デジタル遺産の件

私には

https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/760979

2025/12/25

パスワードが分からない…「デジタル遺品」が遺族の負担に 対策と注意点は?

 私には金融資産などないが、暗証番号リストを夫婦で互いに交換する必要はあるだろう。

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スマートフォンに残された写真や動画、インターネット上で取引してきた金融資産…。スマホやパソコンを日常的に使う高齢者が増える中、死後に遺族が「デジタル遺品」の扱いに悩むケースが増えている。専門家は元気なうちに利用サービスをリスト化し、家族とパスワードを共有するよう呼びかけている。

■焦ってスマホ解約は注意が必要

 広島県消費生活課によると、県内の相談窓口には「亡くなった父がネットで契約していた業者から請求が来た。解約したい」「故人のフリマアプリの利用料が未払いだが、アカウントやパスワードが分からない」といった遺族からの悩みが相次ぐ。デジタル遺品はスマホやパソコン内の写真や動画、アドレス帳などのデータを指す。デジタル遺品のうち、ネット上で開設した銀行口座などの金融資産、ビットコインといった暗号資産、電子マネーなどは「デジタル遺産」と呼ばれる。

 契約書や領収書などのペーパーレス化が進む。故人が内緒で暗号資産を取引しているケースも目立つ。広島弁護士会の加藤之拓(ゆきひろ)弁護士(45)は「ネット上に財産があっても遺族が把握できなければ相続できない。気付かれないことは最大のリスク」と指摘する。

 電気やガスなど公共料金のほか、動画や音楽配信、雑誌読み放題などサブスクリプション(定額利用)は解約しない限り、利用料金が口座から引き落とされ続ける。加藤弁護士は「死亡後の解約は手続きが煩雑になる場合が多い。遺族の負担を減らすためにも、利用サービスの一覧を共有しておくのが望ましい」と呼びかける。

 スマホは使用料が発生するため遺族は焦って解約したくなるが、注意が必要だ。アプリにログインする際、ショートメッセージサービス(SMS)の受信が必要なケースもある。社会福祉士で終活ビジネスコンサルタントの吉川(きっかわ)美津子さんは「スマホが全容を把握する一番のツール。1カ月ぐらいは継続してほしい。解約したらできなくなることも多い」と強調する。

 スマホはロック機能が搭載されている。解除できるかどうかで情報収集の難易度が変わる。スマホを利用している人は、スマホのパスワードとともに、各種サービスのログインIDとパスワードをエンディングノートなどに記載し、保管場所を信頼できる人に伝えておくことが大切になる。デジタル遺品をどうしてほしいか希望を書き残しておく方法もある。

 生前にスマホのパスワードを知られたくない人もいる。そんな時は修正テープでパスワードを隠す方法がお勧め。遺族がコインなどで削ると確認できる。

 故人のスマホのパスワードが分からない場合、口座の引き落としやクレジットカードの請求履歴、郵便物から有料サービスの利用がないか調べる必要がある。吉川さんは「ネットでの契約はヒントがどこかにある。諦めないで一つ一つ探してほしい」と訴える。(久行大輝)

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