田中宇氏がまたまた面白い見解を示した。2020/4/28「都市閉鎖 vs 集団免疫」:http://tanakanews.com/200428corona.htm。以下、彼の数字と論理を使っての私見である。
中国の武漢は1月末から完全に都市封鎖を行い、3か月を経て勝利宣言をしたが(中国当局の主張を真に受けると)、むしろそのため免疫を得たのは約3%留まりにすぎなかった。すなわち中国全体は集団免疫の60%にはほど遠いから、確実に再流行に見舞われるはずで、この感染症の影響は長引かざるをえない。それは経済的ダメージの長期継続を意味する。
他方で、対応が遅れて3月末から都市閉鎖したNY市では現在21%の免疫保有者がいるが、それ以外の地域は5%程度に留まっているだろう。トランプは確実に集団免疫の道を歩みたがっている(貧民層および不法移民は確実に打撃を受ける)。4月上旬に規制を厳しくした東京は、それまで事実上集団免疫の道を歩んでいたので、30%以上になっているかもしれない。意図的に集団免疫政策を採用しているスウェーデンは40-50%あたりだろうか。
集団免疫は、無能・無策な国ほど獲得できる。もちろん多くの死者を出すが(有能な国は、一応の高齢者対策を講じているフリはしないといけない)。他方で、非常事態宣言を出して都市封鎖を実施すればするほど、また免疫効果が短期間であれば再感染が長引き、かえって都市封鎖を持続せざるをえず、結果的にかえって、経済・財政・金融破綻、生活困窮者の増加というマイナス面のほうがはるかに大きくなる、というメカニズムに捕らわれてしまう。
こうしてパンデミック(くり返して言うが、歴史的に見て、今回の件は規模的に未だ実際はたいしたことない、のだが)が長引けば、社会問題にすらなってきたお荷物の医療を必要とする高齢者、年金生活者が一掃・淘汰され、免疫を得てコロナと共生できた人類が生き延びていく。このパンデミック後の地球の姿は果たしてどうなっていくのか。私自身は淘汰される側であるが(そして、淘汰されてもいいと思っている。ま、それも運命かと)、それでもなんだか見届けたくなっている私がいる。
ゴリラ研究者の山極寿一氏の、人間による自然破壊が、野生動物=宿主と人間の接触機会を増加させている、という記事も面白かった:http://nml.mainichi.jp/h/acsXa4zdwRncttab
【追記】田中氏続報(5/4:中国式とスウェーデン式):http://tanakanews.com/200504sweden.htm
【追記2】世の識者の中には、感染症は社会的上下、貧富に関係なく犠牲者が出る、とノー天気なことを仰っている人がいるが、それは現実問題としてまったくの嘘だ。どうしてそんな戯言を平気で言えるのか。言外に富者の気の緩みを案じてのことだろう、と一応は言っておこう。だが、そんな人に是非ともお読みいただきたい記事が出てきた。ここにも数字の嘘が潜んでいるわけ:2020/5/16「新型コロナ危機による「不平等な死」 欧州のマイノリティー感染拡大から」(https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200514/pol/00m/010/010000c?cx_fm=mailpol&cx_ml=article&cx_mdate=20200517)。スウェーデンでの患者や死者の内訳をちゃんと見れば(政府は意図的にそうしないわけ)、移民や社会的少数者・弱者が圧倒的なのである。
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