月: 2022年8月

ヒロシマとローマ関係落書き談議4題

冒頭の出演者テロップ部分

 私にとって、以下に共通するのは「落書き」なのである。①と④はそのものずばりだが、②と③はその映像の中で原爆ドームが出てきて、まだドームの廃墟の中に入れた時代に、訪れた観光客(アメリカ兵によるものが大半かと)によって多くの落書きが書かれていた画面が出てきている。そう、かつてそこでヒバクシャが自分を見世物にしていたり、商売をしていたのだった。

① 2022/8/4「ローマ、パンテオンの壁に「エイリアンは存在する」何者かが落書き」(https://karapaia.com/archives/52314873.html)

 パンテオン正面向かって右の壁に青いスプレーで「ALIENS EXIST」という文字と楕円形の物体2つが、7月末に書かれていた。これはどうやら当局により直ちに除去されたらしい。

左が落書き、右が消去作業中

② 2022/8/5:NHK BS1「イサム・ノグチ 幻の原爆慰霊碑」(https://artexhibition.jp/topics/news/20220805-AEJ922719/)

NHK BS1より:ノグチの背後の壁の落書きの全部が戦勝国米軍兵士のもののようだ

  8/6 9/00-9:50 再放送あり:戦前日本では異質な合いの子と蔑まれ、米国では敵性外人として遇され、戦後ニッポンでは何を好んでアメリカ人に慰霊碑作らせてたまるかと忌避されて・・・

③ 2022/8/9 11:10-(96分)日本映画専門チャンネル「原爆の子」(https://www.nihon-eiga.com/program/detail/nh00008058_0001.html)より 

冒頭の出演者テロップ:この画像は、後出の岩波写真文庫と同じ箇所
協力出演:賛美歌の場面でケロイドのある若い被爆女性も出演している

④ 2018/10/16:広島の平和公園付近での落書き事件:「原爆ドーム周辺、3カ所に落書き 器物損壊の疑いで捜査」(https://www.asahi.com/articles/ASLBJ33XXLBJPITB004.html)

 これはいずれも日本公演に訪れていた「ブルガリア国立歌劇団」の技術スタッフ2名が、キリル文字でブルガリアのサッカーチーム名などをスプレーで書いたものと判明。

左は工事中のフェンス、画面左中央に慰霊碑;中は石のベンチ、背景に原爆ドーム;右は韓国人慰霊碑付近のゴミ集積所

 それ以前も、それ以後も原爆ドームや慰霊碑等への落書きや毀損事件は絶えない(http://masuda901.web.fc2.com/page2ay22.html;https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=106106)。

中国新聞 2021/6/25朝刊掲載

 それをググっているうちに、以下に行き当たった:http://nofootynolife.blog.fc2.com/blog-entry-3635.html。その中の書き込みで、場所はローマのコロッセオ。

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バンクシーはアーティスト集団か

2022/8/4「バンクシーはなぜ誰にも見つからず作品を仕上げることができるのか?」(https://karapaia.com/archives/52314897.html)

 未だ正体が暴露されずに覆面ストリート・アート活動している落書き家バンクシー。いかにもイギリスらしい悪戯っぽい活動だが、模倣犯も出現しだしているらしい、その秘密の一端。白の大型キャンピングカーが目撃され、ドローンも投入しての、個人ではなくおとりの陽動グループを含めての集団での活動では、というわけだ。

 私が見て、ミニチュア庭園「Merrivale Model VIllage」(https://www.edp24.co.uk/news/business/yarmouth-merrivale-model-village-sold-8785008)に出現した「Banksy」「Go BIG OR GO HOME」という文字は、ネズミの絵を別にするとらしくないのだが、大型キャンピングカーが出没する動画がそれを立証している形ではある。

ネズミは、右端下の車輪の上に描かれている
庭園手前の道路に白色キャンピングカー

別件で、小学生に向けた以下の文言を今回みつけた。2016/6/6「Remember – Its always easier to get or giveness than permission.」(憶えておいて、いつだって(先に)許可もらうより、(後から)許してもらう方が簡単だってことを):https://karapaia.com/archives/52219274.html。

 画像掲載で呻吟しているお仲間への、私の助言でもあるのだが。さて最後まで逃げおおせるのだろうか。

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キリスト教とカネの問題

 叙述内容に若干問題があるが(「免罪符」というのは神学的に間違った表現:カトリックでは犯した罪による罰を赦すという意味で、「贖宥状」という:ただ庶民が理解したところでは同じことだったろうが)、先般触れた太平洋戦争と同様な「教会ビジネス」を指摘している記事がおもしろい。少なくともキリスト教の「正史」でそれは触れられていない。

 2022/8/3 大村大次郎「「天国に行きたくば金払え」統一教会と変わらぬキリスト教の過去」(https://www.mag2.com/p/news/547449/1)

 この記事の興味深いところは、キリスト教の布教活動の内実を10分の1税の徴収権を軸にみているところだ。

【追記】現代の普通のプロテスタント信者佐藤優氏が、献金について言及しているのをみつけた。

 「信教の自由と献金」(https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20220801/pol/00m/010/003000c)

 宗教法人の内実についてふれているのが、2022/8/30 神樹兵輔「統一教会問題で注目。神様仏様が聞いて呆れる「宗教とカネ」驚きの実態」(https://www.mag2.com/p/news/549934?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000001_tue&utm_campaign=mag_9999_0830&trflg=1)

 そこで金集めが新宗教の方がうまい、という叙述があるが、それだけではない。既成の大教団は大なり小なり伝統的に確保している信者からの宗教行事での経費や維持費によって労せずに集金されるシステムが構築されていて、それがすべてとはいわないが、それで多くの場合なりたつことができる。新宗教の場合は、新規に信者獲得せざるをえないのだが、そのため布教を強力に推進しなければならないが、その時の武器が人間誰しももっている精神的不安や不満から救われたいという弱みを突く言説、現代風にいうなら、心理学的療法を応用駆使して、人間の弱みにつけ込むわけである。

 私が上智大学に赴任してちょっと驚いたのは、学内に「心理学に素人の教員は悩んでいる学生の指導をしないで、専門家がいる学生相談室に行くように指導して下さい」という文書が配布されたことだった。これは直截にいえば、イエズス会神父の教員が学生にみだりに助言しないでください、ということで、これはそれまで当然のように宗教活動の一環で神父が信者や求道者の悩みにアドバイスしてきていたわけであるが、メンタル的に病んでいる学生にひたすら「頑張りなさい」などと励ましたり説教したりして、一層症状を悪化させる事例があったかららしい。もちろん神父さんやシスターで心理学やカウンセリングを修めた人もいたのだが、今から30年前ではそう多くなかったわけである。

 要するに、神学を学んだ宗教者では悩みを抱えた人間精神を立ち直させる効果的カウンセルができない、現代の臨床心理学からみて間違った対処をしている場合すらある、というわけで、私はこれじゃあ神父さん神学で人間を救えないじゃないですか、なんのための宗教者なんでしょうか、と心密かに思ったことだ。

 とまあこんなことやってるようでは、新宗教では遣い物にならないわけである。神学の学位はなくとも、新宗教のほうが人間の根源的な悩みに対して効果的な対処療法を実践している、という現実があるのである。そしてとにかく救済されたという体験をした者は、よろこんで感謝の念を示すわけである。

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アルカイダ指導者殺害発表のアメリカの在り方

2022/8/2発表(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020F30S2A800C2000000/?n_cid=NMAIL007_20220802_H)。

 いかにもアメリカらしく、西部劇的に無邪気なまでに分かりやすい解決策で、テロ対策の一環だろうが、民主主義国家としてこういった乱暴な介入がいつも正しい行為とはいえないはずなのだが、さて腑抜けのマスコミは今回もコメントを差し控えるのだろうか。

 こういうのを大統領が自ら発表するというのも、秋の中間選挙がらみの思惑が透けて見えていて、なんだかなと思わざるを得ない。以下参照、2022/2/6:佐々木伸「IS指導者クライシ氏壮絶自爆:米特殊部隊急襲の全貌」(https://wedge.ismedia.jp/articles/-/25659)。

 82歳になる筋金入りのペロシ下院議長の台湾訪問も、彼女の唐突な単独行動を演出しながらその実、大統領との打ち合わせ済みの行動だと、私は思っている。アメリカの対台湾政策はどう見たって二枚舌にしか思えないからには、中間選挙を念頭に「強いアメリカ」を演出する必要があったからの危険な賭だったはずだ。こういった言動がこれからも続くはずなので、強権国家の近隣諸国にとってやっかいなことだ(ただ、今般の日本政府の平静な対応を眺めていると、事前に非公式な事情説明がなされていたのかも知れない)。

 思い起こせば、ウクライナ戦争開始直前にバイデン大統領が「軍事介入はしない」と言わずもがなのひと言を発した件も、世間ではボケ大統領の失言ととらえている(振りをしている)が、プーチンに侵攻を決断させるための罠だった、と私は考えている。いずれにせよ、こういったことに単純明快なアメリカのことだから、でっち上げの大量破壊兵器問題のイラクの場合と同様に(http://www.asahi.com/special/iraqrecovery/TKY200407090425.html)、いずれ一件落着したあと事実が明らかにされるだろう(日本だとこうはいかない)。

【追記】2022/8/5

 逆に、米中は「妖婆」ペロシ訪問問題を事前協議していたという見立てもある。これももちろん有りだろう。外交を内政に互いが利用しあうわけだ。「超弩級・ペロシ台風が去った後の台湾状勢と米中関係:“キューバ危機”を事前に回避したバイデン・習近平の「密約」」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/71237)。

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NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか」

 2022年の今年も8月に入って敗戦記念日がらみの放送が始まる。NHK総合でも夜中の1時頃からを含めて数回の放送が予定されている。

 表記の番組は2022/8/2早朝の3時16分からの1時間番組だった。副題は「果てしない戦線拡大の悲劇」。アナウンサーに松平定知が登場していることからもわかるように、2011年1月に放映されたものの再放送と思われるが、未だ一見の価値ある内容に感じた。私はこういう番組は11年前にも見逃さず見たはずなのだが、まったくその記憶がないのはどうしたことか。

 今回、私的にもっとも興味深かったのは、大陸(陸軍)や南方(海軍)への戦線拡大を、日本の企業はビジネスチャンスととらえていて、占領地が利権の狩り場となり、有象無象の輩が中央官庁・軍部はもとより、現地占領軍でも「つて」をたどって跳梁跋扈していたこと、軍部もそこできちんと利害調整するよりも、「あそこはすでに〇〇が入り込んでいるから、××占領の際に△△鉱山を任すからどうだ」と、さらなる無謀な戦線拡大に向かうこととなった、という指摘であった。

 通常の敗戦論では、軍部上層の無定見な戦争指揮ばかり指摘されてきた印象が強いが、新利権に群がって沸き立っていた政商や山師たちと出先軍部の結託(なんと、海軍と陸軍で占領地での利権の区割りがなされていたとは:軍部にとっては、目先の上納金以外にも、天下り先の確保という意味もあった)、というまあ現代でも絶えることなく生じ続けている、いつに変わらぬ政・官・民の談合・癒着体質そのままだったようで、国を挙げて戦争継続・拡大に暴走していった挙げ句の敗戦だった、という点を正しく認識し強調した制作で、勉強になった。

 なお、この放送内容に関して書籍がNHK出版から出版されている。私は古書で廉価の新潮文庫の3冊本を入手し、今夏の読書にしようと思っている。

NHKスペシャル取材班編著『日本人はなぜ戦争へと向かったのか:果てしなき戦線拡大編』新潮文庫, 2015, p.47.

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