投稿者: k.toyota

今晩の皆既月食

 2022/11/8に442年ぶりの怪奇、もとえ皆既月食が18時過ぎから21時ごろまで見ることできるとのこと。次回は322年後とのことなので、いずれにせよ我が人生に一度だけの天体ショーである。https://news.nifty.com/article/technology/techall/12213-1974861/

 年取るとこんなことも感慨深く感じるようになるようだ。

https://news.nifty.com/article/item/neta/12305-1973692/

 なお、月と入れ替わりに20時30分頃から天王星食も生じるようだが、天王星はそう明るくないので、目視は困難だそうだ。この両者同時の出来事は過去5000年に一度もないそうである。

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世界キリスト教情報第1659信:2022/11/7:トラスとレタス

≪ 目 次 ≫
▽英国国教会のオックスフォード主教、同性婚禁止に終止符を打つよう求める
▽燃やされるのはトラス前首相とレタス=英ガイ・フォークス・ナイト
▽教皇、バーレーン訪問を終了、ローマに戻る
▽WCC総幹事代行、モスクワでキリル総主教と会見
▽バンコクで2年越し「アジア2022」=全アジア規模で宣教考える

 今回は、トラスとレタスの件を紹介しよう。

◎燃やされるのはトラス前首相とレタス=英ガイ・フォークス・ナイト

【CJC】AFP=時事通信によると、国王爆殺計画が未然に防がれた歴史的事件を記念する英国の祭り「ガイ・フォークス・ナイト」は著名人を模した人形を燃やすことで知られるが、今年は史上最短の在任期間49日で辞任したリズ・トラス前首相の人形が火にくべられることになった。

 英南東部ケント州のイーデンブリッジで11月2日、高さ10メートルのトラス氏の人形がお披露目された。英大衆紙上でトラス氏の政治生命と賞味期限を競って勝利したレタスを肩の上に乗せ、足元には首相官邸に暮らす猫のラリーがまとわりつく姿。アーティストのアンドレア・ディーンズ氏が制作した。

 「ボンファイア・ナイト(たき火の夜)」とも呼ばれるこの祭りは、1605年11月5日に、ガイ・フォークスらカトリック教徒がプロテスタントの国王ジェームズ1世と英国会議事堂を、たる36個分の火薬で吹き飛ばそうとした計画が阻止されたことを記念する行事。11月5日か直近の週末に、かがり火をたき、花火を打ち上げ、人形を燃やすのが恒例となっている。□
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古代ローマの未解決遺物:spintriae【閲覧注意(^_^;】

 「spintria」とは、辞書的にはこの言葉は「男色」とか「男娼」といったきわものめいた名称だが、英訳では「セックス・トークン」。この貨幣型をしたトークン、実は私もおそらく模造品ながら(新品同様の輝きだったので)ebayでの出物をみつけ、教材としてチェコから6枚ほど入手している。価格は購入時で¥5620。

 上掲のように、20ミリから23ミリのやや小型の貨幣状の裏表に数字とセックス体位の図像が打刻されているのが通例である(なぜかほとんどが男女ペア:これを根拠にローマ世界ではギリシアと異なり同性愛は実際には低調だったという研究者もいるようで、私などすぐさま納得されそうになる)。数字と図像がどれでも共通していないので、相関関係はない。数字はI からXVIまで確認されている(ごく少数ではあるがそれ以上もある)。また図像には以下のような男根とか動物同士の獣姦を描いたものもあるらしい。材質は通常真鍮か青銅製。

 解説によると、発行年代はティベリウス帝代(治世は後14-37年)の22-37年と、ごく限られていたと言われている(もちろん、別説あって、70-75年発行や75-90年発行もあったとする者もいる)。

 最大の謎は、なんのために制作されたのか、それがよく分かっていない。

数字が体位による値段であるという説もあるが、数字が同じでも図像が違っていたりするので、却下(ただし、当時の娼婦の相場は2-10/20アスらしかったので、 一応XVIまでの数字なのはリーゾナブルであるが)。

 旅人や兵士が言葉の通じない異境の地で買春する場合に、なにかの符丁として使ったというのも、そういう界隈では当然ラテン語であれば娼婦も学習するのは、戦後日本で確認済みであるはずだ。まあゲルマン人や東方諸民族の雑多な補助軍兵士であればそうはいかないかもしれないが。いずれにせよ現金使用が避けられる事情が説明されないと納得できないわけであるが。

 また一説には類例として、こういうのは近代でも、アメリカの辺境、ボーア戦争時代の南アフリカ、世紀末のマンハッタンの例でたくさんあった由で、1919年、Upton Sinclairは、売春宿の利用者が前金で出納係に支払い、いわゆる「ブラス・チェックbrass check」を受け取り、その後に風俗嬢のサービスと交換できるトークンを受け取るシステムについて、若い頃に学んだと述べている、らしい。

ともかく しかし考古学的に出土してはいるが(とはいえ、浴場からで、肝心の売春宿から出ていないという事実もあるらしい)、文献学的には正確に触れられることがないことも解せないわけだ。確かにスエトニウス「ティベリウス伝」43にはその単語が出てくるが、これは3人一組の性技を示したものだし(これがspintriaのそもそもの原意である:なのに、男子の同性愛と示していた語がなぜ男女の営みに転嫁してしまったのか、私は疑問視せざるをえない)、同じく「ティベリウス伝」58の文言は、前後の文脈からして現在のトークンと関連付けるのは、無理筋といわざるをえない:ティベリウスが厳格な法規実施を命じたので、「あげくに、アウグストゥスの像の前で奴隷を殴っても,着物を着替えても,アウグストゥス像を刻印した貨幣や指輪を公衆便所や淫売屋へ持ちこんでも、・・・このようなことまで死刑の対象となったのである」。著作年代がドミティアヌス期のマルティアリス『エピグランマタ』8.78.9のほうはもっと信頼できない。

 実際のコインにはごく一部とはいえローマ皇帝の図像が打刻されているので、買春といった特殊な商取引でのその使用を避けるためだった、という説もあるが(例証として挙げられるのは、Dion Cassios,78.16.5;これはカラカッラ時代のことになる)、当時買春は決して卑下すべき職業ではなかったので、ちょっと納得しがたいものがある。

 ただ私的には、現金を持たせることを避けるために、何らかの報酬対価としてのセックス券だったとするなら、奴隷用だったというのなら納得できようが、その場合こんな込み入った貨幣状のものを与えるとも思えないわけで。むしろ図像に目を奪われるのではなく、まったく別の視点、ゲームで使用されていたのでは、という考えも当然あるし、ちょっと前にアップしたポンペイの郊外浴場脱衣所での脱衣箱の数字とその奧の体位図との関連で、脱衣籠の預かり証だったという説まである。

 いずれにしても、私としてはこれくらいにしておく。心ある人が以下の最新刊を読破して納得いく結論なり仮説を提示してくれることを期待したい。Webからただで降ろせるのだし。Filippo Pietro Alessandro Cislaghi, Lasciva Numismata :Le tessere erotiche romane, Anno Accademico 2019/2020.

 これを書いた直ぐ後に、以下を知った。色々新知見を手際よくまとめて提示しているので全文差し替えしたいところだが、私に手直しする余裕が残されているだろうか–ないような気がする。

 Franco Guillermo Mazzanti, Alla scoperta di storia e segreti di una serie di intriganti oggetti para numismatici, le spintriae della prima età imperiale con scene erotiche:2022/2/2(https://www.cronacanumismatica.com/cli-speciali-di-cn-spintriae-le-tessere-erotiche-dellantica-roma/)

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「氷河の未解決事件」をみた

 2022/11/6:これはどうやら10/29のNHK Eテレの地球ドラマティックの再放送だったらしい。例のアイスマンのことかなと思っていたら、冒頭で遺物は出てきたが遺体は見つからなかったといっていたので、別物と判明。結論的に出土遺物の年代測定は前2800年に集中していたので、同一人物の所持品と断定された。アイスマンは前3300年なので、彼よりは500年後のものというわけである。

 内容は以下でくわしく紹介されている。https://ameblo.jp/otoko-bana/entry-12772687255.html

 アルプスでは近年、氷河が溶けてそれで遺物が出てきた、というのだから、温暖化による新発見がこれからも続くことになる。新石器時代以前の研究にとっては一大チャンスであるに違いない。それが未来の人類の終焉につながらないことを祈るばかりである。

 まあ、結局、誰が何故あそこでと、謎だらけで終わらざるを得なかったわけであるが、登場した考古学者の多くが女性で、彼女たちが一,二日かけて現地に向かう登山から始めているのにへーと思ったり、実験考古学で昔の服装装備で試みたこと(革製の靴の中に乾燥させたコケを入れての登山が予想外に快適だった、とか)、などトピックス的におもしろい内容だった。

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今晩のプライム・ニュースは出色だ

 現在、出席者にロシアのミハイル・ガルージン在日大使(11月下旬に離任予定)と元外務省欧亜局長東郷和彦、それに筑波大東野篤子が出席していて、かなり白熱した討論を行っている。二時間という時間帯がそれを可能にしていると思う。

 これまで圧倒的に米欧経由の情報が溢れている我が国で、生の声でロシア側の意見を聞く得がたい機会である。司会の反町もちゃんと捌いている印象がある。もちろん、立場が違うので言い合いに終わるのはしょうがないが。

 無料ライブ配信もあるようなので、後からでも見ることができる(https://www.bsfuji.tv/primenews/)。昨日の東京財団政策研究所首席研究員の「か(木偏に可)隆」氏の話もたいへん面白かった。

 

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私には見ることが叶わない「明日」のローマ遺跡

 社会人対象の読書会の準備でググっていたら、たぶん2016年の同じコンペの受賞グループの報告と、参加したあるグループのHPを見つけた。おそらく二,三十年あとのVia dei Fori imperiali周辺の風景はこんなになるのだろうなと思うのだが、残念ながら私には見ることできない「明日」の遺跡風景なのである。

http://www.linazasorosanchez.com/?portfolio=2016concurso-internacional-para-la-puesta-en-valor-de-los-foros-imperiales-en-roma&lang=en

https://www.metalocus.es/en/news/three-winners-competition-dei-fori-imperiali

 しかし、約100年前のこの付近の景観はこうだった。

 それがIl Duceムッソリーニの大号令で、1922年10月の「ローマ進軍」の10周年記念に間に合わせるべく11ヶ月で、黄色の建造物を排除して赤色線の道路を作ったわけだが、そこに埋まっていた中世以降の建物は破壊され、辛うじて古代ローマ時代のものは残されたり埋め戻されたわけだが、なにせ独裁者のお声がかかりの突貫工事だったので、オスティア同様考古学的にはまったく杜撰な作業となった。
この写真をよくよくみると、簡便鉄道の線路上のトロッコを実際に引いていたのはロバ・ラバだったようだ。なるほど。線路を付設しての動力が動物だったのは、私にとって新知見だった。

 あげく、1963年制作のイタリア・フランス合作映画「昨日・今日・明日」IERI, OGGI, DOMANI(ビットリオ・デ・シーカ監督:主演ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ)のように、イエッリとオッジの景観は以下のごとし。

 こうして建設された諸皇帝広場通りをファシスト軍が国威発揚で堂々行進した。以下はいずれも1938年の写真。

 このプロセスについての優れたブログをみつけた。今から7年前の投稿だが、学ぶべき事が多い。Jonathan Rome & Gretchen Van Horne「The Life and Death of Via dei Fori Imperiali: 1932-2015」(https://romeonrome.com/2015/02/the-life-and-death-of-via-dei-fori-imperiali-1932-2015/)。全文引用したいほどの内容だ。是非ご一読を。なお参考までに。最後あたりで登場するローマ市長イニャツィオ・ロベルト・マリーア・マリーノは、2013年から2015年10月30日までその職にあった。

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またやらかしたJアラート

 つい1ヶ月前に誤報を流した全国瞬時警報システムのJアラートがまたまたあほらしい混乱をばらまいた。「「ミサイル通過」を修正:Jアラート、実際は列島越えず」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA031V10T01C22A1000000/?n_cid=NMAIL007_20221104_A)。但し有料記事。

 ま、だからといって、数分で決着ついてしまうミサイル攻撃、国民はどうしようもないわけだけど。実際だれも避難行動取らなかっただろうし。これでますます狼少年だ。

 私が本気で避難を考えても、核シェルターない現状での可能な避難とはマンション3階から走って、さて2,3分の、近くの都営地下鉄の大江戸線に逃げ込むことくらいだが、それすら間に合うかどうか危ういなあ、直撃を生き延びたところで、そのあと生存は可能かいな、と思うと、実際には行動はしないだろう、この世の終わりにも。

 それにつけても思うこと。おそらく莫大な資金を投入しての有難いシステムなんだろうが、これにも利権で群がってる会社や社員がいて、彼らにとってはまったくの天からの賜金なんだろうな、と。世の中こうしてお金が回っていくだけなんですよね。

 ちょっと詳しく言うと今般のチョンボは、「今回、日本政府は3発の弾道ミサイルの動きを正確に把握し、別の飛翔(ひしょう)体の動きもつかんでいた。だが、Jアラートで速報した飛翔体の「日本上空通過」は、実際の通過を確認して通知するのではなく、軌道計算に基づいて伝える仕組みのため、レーダーからの消失を確認後、情報を訂正することとなった。訂正にあたり、防衛省が配った資料には「午前7時48分に発射したミサイルについて」と記されていたが、実際は「午前7時48分ごろに太平洋へ通過した」と速報したミサイルのことで、対応の慌ただしさがうかがえた。」ということのようではあるが、肝心の国民への情報伝達画布正確になったのは、すべてマニュアル依存のせいのように思える。

 2022/11/4「緊張続く朝鮮半島:応酬エスカレート 日本が恐れる「飽和攻撃」」(https://mainichi.jp/articles/20221103/k00/00m/030/246000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20221104)

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世界キリスト教情報第1658信:2022/10/31:進化論否定のテーマパーク

≪ 目 次 ≫
▽モスクワ市職員の3分の1が「国外逃亡」情報=ニューズウイーク日本版
▽実物大に再現した「ノアの箱舟」=米テーマパークに集まる天地創造説信者
▽ヘルプマークは国旗の誤用?=スイス政府は抗議する意向なさそう
▽教皇、イタリアの「カトリック・アクション」の若者たちと出会い
▽教皇、ルクセンブルグのベッテル首相と会談
▽教皇、ソウルの繁華街で発生した転倒事故の犠牲者悼む
▽教皇、ポルノは「修道女さえ見る」と危険性を警告

 今回は、二つ目の記事を紹介してみる。これが偽らざるアメリカのもうひとつの事実なのだ。

◎実物大に再現した「ノアの箱舟」=米テーマパークに集まる天地創造説信者

【CJC】AFP通信(日本語)によると、米ケンタッキー州ピーターズバーグにある、実物大をうたう「ノアの箱舟」を再現したテーマパーク。進化論を偽りとする世界観を主張し、全米から天地創造説の信者が訪れている。

 テーマパーク「アーク・エンカウンター」(箱舟との遭遇)とその関連施設「創造博物館」では、紀元前4000年ごろに神が文字通り6日間で天地を創造したとの信念が全面に押し出されている。

 キリスト教福音派の信者たちが、約6500万年前の恐竜の絶滅といった、科学的事実に鋭く反論する壮観な展示を目当てにここへやって来る。

 「進化論者は恐竜を利用して自分たちの世界観を誇示します。ですからその恐竜を、言うなれば取り返しているのです」と、「アーク・エンカウンター」と「創造博物館」の共同設立者マーク・ルーイ氏は語る。

 同氏は肉食恐竜アロサウルスの骨格標本の横に立ち、ここでは恐竜について異なる見解を提示していると話した。「その大半は約4500年前、ノアの洪水で絶滅したのです」

 創造博物館は2007年に開館した。資金は天地創造説を確固として信じる団体「アンサーズ・イン・ジェネシス」(創世記に答え)の募金活動と支援で賄われた。

 2016年には、そこから約70キロ離れたウィリアムズタウンに「アーク・エンカウンター」がオープン。ノアの箱舟のレプリカは、聖書に記載されている通り全長150メートル、高さ15メートル、幅25メートルの大きさだ。

 米世論調査会社「ギャラップ」が2019年に行った調査によると、米国人の40%は、神が人間を創造したのは今から1万年前にも満たない数千年前の出来事だと考えている。

 米国における天地創造説を扱った著者で、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の歴史学者アダム・ラーツ氏は、米国で創造論者を自称することは、むしろ「より広い文化的分断における識別子」になると指摘する。

 「例えば、『私は創造論者と言えると思います。なぜならポルノグラフィーが嫌いだし、人工妊娠中絶の権利やLGBTQ(性的少数者)の権利を認めたくないからです』といった具合です」

 共同設立者のルーイ氏によると、このテーマパークと博物館に来るのは大半が共和党支持者だ。施設として候補者を支持することはすべきでないとしつつも、「今日の政治的争点を避けては通れない」と語った。□
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世界キリスト教情報第1657信:2022/10/24:ヴァチカンと中国との暫定合意延長

≪ 目 次 ≫

▽教皇と中国間の暫定合意延長について、国務長官パロリン枢機卿がインタビュー
▽教皇、11月中旬にイタリア北部アスティ訪問
▽ロシア、ヘルソン市民の退避加速=ウクライナ反撃で重要局面
▽シンガポールが「社会分断の恐れ」、宗教・LGBTQの映画禁止
▽テッサロニキからストックホルムまで、ヨーロッパで数千人が自由を求めて歩く

 今回は最初の情報を。

◎教皇と中国間の暫定合意延長について、国務長官パロリン枢機卿がインタビュー

【CJC】バチカン・ニュースによると、バチカン国務長官パロリン枢機卿は、教皇庁と中国間の司教任命をめぐる暫定合意がこのたびさらに2年延長されたことについて、オッセルバトーレ・ロマーノ紙とバチカン放送のインタビューに答えた。

 2018年9月22日、教皇庁と中華人民共和国の政府は、司教の任命をめぐる暫定合意書に署名した。この合意が「暫定」であったのは、その時まだ実験的な段階にあったから。
 よくあるように、これほどにも難しくデリケートな状況には、その施行のために、またその効果や改良すべき点を見極めるために、ふさわしい時間が必要。そして、新型コロナウイルスによるパンデミックが発生し、当然それは合意の施行を注意深く見守り評価するための、両使節間の会合の妨げとなった。
 こうしたことから、合意の有効期間を、最初2020年まで延期し、そして今回再び、さらに2年間延長することになった。

 教皇フランシスコは、決意と忍耐強い先見性をもって、このプロセスを進むことを決定した。それは人間の規則の完璧さを追求するという幻想の中にではなく、たとえこのように複雑な状況においても、その託された使命にふさわしい司牧者の導きを中国のカトリック共同体に保証するという具体的な希望のうちにそれを決定された。

 歴史上、教皇庁が司教任命のデリケートで重要な問題において、ある国の特殊な状況を考慮し、その手続き上の合意に達したことはしばしばあった。しかし、それは優れた司教の任命という、教会にとっての本質かつ基本をおろそかにするものではない。
 中国とのこの合意に基づく司教任命のプロセスは、中国の歴史と社会の特徴や、結果としての中国の教会の発展を認識し、注意深く熟考されたもの。こうした中、ここ数十年、カトリック共同体が置かれた苦しみに満ちた、時には引き裂かれた状況を思い起こさないわけにはいかない。その一方で、中国当局の要求とカトリック共同体が必要としているものを考慮することは慎重で賢明なことと思う。

 暫定合意が施行されてからこの最初の4年間に、得られたものとして、主に三つの成果があったが、将来これにさらなる成果が続くことを願っている。
 一つは、2018年の「合意」と同時に、中国のカトリック教会のすべての司教は教皇との完全な交わりの中にある。そこにはもう非公認の司教の叙階はない。普通の信徒たちにとって、それはあらゆる司祭によって捧げられる毎日のミサの中で感じることができるだろう。実際、ミサ中のエウカリスチアの祈りでは、はっきりと教皇に言及する。これは数年前までは考えられなかったことだった。
 二つ目の成果は、この「合意」の精神と、教皇が最後に決定権を持つという定められたプロセスに基づき、6人の司教が叙階されたことです。
 三つ目の成果は、この期間に、最初の6人の「非公認」司教が、公的機関から司教として認められたことで、その司教としての立場を公式化することができた。

 これらは小さな成果のように見えるが、信仰のまなざしをもって歴史を見つめる者にとっては、教会の交わりが過去の出来事から受けた傷を徐々にいやすことに向けた、重要なステップなのだ。それゆえに、必要ならばもう一度強調したいと思うが、「合意」はもちろん制度・文化上の良い対話の定着に関わるものだが、とりわけ中国の教会の毎日の活動に必要な本質的要素に関するものだ。
 たとえば、とり行われた秘跡の有効性や、中国の数多くの信者たちが、自国に忠実な市民ではないとの疑いを持たれることなく、カトリック教会との完全な交わりを生きられる確かさに関わる問題なのだ。□
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