今度は中流階級の住居出土:ポンペイ

  継続発掘されているポンペイ近隣のCIVITA GIULIANAで、奴隷の部屋が出土したという報告があったが(2021/11/6:http://pompeiisites.org/en/comunicati/the-room-of-the-slaves-the-latest-discovery-at-civita-giuliana/)、今度はポンペイで、中流階級の家が発掘されたとの報告が、2021/8/6になされた。

 このところ継続的に発掘がなされているポンペイの第5地区で、2018年に豪華なララリウムの祠と驚くべきフレスコ画が出土した「魅惑の庭の邸宅」(https://www.pompeiiinpictures.com/pompeiiinpictures/R5/5%2003%2012.htm#lararium)の奥を掘っていたら、予想外に質素な部屋が4つ出てきた。発掘者たちはそれを中流ないし下層民の住居と断定した。例によって発掘地点は明示されていないが、V.3.12.13付近と思われる。

今回の質素は部屋は破線の凸部分付近と思われる

 従来豪華な邸宅に目がいっていた研究者たちも、最近は中・下層民や奴隷の日常生活に興味を持つようになってきていたが、そこに今回の発掘は絶好の傍証となったわけである。これらの部屋の壁は漆喰だが剥き出しで、床も土間のままだった(こういった部屋は従来もポンペイから出土していたはずだが、出土品も日常使いのものだったのでこれまでは美術的に無価値と断じられ蔑ろに扱われ、特に発掘初期には処分されてきていたのだろう:処分の内実とは、例によって闇市場に横流しされ、好事家やマニアの手に渡っていったことを含めてのこと)。

 ある部屋には、2000年間開けられなかった食器棚があり、中にはガラスの皿や陶器の鉢、花瓶などの食器がそのまま入っていた。別の部屋には、装飾品が残されたテーブル、ベッド、トランク型の箪笥があり、その中からみつかったものの中には、古代ギリシアの神ゼウスが鷲に変身した姿を描いた浮き彫りが施されたオイルランプがあった。

たぶん食器棚からの出土品:日常品のガラスや陶器の器類
この写真はたぶん「寝室」かと;右は上から部屋全体を俯瞰した写真
左写真の左側が、石膏で復元され蓋のない箪笥、右側が三脚の円卓:右写真、箪笥から出てきたオイルランプ

 以下も参照。https://karapaia.com/archives/52315493.html

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