アウグスティヌスは、親元を離れてのカルタゴでの遊学生活の中で16,7 歳で同棲していた女性がいて、18歳で一子を得ていたが、14年後にミラノで望外の立身出世を果たした彼は母の強い意向で内縁関係を解消した経緯があった。この事情は彼の『告白』(IV.2, VI.13-15)から伝えられてるわけだが、なんとその離別から10年以上経って、ヒッポの司教になっていたアウグスティヌスに、かの女性から書簡が送られてきていたという。それが”Floria Aemilia Aurelio Augustino epistcopo Hipponiensi Salutem”であることを、私はググっていて初めて知ったのである。
もちろん歴史学的にそんなものが残っているわけではない。ノルウエー人作家Jostein Gaarderの創作小説なのだが、その邦訳が1998年に堂々たる出版社から出されていたことを今頃になって知ったのは、私の不覚である。
ヨースタイン・ゴルデル(須田朗監修・池田香代子訳)『フローリアの「告白」』日本放送出版協会、1998年、¥1600。
あまり売れているようには思えず、今でもアマゾンで定価よりも安く売りに出ているので、興味ある人は急いで購入すれば破格の値段で入手できるはず。
No comment yet, add your voice below!