コロナ後の社会の変化が論じられ始めた昨今、しかし私には若干違和感がある。コロナ後に社会は元に戻るだけで、いわれるほどの変化は生じないだろう、特に日本では、と考えるからだ。たしかにテレワークが飛躍的に増加したかもしれないが、それは非常事態への臨時対応であって、平常に復せばやはり元の木阿弥になる可能性のほうが大きいはずだ、という直感によっている。
しかし、一度味わった在宅勤務のうまみをサラリーマンは忘れることはできないのも確かだ(痛勤なし、不毛な人間関係の軋轢なし、マイペースでの勤務可等)。私にはサラリーマン体験がないので分からないところがあると思うが(大学教員など、どちらかというとこれまでも半分以上在宅勤務系だった)、在宅勤務を是として前に進めるためには国による「在宅勤務権」の法制化が絶対必要だと思う(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60324760S0A610C2MM8000/)。
だが、例のごとくスローモーな我が国のこと、たぶんこの潮流には乗り遅れ、よって従来の勤務形態に復帰せざるを得ないだろう、それがさらに「衰退途上国」への流れを促進するはず、と私は読んでいる。ともかくすでに労働生産性において世界主要国中で最底辺の21位とか(あのイタリアよりもランクが低いとなれば、ここでも統計に不信感をいだかなければならないかもだが、今回の電通ではないが、大企業で生産活動しているわけではなく利ざやだけとり、実際の仕事は4次5次の下請けがしているというシステムが問題らしい)。学校関係での新学期9月移行が今回も流れてしまったのが象徴的である。私は密かに安倍政権の後先考えない独断専行をこの件についてはどこかで期待していたのだが(そこまで根性が座っていなかったわけ。ま、分かっていたことではあるが)。それで国際化が促進するなどと楽観論に組してのことではなく、単に入試時期を受験生に苛酷な季節から移動させたいと思ったからである。誤解なきよう付言しておく。新しい制度では新たな問題が生じる。このモグラ叩きに終わりはない。
さて、なぜかバラ色で描かれ勝ちな「在宅勤務」であるが、当然マイナス面がある。それを週の7分の3は在宅だった私の体験から述べてみたい。まずは、痛勤がないので、運動不足となる。それは肥満体質の人には生活習慣病への突入を意味する。また真面目に研究をする大学教員は際限のない時間外労働に知らず知らずのうちに取り込まれてしまう。私も現役だった時は、それでも週の半分は授業や会議で登学しなければならないので、社会人としてまだまともだったと思いたいのだが(登学するだけで、それなりの運動となった)、リタイアしてからは完全に昼夜が逆転する不健全な生活の常態化となった。もちろん、老化による能率がた落ちという事情もあるし、切迫した日限もないので、ま、よろずマイペースとなり、これは精神的にはいいかもだが、明日がないくせに明日なろうと先送りしてしまう。
要するに、体感的には、これまで以上に健康面での自己管理が必要となる。それができない私にもう先は見えているといっていいだろう。私は先のない老人だからいいとして(本当は、ぽっくり逝きたいので、いいはずはないが)、若い時からそうなっちゃったら、どうなるだろうか。考えるだけで恐ろしい。
【補遺】このところ興味深いコロナ関係の新聞ウェブ記事が連発されている。いずれもM日新聞であることはさすがだ。特に3番目の都市封鎖がやり過ぎだとの、いかにも関西的な率直な意見は読み応えあった。
◎ 日本の死者はなぜ少ない? コロナ諸説を探る:http://nml.mainichi.jp/h/aczGa5hYgVoNigab
◎ 日本の奇跡は完全な虚構だ! 山梨大学長・島田眞路が怒りの告発:https://mainichi.jp/sunday/articles/20200609/org/00m/010/002000d
◎ 大阪モデルの「過剰な要請は不要」だった?:http://nml.mainichi.jp/h/ac1sa5ig2TtX6pab
◎ コロナと重なる「複合災害」時代の備え:http://nml.mainichi.jp/h/ac1uayhnidaxwqab
それにしても、人口数千万の主要国が10万、20万の感染者数なのに、かの中国は感染者数8万3千、死者4千600とは。
【追伸】ピンチはチャンス、と本当に思う。「テレワーク、憧れの書斎は1畳半 改装や郊外へ転居も」(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60504480Y0A610C2H11A00/)。テレワークへの対応で従来の住宅の部分的リフォーム需要。すばらしい着想だと思う。私は、よほどテレワークが浸透しない限り郊外への住み替えは生じないだろうと思ってきたが、リフォームのほうはありだと思う。いや、私自身が、同居人の生活音(テレビなんかも含む)や移動を妨げないようにしたいと思っているからだ。テント形式もあるが、音声遮断が必須だと思うので、やはりそれなりの改築となるだろう。
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