月: 2022年7月

世界キリスト教情報第1641信:2022/7/4:中絶問題

≪ 目 次 ≫

▽「アル・ジャジーラ」アブアクラ記者死亡めぐりイスラエルとパレスチナの間に確執
▽教皇庁が米最高裁の中絶違憲判断を称賛、社会支援も訴え
▽グリーン・デイのボーカルが米市民権放棄を表明、中絶めぐる最高裁判断受け
▽ペロシ下院議長が教皇に謁見、聖体拝領受ける
▽レバノンの政治家ミカティ氏、4度目の首相指名、権力闘争が表面化で組閣難航も
▽九州大学准教授の武田秀太郎さんにナイト勲章、マルタ騎士団の一員に
▽ウクライナ東部セベロドネツクが陥落、ロシアの「完全な占領下」に
▽ロシア、ウクライナの商業施設をミサイル攻撃、少なくとも13人死亡
▽東部リシチャンスク陥落=ウクライナ軍、撤退認める
▽貧しい人々と共に「オッセルバトーレ・ディ・ストラーダ」創刊
▽10年に一度のキリスト受難劇、今年は予定より2年遅れて上演

 今日はやっぱり2番目ですね。

◎教皇庁が米最高裁の中絶違憲判断を称賛、社会支援も訴え

【CJC】バチカン市発ロイター通信によると、バチカン(ローマ教皇庁)の生命アカデミーは6月24日、米連邦最高裁が人工妊娠中絶を憲法上の権利と認める1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下したことを巡り、生命について考えるよう世界に問題提起したと称賛した。一方、女性が中絶しなくてすむよう社会変革を求めた。

 生命アカデミーは声明を発表し、生命は「広範囲な社会的重要性」を持つ問題であり、生命の保護を個人の権利によって制限できないとの見解を示した。

 生命アカデミーは、あらゆる段階の生命を保護しやすくなるよう、社会環境の変革に期待。「母親やカップル、まだ生まれていない子どもたちに対し、社会全体で盤石の支援を提供する必要がある」と訴えた。

 カトリックを信仰するバイデン米大統領は、この日を米国人にとって「悲しい日」として判断を非難。最高裁の保守派判事らを「極端だ」と糾弾した。□

 私の個人的見解は、胎児は発生時から人間であるので、中絶はやはり一種の殺人である、しかし諸々の事例で誕生が望まれない場合が生じるわけで、これに対しては社会的な受け皿の整備が必要である、というもの。しかし、実際にはそうはなっていない現実がある。
 カトリックの主張は硬直した理想論を言っているように捉えられがちだが、今回みたいに最後まで読むとちゃんとフォローはしているわけで、だが、現実問題としてはなかなか厳しい。

 バイデンは、政治家なのでその口上を信仰と結びつけると間違う場合もある(ウクライナにしても、台湾にしても、彼は呆けて放言しているのではない、と私は睨んでいる)。
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またなじみの店がひとつ消えた・・・

 上京以来30年経つが、ずっと練馬区に住んでいるので、都心に出る場合、地下鉄で新宿か西武線で池袋経由となる。新宿は昔の勤め先がらみであるが、池袋のほうは私的な買い物先だったりする。だからなじみの店も池袋のほうが多い。

 先日も、我孫子方面から帰宅途中にいつも寄る店に寄ってみたら、なじみのおばちゃんが「明日でここは終わります」と。ああ、ここもか。ようやく見つけた好みの味の店が、ときどきこうして消えてゆくのだ。

 妻もそこの味を好んでいたので、我が家にとってこりゃ一大事だと。西が長かった我が家では東の味は未だに馴染まない場合が多い。私にとり無条件にうまい東の食べ物は、焼津の干し魚と千葉の納豆ぐらいで、お好み焼きソースはいうまでもなく、醤油やみりんは相変わらず西のものを使っている。それもあって、よく買うのは和食での微妙な味が無視できるタイやベトナム料理の惣菜だったりする。

 それにしても、歳月とは無情なものだ。

 

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ポンペイの遺骨からゲノム解析に成功

 ポンペイ遺跡の中でも保存状態の良い建物の一つであるCasa del Fabbro(鍛冶屋の家:I.10.7)で、1932-33年にかけて行われたAmedeo Maiuriによる調査で発見されていた2名の骨格を、あらためて生物考古学と古生物学の学際的アプローチで分析したらしい。一人目は死亡時35歳から40歳の男性で、身長は約164.3cm。二人目は女性で、死亡時50歳以上、身長153.1cmだった。この身長はいずれも当時のローマ人の平均的な身長と一致するが、保存がよかった男性のほうからのみ全ゲノム配列を決定することができた。5/26にScientific Reportsで公開。

2遺体は、平面図の9から出土した。右写真は発掘直後のもの。左が男性

これまでは高熱に曝された遺骨ではDNAは破壊されていて調査不能とされていたが、最近の調査方法の進歩により解析が可能となった、らしい。

 男性のDNAを他の古代人1,030人および現代の西ユーラシア人471人から得られたDNAと比較したところ、現代の中央イタリア人およびローマ帝国時代にイタリアに住んでいた他の人々と最も類似していること、この男性のミトコンドリアとY染色体DNAを分析からは、サルデーニャ島出身者に共通する遺伝子群も確認された。これはローマ帝国時代にイタリア半島全体で住民の移動がなされていたことを示唆しているが、かの男性の場合はイタリア半島的特徴が強いので外国からの奴隷ではなかったと考えられている。

 また、この男性個体の骨格とDNAを追加解析したところ、脊椎骨のひとつに病変があり、結核の原因菌であるマイコバクテリウムが属する細菌群によく見られるDNA配列が確認された。このことは、この人物が生前に結核に罹患していた可能性を示唆している。この病気は、Celsus、Galen、Caius Aurelianus、Areteus of Cappadociaの著作で報告されているように、ローマ時代には風土病であったが、ごく一部の人にしか骨格変化が起こらないため、考古学的記録ではまれな病気であった。こうして、人間の移動にともなっての結核の蔓延も同時に立証されたわけである。

 こういう科学的調査を徹底的に行うことで、古代ローマ帝国のライフ・スタイルの実際が再構築されてゆくのが期待できそうである。

【余談】

ここの玄関の外に落書きがあった(CIL, IV.8364).

Secundus

Prim(a)e suae ubi-

que i<p=S>se salute(m) Rogo domina

ut me ames         

Secundusは、彼のPrimaに、彼女がどこにいようが、挨拶します。願わくば、女ご主人様よ、私を愛してちょ。

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遅ればせですが:水中考古学の本

 以前、山舩晃太郎氏の本とサイトを紹介したが、今年の2月になんと別の若者?が同種の著作を公表していたことを最近知った。

佐々木ランディ『水中考古学:地球最後のフロンティア』エクスナレッジ、2022/2。

 山舩君よりは8歳年上で、今から12年前にすでに一書『沈没船が教える世界史』メディアファクトリー、2010(ここでの著者名は「ランドール・ササキ」となっている:ちなみに彼は母親がアメリカ人のハーフ)をものにしている。テキサスA&M大学でも同門のようだが、お互いに面識はないらしい(そんなはずはないような気がするのだが、ま、いいか)。

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