C%8B%E3%83%8B%E5%B0%8D%E3%82%B9%E3%83%AB%E5%AE%A3%E6%88%B0%E3%83%8E%E8%A9%94%E6%9B%B8)。

 先日みたNHKだっけの山本関連の番組では事前通告にこだわっていたという表現が登場していなかったので、あれっと思ったのだが、そういう裏事情があったのか、と納得。

【付記2】上記番組の「後編」は12/11 23:00−0:00。「前編」のよきまとめが出た。田部康喜 「昭和天皇の「声」で迫る日中戦争と太平洋戦争」(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25098)。

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今日日の時計屋たるや、新品売るだけ?

 アウトドア対応の時計で、フィンランド製のSUUNTOを使い初めてさて何年になるか。今のは2代目だが、購入時の気高い意図は早々に消え去り、皮肉なもので気圧も高度も温度機能も実際には全然使わず、日本と海外の時差が生じた場合の、2ヶ国の時間が分かる機能だけ使っているので、いまやiPhoneで十分なはずだが、先日電池切れになったら、やっぱりロートルにとっては腕時計がないとさびしいわけで、それで我孫子の帰りに、電池替えてもらおうと池袋で大量販店BigC??の時計部門に行ったのだが(昔、やってくれてた記憶あったので)、今度の若い係員はひと目みると「これここではできません、修理センターに出すと9000円かかりますが、どうしますか」ときた。

 この手の客あしらいにはもう私も慣れていて、というのは、かなり前これも行きつけの眼鏡屋に、いつものように無料で眼鏡のつるの緩みを直してもらおうと行ったら、えらく若いのが「これもうだめです」と暗に買い換えを求めてきたので、腹立てて帰ったのだが、未だその眼鏡を鼻の上に不細工にぶら下げている。要するに、新規お買い上げを求めているのだ。

 今日、妻の印鑑証明をとりに区役所に行ったついでに、その帰り道で偶然みつけた「鍵・靴・時計修理」屋さんに試しに入ったら、中年のおじさんが「ああこれ外国製で特殊ですね」といいながら、「裏蓋が合成樹脂なので開けるときに無理すると壊れる危険ありますが」というから、このままだと捨てるしかないので、やってみてください、「あ、そうですか、外国製だと1500円です」(電池と消費税込み)といって引き受けてくれたのだけれど、しばらくして「きつくて開きませんね」といってお返しになる。

 それで私がその場で100円玉で溝を力一杯ねじってみたらめでたく開いて、中からボタン式乾電池の「CR2430」が出てきたけど、そこの修理屋さんにはその電池がなくて、帰りに西友でみたけどなくて、その近くの文房具屋さんにもなくて、もちろんセブンイレブンにもなくて、帰宅してさっきアマゾンで注文したら、送料無料で2日後に400円の品物が届くことになった。これが現代日本の専門店がまともに機能しないへんちくりんな状況なのである。

 たぶん電池が届けば、耄碌じじいの私でもこのSUUNTOを再稼働することできるわけで、こういった世相、なんだかなあと超嘆息した次第。

 【後日談】電池が大仰な包装で(もっと簡略化できないものかといつも思う)届いたので、試みたが、電池レベルは簡単に装着できた。久々の年月日そして時刻の設定だったので、こっちは多少手こずったがこれも完了できた。

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古代の騎乗獣の実像を探りたい

 古代ローマ時代に、街中の街路をどんな輓獣・駄獣が往き来していたのかということで、いまちょっと調べている。J.クラットン=ブロック(増井久代訳)『図説動物文化史事典:人間と家畜の歴史』原書房、1989年(原著1981年)では、当時のスキタイやロシアのステップあたりにいた馬の肩高は145cmたらずだった(現代のサラブレッドは160-170m)。それとは別のイギリス、西部ヨーロッパ、ギリシアには小型のケルト・ポニー系もいて、こちらは図像から判断するに古代ギリシアでさえ大半は125cm以下だった、と。

 後4世紀初頭に中国ないし満州で開発された鐙(あぶみ)は、後7世紀ごろにヨーロッパに伝播したので、それまでアレクサンドロス大王もカエサルも騎乗はあぶみなしだった、という常識はもう一般に周知されているのだろうか。私はこれを学部生時代の竹内正三先生の演習で、だから1968年ごろのことだが、Lynn White, Medieval Technology and Social Change, Oxford UP, 1962を読んだとき知って、文字通り目からうろこの衝撃だったのだが(その本はかなり経って邦訳が出た:リン・ホワイト[内田星美訳]『中世の技術と社会変動』思索社、1985年)。

 手っ取り早く、写実性という観点から若干問題あるが美術関係でどのように描かれているか見てみるとそれなりに面白い。

 ダレイオス大王(前6-5世紀)時代の円筒印章:軽戦車を牽引するのは小型の馬(ポニー系)のように表現されている。西アジアでは軽戦車の輓馬としてはこのようなミニチュア・アラブ種の系統が、同様に古代ギリシアや西欧ではポニー系が投入されたとのこと。当然のようにサラブレッドが疾駆するハリウッド映画なんかで植え付けられた先入観からは到底受け入れられないのだが。

 騎兵の場合はどうだっただろうか。以下はスキタイの事例だが(前4世紀)、騎兵の足が地面につきそうに描かれていて、そのダイナミックさからかえってリアリティがあり写実性を感じさせる。

 後3世紀のササン朝のアルダシール1世(左)、シャープール1世(右)時代も変わらなかったようだ:いずれもナクシュ・イ・ルスタム磨崖彫刻。

 それが、ありがちな復元想像図だとこんなふうに肩高が高くかっこよく描かれちゃうわけ(左、スキタイ;右、ササン朝)。モデルの馬が現代のサラブレッドなんだろうな。

 以下は、ローマ国立博物館分館(マダマ宮)所蔵の、赤、青、白、緑組のfactioを代表する戦車競技の騎手と馬のモザイク。騎手の身長を仮に170cmとすると、馬の肩高は120cmないことになって、たぶん騎乗したら騎手は間抜けにみえたかも、だ。あ、戦車でしたね、失礼。

 それが以下のようにミニチュアによって復元されると、皇帝の身長を175cmとして換算すると、肩高130cmあたりとなるはず。

 しかし、考古学的にはどうなるのか、出土骨格で判断するのがもっとも正確なはずなのだが。詳論には未だ出会えていないが、ローマの大型軍用馬はスキタイ系で肩高が145cmを越えるものもいて、ローマ帝国各地から見つかっている由である。

 ちなみに、平成元年7月に甲府の武田氏館跡から10歳前後の雄馬の完全骨格が出土した。この肩高は120cmで、だが当時としては中型以上の大きさの、しかるべき大将クラスの騎乗用だったとされている(https://www.city.kofu.yamanashi.jp/senior/kamejii/012.html)。

 ところでカルチャでは言ったのだが、映画「ベン・ハー」の戦車競技の場面、実はフィルムを早回ししているのであの迫力が出ているのだけど(今度、じっくり見て確認してください)、実際はもっと牧歌的だったはずなのだ。しかしそれだと迫力は出ないわけで、絵にならない。

 これまで知らなかったが以下の本を知らずして馬道は論じ得ないらしい。幸いにも古書で入手できそうだ。田中秀央・吉田一次訳『クセノホーンの馬術』恒星社厚生閣、1995年。

 だがそれにしても、すでにF.ブローデルも触れていたように、地中海世界は古来なにはともあれ馬よりもロバdonkeyとラバmuleの世界だった。古代ローマ時代で馬を論じて由とするのは、あたかも古代ローマ史をカエサルやアウグストゥスですまして、庶民の日々の営みを軽んじる振る舞いと言ってもいいかもなのである。アプレイウス『メタモルフォーゼス』(変容=黄金のロバ)を読むべしなのだ。

 それを主役において論じているのは以下であるが、それは別稿を期すしかない。とりあえずは馬と同時にロバやラバを扱った、J.クラットン=ブロック(清水雄次郎訳)『図説馬と人の文化史』東洋書林、1997年(原著1992)や、ブライアン・フェイガン(東郷えりか訳)『人類と家畜の世界史』河出書房新社、2016年(原著2015)が、そして大枚はたいて発注した以下が役立つに違いない。Peter Mitchell, The Donkey in Human History : An Archaeological Perspective, Oxford UP, 2018. しかしこれは若い人がやってほしいこれからの仕事なのであるが。いずれ図書館の欠本は寄贈するつもりである。

 ところで、四谷3丁目に時々いっていた老舗のイタリア・リストランテがあるが、あるときメニューに「ロバ肉のなんたら」が二の皿にあって、驚いた。イタリアでもこんなメニューにはお目にかかったことはない。しかし当時ロバはいっぱいいたから、死んだら貧乏人に供されて食べられたに違いない。古代ローマを研究対象にしているからには、今日はロバ肉だっ、と決して、食してみたら案に相違して柔らかくて良質の牛肉と変わらなかった(和牛みたいに脂だらけではなく、むしろ抜けていた)。おそらく当時の使役獣とちがって、食肉用に育てられたものだったのだろう。とまれ、得がたい体験には違いなかった。さてさて、古代ローマ史やっている人でロバ肉を食したことある人がどれほどいるだろうか。塩野大先生いかがでしょう。これは私の密やかな自慢なのである。

 以下のモザイクは、ブドウ畑で働く人に手綱を引かれたロバが、ブドウの入ったカゴを運んでいる様子で、2002年にトルコのアンタキヤの北東50マイルに位置するハッサ地区のマズマンルで、盗掘によって初めて発見された。5〜6世紀に建てられた教会の床を飾っていたこのモザイクは、その後の発掘調査で64平方フィートの大きさで発見され、このたびようやく修復がなり、ハタイ考古学博物館で展示されることになった。

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世界キリスト教情報第1610信:2021/11/29

= 目 次 =

▼タリバンが新「宗教上の指針」発表
▼韓国・天安の教会で208人がコロナ集団感染=中央日報
▼教皇、一般謁見で「救いの歴史における聖ヨセフ」テーマに講話
▼教皇、ドーバー海峡や地中海での移民の遭難に悲しみ
▼ペルーでM7・5の地震、16世紀建造の教会一部崩壊

 今回は、最初のニュースを紹介しよう。

◎タリバンが新「宗教上の指針」発表
【CJC】アフガニスタンのイスラム主義組織タリバン暫定政権は11月21日、新たな「宗教上の指針」を発表した。カブール発AFP=時事通信報道によって紹介する。

 指針は、旧タリバン政権時代に極端なイスラム法解釈を強制し「道徳警察」として知られた勧善懲悪省の名で出された。8月のタリバン政権復活後、メディアに対する命令は初めて。

 同省はテレビ局に対し、女性の俳優が出演するドラマの放送を禁止すると通達した。また、テレビ局の女性ジャーナリストにリポート中に頭部を覆うスカーフ「ヒジャブ」の着用を命令した。さらに預言者ムハンマドなどイスラム教の重要人物が登場する映画や番組に加え、イスラムやアフガンの価値観に反する内容の放送を禁じた。同省報道官は「これらは規則ではなく、宗教上の指針だ」としている。□
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