2022/11/19 午後7時から「地球ドラマチック」で、44分間「ポンペイの起源:もうひとつの埋もれた歴史」が放映された。
ポンペイ前史を要領よくまとめた2022年フランス制作のもの。内容的にはちょっと引っかかる所もあるが(水の供給をAugustusの水道橋としている箇所とか)、ポンペイが多様な民族によって形成された前史を持っていた、という件はおおむねきちんと報告されていたと思う。
私的には、番組の中でちょっとだけ触れていた、港の問題とか、昔は北側をサルノ川が流れていたとかいったあたりをもっと丁寧に検証してやってほしかったのだが(いずれもこの春の学会で私が試論的に発表した論点がらみ)、44分間ではしょうがないか。
現在、以下で、11/26午後7:44まで「NHK+」での見逃し配信があって見ることできる。https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2022111920171
残念なのは、なぜか画像をスクリーンショットできないこと。なんでや。iPhoneで撮るしかないか。
【追記】しょうがないから、見逃しがある間にと慌てて調べて(実はiPhoneのホルダーも購入してしまった)「CleverGet」というソフトを購入して録画に成功した。これは色んなところのストリーミング動画をダウンロードすることできる、という触れ込みなのだが、3本まではお試しできて、それで納得した私は「動画」と「NHK Plus」だけ選んだので、永久使用料が1件ごとに9870円かかるところ、50%引きで、消費税込みで10858円かかった。自分の心覚えだけにしか使わないのだから、それでも物入りなことだ。
【追記2】上記放映について、ほとんど日本唯一のポンペイ考古学者のS氏からは以下のようなコメントが届いた。
「門が8つありそのうち7つが見つかっている」,「小さな町を取り囲む城壁があった」,「前6世紀から既にフォルムを貫く直線的幹線道路が敷設されていた」等々,突っ込みどころが満載でしたが,中でも問題だと思ったのは,ご指摘にもある「ポンペイ城壁北部を流れる川」に触れた箇所でした」。
我々は画像を見て解説聞くのに忙しいのだが、やっぱり専門家はめざとく問題点に気付いている、その注意力はさすがである。
たしかにこの作品の内容は、えっと思うほど学問的に古い知見が多かった(映像も使い回しの繰り返しが多かった)。2022年制作となっているのに何故か。それは登場した研究者が本当の専門家でないのでそうだった場合と、ディレクターが事前調査した内容的に古い情報(一般向けの経年書籍はおおむねそう)を骨格にしてシナリオを書き、それを解説部分で音声で流し、研究者が色々喋った内容から自己都合に合致する箇所だけ抜き出した場合もあるからだ。本当は専門の研究者たちへの取材を重ねて最新情報を盛り込むべきなのだが、経費問題とか起案書作成とかで手軽な方に走ってしまう事情があるのだろう。底の浅さが透けてみえるのだが、しかしそれがむしろ一般的な視聴者には受けはいいのも事実で(だから視聴率も上がるし、まあそれが商売人ディレクターの本領発揮というわけだろうが)、肩が凝らずに見ることできるからだろう。
その点、2022/9/15掲載したNHK BS4K プレミアム「最強の帝国ローマ」の出来は出色だった(古色蒼然たるテーマ名はどうせなんたら女史かぶれの日本人ディレクターの命名なのだろうから無視)。また、国際共同制作と銘打った2019年フランス製作の「よみがえるポンペイ」(NHKオンデマンド)もよかった。もちろんこういう力作を高く評価する視聴者も多いはずだ。最後のものを私は上のソフトで録画に成功した。1時間半近くの長丁場だったが。
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