目のしょぼつき:痴呆への一里塚(20)

 某学会から一昨日、古代ローマのスポーツについて月報にちょっと書きませんか、というお誘いが飛び込んできた。何分にもこれまで手を染めた分野でなし、だが守備範囲の周辺にちらほら見え隠れして気になっていたことでもあり、やらせていただくことにした。

 まず思い浮かんだ対象は、拳闘・レスリングで、これはいうまでもなく「ペルペトゥア受難記」に登場しているからである。それだと、ローマのカラカッラ浴場出土で、国立ローマ博物館やバチカン博物館所蔵のモザイクや、アクイレイアの博物館のものが知られている。そういえば、このブログでも紹介済みのイギリスのヴィンドランダで新発見もあったなあ。でもまずはウェブ検索で、できるだけ未知で見栄えのいい画像を、と昨日パソコンにかじりついてしまったらしい。「らしい」というのは、その自覚がないままに没頭してしまったからで、結果、夜半過ぎに目がしょぼついて涙目となり(要するに、字が見えづらくぼやけ、悲しいとか感激しているわけでもないのにやたら涙が出てくる)、こりゃ駄目だと私としては早めに就寝したのだが、今朝起きてみるとやっぱり目がかすんで不調である。まあ日頃、テレビもよく見てはいるし、目を酷使しているのは確かである(その上、両目とも緑内障)。

 それで上記の自己診断に相成ったわけで、思ったのは、若い時とはいえ、本を読んでこんなことになった記憶はないので、筆記用具と原稿用紙では意想外だが、こんな感じで仕事道具のディスプレイが疎外要因になっていくのか、という思いだった。それでせめてもの自衛策で、これまでも輝度は半分に落としていたのを、更に暗くすることにした。

 でも、それだけ集中して探し回ったおかげで、いい画像を見つけた。それは私にはまったくの初見の、ギリシアのペロポネソス半島の根っこに位置する現在名Patra(s)出土の「技芸と運動競技の床モザイク」(パトラ考古学博物館所蔵)で、いかにも帝国東部の緻密な作りで、余裕があればコマごとに詳細に考察したい題材である:http://ancientrome.ru/art/artworken/img.htm?id=6394#sel=1:1,1:1;https://blog.mozaico.com/archaeological-mosaic-art-muse/

 ただ、版権の問題もあって今回の件では使えないので、ここで紹介しておく(本当はここでもまずいかも、だが)。結局は自分で撮った画像がらみとせざるを得ないのが、残念。

 それにしても、この機会に、「拳闘士競技・レスリング」が当時の格闘技の中でどのような位置づけだったのか(人気の程度や、催行場所とか)を明らかにしたいものだ。

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