CNGのオークション465でまたもや珍しいコインが売りに出た。
320年シルミウム造幣所打刻の、コンスタンティヌス大帝(表側:CONSTANTINVS MAX AVG)、クリスプスとコンスタンティヌス2世(裏側:CRISPVS ET CONSTANTINVS CC:SIRM)の三皇帝の肖像画を刻印したAR Miliarenseで、出品者想定価格は$7750。まず私などの手にはおえない。
2世は正妻Faustaからの316年頃の出生で、なんと半年後の317年にシルミウムで副帝caesarに昇格されている。クリスプスは300年頃に先妻(内縁)Minervinaから生まれた長男で、同じく317年に17歳で副帝昇格された。要するに以前紹介した319年打刻の陣営図型貨幣(ブログ2019/5/15)の翌年に製作されたもの。ちなみに大帝は47,8歳であった。
私が注目するのは、この三皇帝並置のデザインが、「ラバルム」labarum、私が言うところの「皇帝旗」にきわめて似かよっていた可能性を感じるからである。以下が、エウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』Ⅰ.31に基づいて作成された想像図である。そこでは「皇帝の胸像と、同じく彼のご子息たちのそれ」と書かれており、複数形の息子たちの数は明らかではないが、312年の後のことなので、まず319/20年段階では上記三帝だったとしていいだろう。
そして、以下の図は、コンスタンティノポリスの宮殿入り口門に掲げられた巨大なパネル絵の想像図である。これもエウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』Ⅲ.3の叙述をもとに作成されたもの。
めざといあなたは気付いたはずだ。上図のラバルムはブログ2020/1/12で紹介した「SPES」コイン裏側のデザインでもある。
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