帰京したら届いていた郵便物の中に『図書』9月号があった。それをペラペラ眺めていて、その巻頭言と無教会主義関係が気になった。
いかにも岩波文化人的な立脚点だなと思ったのだが、研究者が今さらだが、自分の研究対象に対して疑問を持ちだしているかのごとき書きっぷりなのである。それは彼らが理想化してきた研究対象への幻滅を意味するのだが、「最近のアメリカがおかしくなっている」という視点から論じられているようで、これには私は、心底おかしい、それでも研究者なのか、いや現実をきちんと把握していないエセ研究者らしい言だなと。「そんなレベル? 身びいきもいい加減にしてほしい」というのが私の率直な感想である。アメリカは昔も今も金科玉条のごとく叫んでいる民主主義のリーダーとは言いがたい現実をのし歩いてきた存在だったはずだ。中共が「あんたに言われたくない」と言うのもよく分かる。いや、誤解ないように書いておくが、私は中共が理想的とまったく思ってもいない。しょせん、目くそ鼻くその類いなのだ。
無教会主義を理想化してきた連中だって、一皮めくれば皇室崇敬から解き放たれていたわけではなかっただけのことで、そんなことちょっと考えれば当たり前のことなのだが、それをまあ初めて明らかになったという筆致で述べているレベルは、ちょっと前に触れた漱石神話化と同じ穴のむじなに思えてしまう私である。
こう考えてしまう私の方がおかしいのだろうか。
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