【2021/2/1発信】イタリア・ローマのヴェネツィア広場から発して南北に突っ切っている直線道路がコルソ通りだが、その一本東側の大通りを入って右側奥に巨大な列柱廊が特徴の教会がみえる。これが聖十二使徒教会 Basilica dei Santi XII Apostoliで、500年間フランシスコ会厳格派(コンベンツアル)の拠点となっている。
そこに保管されてきた聖遺物が、後6世紀以来、十二使徒のうちのフィリッポと小ヤコブのものと伝承されてきた。具体的には、小ヤコブの大腿骨破片と、フィリッポのミイラ化した足破片と頸骨破片である。これらがいつ、どこから将来されたのかという聖遺物の移葬事情は不明である。今回、南デンマーク大学教授Kaare Lund Rasmussenを中心にした調査団が聖遺物調査にチャレンジした。その結果は以下のようだった。
フィリッポのものは、除染がむつかしく、放射性炭素年代測定できなかった。
小ヤコブの大腿骨の年代測定には成功し、後214-340年と数字が出た。よってこの骨は小ヤコブのものではなかったわけである。ラスムッセン教授は、誰の骨であったのかは不明であるが、小ヤコブの骨と信じていずれにせよキリスト教徒の墓地から採取されたに違いない、と話している。https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2021/02/scientific-investigations-of-believed.html
【付記】この教会の祭壇前に巡礼者用の地下クリプトへの階段がある。そこにはカタコンベを再現した碑文やフレスコ画がもっともらしく飾られていて、アッピウス街道まで足を伸ばせない観光客にはそれなりに雰囲気を楽しむことができるので、ぜひ見学してほしい。
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