2019年05月13日
◎教皇、虐待の通告義務とそのための制度整備を促す自発教令
【CJC】教皇フランシスコは5月9日、自発教令の形をとった使徒的書簡「ヴォス・エスティス・ルクス・ムンディ」を発表した。この自発教令は、虐待や暴力を届け出るための新しい手続きを定め、司教や修道会の長上らにとるべき態度を周知させるもの。教皇は教令の中で、「過去の苦い教訓」から学ぶべき時と述べている。
カトリック教会では、オーストラリア、チリ、ドイツ、米国を含む世界各国で聖職者による性的暴行が相次いで明らかになっている。
『バチカン・ニュース』によると、教令は、聖職者・修道者による性的虐待や、虐待調査への介入やごまかしにつながる、司教や修道会の長上の不注意との闘いを目的としている。
その主な内容の中でも重要なのは、世界のすべての教区に、2020年6月までに、聖職者・修道者による性的虐待、児童ポルノ素材の使用、その虐待の隠ぺいについて、「一般の人々が通告するための、アクセスが容易な、常設のシステム」を備えることを義務づけている点。
その「システム」がどのようなものであるかは定義せず、地域の文化や状況に合わせ、各教区の選択に任せている。
もう一つの重要な点は、すべての聖職者、修道者に対する、虐待に関するすべての情報を「ただちに通告する」義務。この情報には、虐待の件の扱いをめぐる怠慢や、隠ぺいも含まれる。
これまで、この義務はある意味で個人の良心によるものであったが、今後は普遍的な一つの法規となった。
この義務は聖職者と修道者のためのものであるが、教令では、すべての信徒もこのシステムを通して、虐待やハラスメントを、教会の同問題における担当責任者に勇気をもって通告するよう励ましている。
この通告義務は、聖職者側からの女子修道者に対するあらゆる暴力のケースや、成人の神学生あるいは志願者へのハラスメントのケースも含んでいる。
教皇は、この新しい法的手段をもって、カトリック教会が虐待を防止し、この問題と闘うための新しい確固たる一歩を記すことを期待している。□
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幾度も言っていることだが、これは決して現代だけの問題ではない(これを問題視する世情になったからこそ、表ざたになっているだけのこと)。カトリックを、否、人間を歴史的に考えるということは、こういう恥部にも触れざるをえないわけである(ま、ありていに言うと、人間の性欲という本源に関わっているからだが)。それを黙殺したり無視するのではなく、丸ごと射程に入れて考察することから出発しなければならない。しかも、人間が人間である限り、こういった問題行動はとうてい撲滅など期待すべくもないはずで。
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