投稿者: k.toyota

金子史朗を読む

 といっても私はそんなに熱心な読者ではない。かつて旧約や新約に出てくる大災害に触れた聖書関係や、専門に関わる『ポンペイの滅んだ日』(1988)や『レバノン杉のたどった道』(1990)をざっと読んだことあるくらいで、まあ内容が内容だけに、天変地異をテーマにした一種のきわものを扱う理系の人、といった印象だった。

 最近になって、ポンペイがらみでウェスウィウス火山についてちょっと知りたくなって文献検索していたら、氏の『火山大災害』古今書院、2000年、がヒットし、我が図書館の所蔵を借り出したかったけど、返却日失念しての罰則期間だったりして(最近これ多くなってまして (^^ゞ:連絡ないので一ヶ月も放り投げてた)、関係箇所(第1,2章)だけコピーしてこのところ読んでいる。そして、誠に遅ればせながら、おやっと思ったのである。

 改めて著者紹介を眺めた。1929年東京都生まれ、東京文理科大学地学科卒業、都立高校教師の後、科学ジャーナリストに転身、これまで実に多くの著作を書いている(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%AD%90%E5%8F%B2%E6%9C%97)。

 ご存命とすれば93歳、書かれた最近のものは2004年のようだ。そしてHP「金子史朗の足跡」(http://wwwc.dcns.ne.jp/~dende/top.html)もみつけたが、表紙だけの作成でおわってしまったようで、残念至極。その更新履歴は2009/1/19となっている。80歳でHP作成を思い立ったその気概には敬服する。出版社が本を出してくれなくなった(これまでの編集者もリタイアするし)、本が売れなくなったというような事情もあったのかもしれない。

 HP掲載のお写真

 氏が東京教育大学出身というのはなんとなく記憶があったのだが(実は何を隠そう、はるか昔そこの受験を考えたこともあったりしまして)、卒業学科が地学科というのはまったく失念していた。今回業績一覧を拝見すると、30台半ばからの論考類はあたりまえのことだが地理や地質学的な内容で、最初の著作も『構造地形学』(古今書院、1967)であった。業績リストに「1962 北海道大学提出学位請求論文」とあったので、気になって北海道大学で調べたら「理学博士(旧制)、学位授与年度1961」とあって(主査はたぶん火山学の大家・横山泉氏だったのだろう)、だけど彼は著作の履歴にそれを全然書いていない。体制順応型の私など、そこから氏の在野研究者としての反骨気質を感じてしまう。提出したらくれるというから出しただけで、だからどうなのさ、というような。

 それはともあれ、『火山大災害』を読んでいると彼の専門分野が遺憾なく発揮され、歴史系の私にとって重箱の隅で若干引っかかる箇所がなきにしもあらずとはいえ(p.71以降で、ポッツオリの遺跡を「セラピス神殿」としているが、あれは正確には神殿ではなく「市場」macellumとすべき;p.73の「ベスゼオ」って誤植?)、たいへん勉強になった。というよりも、第2章でカムピ・フレグレイに関して邦語でこれほど紹介しているのは、彼が初めてではないか。後進としてはあらかた書かれてしまった感じで、今後、火山学・地質学的な知見では隅の親石と定めざるをえないだろう(ま、年月経ているので研究の進展はあるだろうが)。

 ところでカンピ・フレグレイをググっていたら、以下の記事をみつけた。「超巨大火山に噴火の兆候、イタリア:イタリア国立地球物理学研究所が発表」(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/122700499/)。この記事の発信は2016年12月28日である。あれから5年半。何も起こっていない(Solfataraで家族3名が転落事故死したのは翌年の9月だったが)。火山学にはこのような間尺が長く時間的偏差がつきもので、となると非科学的とのレッテルも貼られやすくなる。一方で気を緩めていると福島原発みたいに「想定内」だった津波に襲われて大惨事となるわけで、万一をおもんばかって警告は発しないといけないし、狼少年になりかねないし、難しいところだ。

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安倍晋三の毀誉褒貶

 私から見て面白い記事に出会った。登録すれば無料で読めるはずだ。

谷口智彦「安倍元首相のスピーチライターが見た「アベノミクスの光芒と無念」」(https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/071100398/)

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世界キリスト教情報第1642信:2022/7/11

≪ 目 次 ≫
▽教皇、安倍元首相死去に深い哀悼の意
▽教皇、ウクライナとロシア訪問を依然計画
▽教皇、カンタベリー大主教、スコットランド教会議長がコンゴと南スーダン訪問延期で釈明
▽ロシアのウクライナ侵攻、正確な死者数をBBCが分析
▽舌禍の駐ドイツ大使ら5人解任=ウクライナ大統領
▽米独立記念日パレードで銃撃、6人死亡、20人以上負傷=シカゴ郊外ハイランドパーク
▽国連、北朝鮮人権状況特別報告者にサルモン氏任命
▽苫小牧で外国人船員支えた36年、「キリスト教船員奉仕会」解散

  今回は毛色の変わった情報を紹介しておこう。

◎舌禍の駐ドイツ大使ら5人解任=ウクライナ大統領
【CJC】ベルリン発時事通信によると、ウクライナのゼレンスキー大統領は7月9日、ドイツ政府への過激な批判などで物議を醸してきたメルニク駐独大使を解任した。チェコ、ハンガリー、ノルウェー、インドに駐在する各大使も解任した。

 ゼレンスキー氏はビデオ声明で、大使交代を「通常の外交業務」と説明したが、解任の理由には触れなかった。後任人事の準備を進めているという。
 メルニク氏は、ウクライナへの姿勢をめぐりドイツ政府や当局者を頻繁に非
難。ショルツ独首相を、ドイツ語で理由もなく不機嫌になった人を意味する「気を悪くしたレバーソーセージ」と表現した。□

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選挙資格の確認って

 先日、当日不在ではないのだが不在者投票に行ってきた。休日にわざわざ投票所に行くのではなく、自分の都合で町に出たとき区役所に行って終えることできるのが魅力なのだ。

 ただ、受付でおやっと思わされたことがある。郵送で送られて来た用紙の裏にあらかじめ住所とかを書き入れて係に提示すると、何も聞かれず求められず、投票用紙を渡されるのだ。これではなりすましも可能じゃないか。

 それで思いだしたことがある。以前、マイカードの更新にやっぱり区役所に行ったとき、ちょうど投票することがあって(たしか区長や都議の選挙だったような)例の投票関係の用紙を持参していたのだが、だけど身分証明書を持っていなかったので、マイカードの窓口に投票用紙を見せたのだが、全然受け付けてもらえず、更新の方は出直した嫌な体験をしたことがあった。当方としては、投票用紙なんだから国籍も住所も明記された完璧な身分証明書でしょ、という理屈だったのだが。

 その時思ったこと、区役所のお役人自身が投票関係の書類を身分証明書としては不備であると認識している、しかし投票にはそれでいいとわざと「見逃している」のでは、と。これで実際に利益を得ているという認識を保守的党派が持っているというわけだろう。

 私からすると、なんと投票行為には不正が内在しているやり方がずっと継承されているのである。おかしな話だが、それでよしとしている勢力が裏に控えているような気がしてきたのである。これちょうど、新コロナ給付対策費とおんなじ構図かも。

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攻勢をかける田中氏、でも勇み足では

 このところ田中宇氏が有料記事を次々に無料で配布し出して、「ロシア勝利」で攻勢をかけてるなあと私は思わざるをえないのだが、7/8付の「英ジョンソン首相辞任の意味」(https://tanakanews.com/220708boris.htm)を読んで、あれれと。

 最後の段落で、「(ロシアへの再接近への)安倍の動きを阻止するため、米諜報界が死客【ママ】を奈良に放ち、7月8日に演説中の安倍を銃撃したのでないか」と余分なこと書いていて、これはまったくの空振りだ、と私は思う。

 佐藤暗殺犯が、佐藤の政治信条に対する敵意でなく、ある特定の「宗教団体」云々といっていたという捜査関係者情報は、それ以上述べていない。現在参院選の終盤で母親の多額の寄付で家庭崩壊になったことへの怨みとされて困る(はずな)のは、自民党公認奈良県参議院候補者・佐藤啓の応援演説がらみで、もうひとつの推薦政党の名前が出ることで、だからそれを「忖度」せざるを得なかったのかもしれない。佐藤が来るのだから推薦している某政党(=某宗教団体)からも幹部が来るに違いない、と思い込んで行ってみたが、いなかった(キョロキョロしていたのはそのせいか)。党首が来ていたら一番よかったのだが、だったらまあ第二案の佐藤でがまんするか、という思考の流れであったのだろう、と私は推理する。彼の狙いは、母を巡る騒動での某宗教団体の地元幹部への怨みにあったのであって、佐藤に固着していたわけではないはずだ。

 もう一つの仮説は、以前安倍がご挨拶する画像が流れた韓国系の宗教団体であるが、選挙演説の場での犯行に結びつけるには弱いと感じがする。

 もちろん、私ごときど素人が思いつくくらいだから、政界の皆様は先刻ご承知で(より具体的な警察情報もすでに握っているはずだし)、しかしそれには口をつぐんで「民主主義を破壊する暴挙」などと明後日の方向で非難なさっているようにしか私には思えない。

 田中氏のような「専門家」の陥り易い通弊は、自己の論理におぼれてしまうことだ。だから私は「専門家」をめったに信用しないし、専門家にならないように、常に素人で在り続けたいと思っている。国際政治が専門でない私の素人読みがあたっているかどうか、これは週刊誌の次号で決着つくはずだ。こっちも勇み足かな。

【追記】小澤一郎の発言が飛び込んできた。「日本の国のゆがみや権力の腐敗がこのような事件を導いた。安倍長期政権が政治不信を招いた」(https://www.nikkansports.com/general/news/202207080000897.html?cx_testId=162&cx_testVariant=cx_undefined&cx_artPos=3#cxrecs_s)。公人がここまで言ってしまうのはどうかと思うが。ま、今回の事例は、天下国家への不信ではないようであるし。いや、個人的怨念が、一挙にそこに言ってしまうのかもしれないが。

【追記2】外信ではすでにその団体が統一教会で、その分派で本家と争っているサンクチュアリ教会に犯人が加入していたことがある、と名指しで報道されている(https://www.theglobeandmail.com/world/article-tetsuya-yamagami-japan-prime-minister-shinzo-abe/;https://nfyukon.com/new-details-emerge-about-the-man-who-killed-former-japanese-prime-minister-shinzo-abe-killed/)。そこではサンクチュアリ教会について「The Pennsylvania-based World Peace and Unification Sanctuary Church — also known as the Rod of Iron Ministries — is notorious for its attachment to guns, with members taking part in religious ceremonies holding assault weapons」とさえ書かれていた。犯人が敵意を持っていた宗教団体が正確にはどちらであったのか、現段階では不分明ではあるにしても(犯人の標的が、ちょうど来日中のサンクチュアリ教会のトップ文享進であったとする見方もあるようだ)、国内と外信のこの情報の流れの違いは、今に始まったことではないが。私は安倍とこういった組織の関係はとおりいっぺんの集票団体的にとらえていて、祖父・父以来のそんなに強い紐帯があったことなど迂闊にも知らなかった。

 ところでこんな記事が載った。「安倍元首相銃撃は「民主主義への挑戦」なのか 参院選にどう臨む」(https://mainichi.jp/articles/20220709/k00/00m/010/218000c?cx_fm=mailasa&cx_ml=article&cx_mdate=20220710)。識者二名の発言はいずれも正論だと思う。

【追記3】田中宇氏が以下を公表した。「安倍元首相殺害の深層」(https://tanakanews.com/220710abe.htm)

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古代ローマ史最新情報

 久々に気持ち的に余裕が生じたので「The History Blog」に行ってみたら面白いニュースが色々あった。色々ありすぎて時間をかなりとられてしまった。

ここでは、ポンペイ遺跡から発掘された亀と、ローマでの新たな観光バスの話を紹介しておく。

 まず、2022/6/24発信の亀の死骸。これまでもポンペイからは亀は発見されてきたが、それらは金持ちの家や庭からで、後79年での死亡だった。今回紹介する亀は後62年の地震と後79年の破壊までの間に自然死し、スタビア浴場の発掘で出土したものである。これはどういう意味を持つのか。

 発掘場所は、地震で倒壊した建物が整地され浴場付属の店舗として再建された、その店の南西の角で、地震にも耐えた四角い水盤の奥から、考古学者が雌の遺骨を発見した。彼女は卵を産むために安全な場所を探して、トンネルを掘って部屋に侵入したのだが、難産になり、そこで死んでしまったのだろう。卵を産み落とさない限り(あるいは人の手で取り除かない限り)、動物は死んでしまう。成体の甲羅は8〜10センチ程度であるが、この個体の甲羅の長さはわずか5.5インチで、まだ未熟であることがわかる。この若さが卵を産めなかった一因かもしれない。卵は甲羅と一緒に取り出された。

 この亀の発見は、震災で瓦礫と化した街の中心部の家屋が、すぐに再建されたわけではないことを示すという意味で重要だ。今の福島と同じく、人影のない廃墟と化し、野生動物が住み着くようになった。そして店舗が再建されたとき、その隅にいた亀の死骸に誰も気づかず、床を高くする工事の盛り土の中に埋もれてしまった、というわけ。

 次に、6/23発信の「VRバスで古代ローマにタイムスリップ」

 ローマで、バーチャル・リアリティ・バスがデビューした。トラヤヌスの円柱からフォーラム、コロッセオ、パラティーノ、チルコ・マッシモ、マルケルス劇場まで、古代ローマの最も重要な場所を最大14人の乗客で30分かけて周遊する小型完全電気バス。車で移動中、VRの魔法で乗客はタイムスリップし、遺跡が遺跡である以前の街の様子を見ることができる。

 各窓の前には透明な4K有機ELスクリーンが、スクリーンと窓の間には電動カーテンが設置されている。乗客は、古代ローマのモニュメントを見たいときはカーテンを上げ、現在の姿を見たいときはカーテンを下げる。

 遺跡に同期しての画像はもちろん、香りを放出する「フレグランスデリバリーシステム」も予定されている由。すなわちバスが神殿や広場、コロッセオ、チルコ・マッシモのそばを通るとき、古代ローマの香りを呼び起こすため、神々に捧げられた供物や乳香、没薬などの香料、闘技場で使われた様々な香料など、その場所に合った香りが通過するたびに放たれる、と。

 バスは午後4時20分から午後7時40分まで40分間隔で運行。英語での案内は5:00、6:20、7:40のバスのみで、他はすべてイタリア語。通常チケットは16ユーロで、オンラインまたはトラヤヌスの円柱のチケット売り場で購入できる。 6歳以下のお子様は無料でご乗車いただけます、とのこと。

 私が毎年通っていたころは「アルケオ・ブス」が走っていた。これはアッピア街道あたりの要所を走っていて、途中下車・乗車が可能だったので、遺跡めぐりには大変便利だったのでよく使ったのだが、間引き運転もよくあったりして、このあたりはいかにもイタリアだなと。それがいつの間にかなくなってしまい、大変がっかりしたものだ。だから、今回の試みはかなり複雑な構造なので、さていつまで続くのかはなはだ疑問だが、なくなるまでに一度は乗ってみたいものだ。来年までもってほしいものだ。

 以下、余りに豊富な情報なので、題目をリストアップするだけにとどめる。興味ある人は「The History Blog」に行ってみてください。

7/5:「カラカラ浴場地下に埋没していたドムスのフレスコ画が公開」

7/1:「トルコ出土のローマ時代石棺から切り落とされたエロス頭部をイギリスが返還」

6/22:「アンティキティラ島のヘラクレスの頭部が胴体から120年後に発見された」

6/21:「オランダで1世紀のローマ時代の聖域が発見」:ファルスも出ている

6/19:「ポンペイ、「ケレスの家」と出土馬骨格が再公開」

6/10:「ガロ・ローマ時代の聖域でブロンズの鷲と稲妻のカップが発見」:把手のユピテルのアトリビュートの雷鳴が興味深い

6/6:「フランスのル・マンのローマ時代の城壁」

6/4:「出土品の再生鋳造工場Fonderia Chiurazziのコレクション1650以上がポンペイ遺跡公園に寄贈さる」

6/1:「イギリスのケント付近からファルス出土」

5/23:「サルデーニャのPorto Torres出土のローマ後期夫婦の葬祭用モザイク画が復元展示」

5/21:「2018年コモ出土の水差し内からちょうど1000枚の金貨、その他出土」:これの重要性は、金貨の発行年代が後395−476年であり、うち744枚が455年以降(西部帝国滅亡末期)の打刻、という点にある。

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世界キリスト教情報第1641信:2022/7/4:中絶問題

≪ 目 次 ≫

▽「アル・ジャジーラ」アブアクラ記者死亡めぐりイスラエルとパレスチナの間に確執
▽教皇庁が米最高裁の中絶違憲判断を称賛、社会支援も訴え
▽グリーン・デイのボーカルが米市民権放棄を表明、中絶めぐる最高裁判断受け
▽ペロシ下院議長が教皇に謁見、聖体拝領受ける
▽レバノンの政治家ミカティ氏、4度目の首相指名、権力闘争が表面化で組閣難航も
▽九州大学准教授の武田秀太郎さんにナイト勲章、マルタ騎士団の一員に
▽ウクライナ東部セベロドネツクが陥落、ロシアの「完全な占領下」に
▽ロシア、ウクライナの商業施設をミサイル攻撃、少なくとも13人死亡
▽東部リシチャンスク陥落=ウクライナ軍、撤退認める
▽貧しい人々と共に「オッセルバトーレ・ディ・ストラーダ」創刊
▽10年に一度のキリスト受難劇、今年は予定より2年遅れて上演

 今日はやっぱり2番目ですね。

◎教皇庁が米最高裁の中絶違憲判断を称賛、社会支援も訴え

【CJC】バチカン市発ロイター通信によると、バチカン(ローマ教皇庁)の生命アカデミーは6月24日、米連邦最高裁が人工妊娠中絶を憲法上の権利と認める1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下したことを巡り、生命について考えるよう世界に問題提起したと称賛した。一方、女性が中絶しなくてすむよう社会変革を求めた。

 生命アカデミーは声明を発表し、生命は「広範囲な社会的重要性」を持つ問題であり、生命の保護を個人の権利によって制限できないとの見解を示した。

 生命アカデミーは、あらゆる段階の生命を保護しやすくなるよう、社会環境の変革に期待。「母親やカップル、まだ生まれていない子どもたちに対し、社会全体で盤石の支援を提供する必要がある」と訴えた。

 カトリックを信仰するバイデン米大統領は、この日を米国人にとって「悲しい日」として判断を非難。最高裁の保守派判事らを「極端だ」と糾弾した。□

 私の個人的見解は、胎児は発生時から人間であるので、中絶はやはり一種の殺人である、しかし諸々の事例で誕生が望まれない場合が生じるわけで、これに対しては社会的な受け皿の整備が必要である、というもの。しかし、実際にはそうはなっていない現実がある。
 カトリックの主張は硬直した理想論を言っているように捉えられがちだが、今回みたいに最後まで読むとちゃんとフォローはしているわけで、だが、現実問題としてはなかなか厳しい。

 バイデンは、政治家なのでその口上を信仰と結びつけると間違う場合もある(ウクライナにしても、台湾にしても、彼は呆けて放言しているのではない、と私は睨んでいる)。
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またなじみの店がひとつ消えた・・・

 上京以来30年経つが、ずっと練馬区に住んでいるので、都心に出る場合、地下鉄で新宿か西武線で池袋経由となる。新宿は昔の勤め先がらみであるが、池袋のほうは私的な買い物先だったりする。だからなじみの店も池袋のほうが多い。

 先日も、我孫子方面から帰宅途中にいつも寄る店に寄ってみたら、なじみのおばちゃんが「明日でここは終わります」と。ああ、ここもか。ようやく見つけた好みの味の店が、ときどきこうして消えてゆくのだ。

 妻もそこの味を好んでいたので、我が家にとってこりゃ一大事だと。西が長かった我が家では東の味は未だに馴染まない場合が多い。私にとり無条件にうまい東の食べ物は、焼津の干し魚と千葉の納豆ぐらいで、お好み焼きソースはいうまでもなく、醤油やみりんは相変わらず西のものを使っている。それもあって、よく買うのは和食での微妙な味が無視できるタイやベトナム料理の惣菜だったりする。

 それにしても、歳月とは無情なものだ。

 

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ポンペイの遺骨からゲノム解析に成功

 ポンペイ遺跡の中でも保存状態の良い建物の一つであるCasa del Fabbro(鍛冶屋の家:I.10.7)で、1932-33年にかけて行われたAmedeo Maiuriによる調査で発見されていた2名の骨格を、あらためて生物考古学と古生物学の学際的アプローチで分析したらしい。一人目は死亡時35歳から40歳の男性で、身長は約164.3cm。二人目は女性で、死亡時50歳以上、身長153.1cmだった。この身長はいずれも当時のローマ人の平均的な身長と一致するが、保存がよかった男性のほうからのみ全ゲノム配列を決定することができた。5/26にScientific Reportsで公開。

2遺体は、平面図の9から出土した。右写真は発掘直後のもの。左が男性

これまでは高熱に曝された遺骨ではDNAは破壊されていて調査不能とされていたが、最近の調査方法の進歩により解析が可能となった、らしい。

 男性のDNAを他の古代人1,030人および現代の西ユーラシア人471人から得られたDNAと比較したところ、現代の中央イタリア人およびローマ帝国時代にイタリアに住んでいた他の人々と最も類似していること、この男性のミトコンドリアとY染色体DNAを分析からは、サルデーニャ島出身者に共通する遺伝子群も確認された。これはローマ帝国時代にイタリア半島全体で住民の移動がなされていたことを示唆しているが、かの男性の場合はイタリア半島的特徴が強いので外国からの奴隷ではなかったと考えられている。

 また、この男性個体の骨格とDNAを追加解析したところ、脊椎骨のひとつに病変があり、結核の原因菌であるマイコバクテリウムが属する細菌群によく見られるDNA配列が確認された。このことは、この人物が生前に結核に罹患していた可能性を示唆している。この病気は、Celsus、Galen、Caius Aurelianus、Areteus of Cappadociaの著作で報告されているように、ローマ時代には風土病であったが、ごく一部の人にしか骨格変化が起こらないため、考古学的記録ではまれな病気であった。こうして、人間の移動にともなっての結核の蔓延も同時に立証されたわけである。

 こういう科学的調査を徹底的に行うことで、古代ローマ帝国のライフ・スタイルの実際が再構築されてゆくのが期待できそうである。

【余談】

ここの玄関の外に落書きがあった(CIL, IV.8364).

Secundus

Prim(a)e suae ubi-

que i<p=S>se salute(m) Rogo domina

ut me ames         

Secundusは、彼のPrimaに、彼女がどこにいようが、挨拶します。願わくば、女ご主人様よ、私を愛してちょ。

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遅ればせですが:水中考古学の本

 以前、山舩晃太郎氏の本とサイトを紹介したが、今年の2月になんと別の若者?が同種の著作を公表していたことを最近知った。

佐々木ランディ『水中考古学:地球最後のフロンティア』エクスナレッジ、2022/2。

 山舩君よりは8歳年上で、今から12年前にすでに一書『沈没船が教える世界史』メディアファクトリー、2010(ここでの著者名は「ランドール・ササキ」となっている:ちなみに彼は母親がアメリカ人のハーフ)をものにしている。テキサスA&M大学でも同門のようだが、お互いに面識はないらしい(そんなはずはないような気がするのだが、ま、いいか)。

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