「地球科学の最前線:天変地異の秘密に迫る」を見た

 これはNHK BS1で2022/3/24放映の再放送だった。フランス作成の番組のようで、その解説文に「地球が誕生して46億年。火山噴火・巨大地震・大型台風など、天変地異は繰り返されてきた。今、その発生メカニズムの研究が進んでいる。そこから見えてきたのは、様々(さまざま)な自然現象が複雑に影響しあっていることだ。防災の観点からも注目を集める地球科学の最前線に迫る!」とあって、視聴するまではちょっと大丈夫なのかなと思わされた。

 最初は、「台風と火山」となっていて、低気圧の台風襲来で大地が2,3ミリ上下し、そこに大雨が降ることで大地に微妙な変化を生じさせ、それが火山活動に影響する、といった内容なのでやっぱり大丈夫かなと思ったが、次に「火山噴火と海流」で、そのときの事例が600万年前の地中海で、ジブラルタルが閉鎖されて地中海が干上がった、海水の重みがなくなったので火山活動が活発化して、この状態が30万年続いたあげく海峡が崩壊し、大西洋から水が流入したという話はまあ納得できたし、次の「大気の川と南極」「火山と南極」になると、要するに南極の氷が全部溶けると海面は50m上昇するというわけだが、その伏線としてなんと南極には3000kmの長さで溶岩流の痕跡があって、すなわちぶ厚い氷の下に100以上の火山がつらなっていること、温暖化で表面の氷が溶けると、地表が軽くなり、それまで押さえられていた地下のマグマが上昇、噴火し、それが氷をさらに溶けさせ、それがますます噴火を促進させるというスパイラルとなる、というあたりはなかなか面白かった。

テレビ画面から

 要するに、一見別々の災害にみえるが、実は相互に関連してそれが連鎖的に生じている可能性がある、というお話である。とにかく間尺がなん万年前といった悠久の話で、若干危機意識を煽っているきらいはあるものの、一見無関係と思える科学の基礎研究の重要性を指摘している点は、同調せざるを得ない。

 なぜかNHKオンデマンドで見ることできないようだが(「このビデオは、現在、お住まいの地域では視聴できません」との表示が:U-NEXTでもあかん)、興味深い番組なのに残念である。

 

 ところで話は飛ぶが、古代ローマ時代には海抜は今より80cm 〜1mほど低かった,という話はご存知だろうか。それは2000年間で氷河が溶けたための海水面の上昇による現象なのだが、私がそれを知ったのは昨年のことだった。しかし、たかだか1mの違いにすぎないにせよ、それにマグマ活動における地面の上下運動を付加するなら、場所によっては数メートルの差異にもなって、古代における海岸線での景観を考える上でかなり異なった印象を与えた場合もあったはずだ。これは火山活動が活発なイタリア半島において決して荒唐無稽な仮説とはいえないであろう。

 

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