投稿者: k.toyota

一部編集者・女性研究者の勘違いを糺す

 これは以前にも書いた記憶があるのだが(後日偶然判明した、2019/3/20)、

 共著の研究書などでは複数の執筆者が寄稿している。私は、奥付やその前のスペースに書かれている「執筆者一覧」をみて、なんでや 〜と思うことがある。それは女性研究者の生年が書かれていないケースに遭遇したときのことだ。そして時に男性研究者のそれも記載されていない場合すらある。

 この現象は、否応なしに「女性に歳を聞くものではない」と世間で当然のことのように言われていることが、出版社の編集者に影響を与え出しているかのように思われる。私のあいまいな記憶では、加賀まりこなんかが「女優に歳を聞くものではない」と叱りつけるように言っていたのが、いつのまにか「女性に」に置き換わったように思う。一般女性も女優並みに扱え、というわけである。

 私が「執筆者一覧」で女性のみならず男性の年齢を確かめようとするのは、「この論文の執筆者はこの年齢でこの論文を書いているのだ」ということを確認したいがためである。それが抜けていると、論文の評価も若輩ならこの程度でもしかたないか、とか、若いのにたいしたものだ、とか、研究歴が長い割に核心ついてないよね、とか、私は判断するわけであるが、その基準が持てなくなるので、どう評価していいのか、迷ってしまうわけである。

 といいつつ、すでに後期高齢者の75歳になってしまった私からみると、みなおしなべて年下になっているわけだから、多くの場合、ちょっと大袈裟に言えば、偉そうに「まだまだ未熟じゃのお、人生体験が足らん」という感じなのであるが(たまに脱帽する玉稿に出会うときがあるにしても)。

 時節柄なんでこんなあぶないこと改めて書いたかというと、『図書』(岩波書店)の最新号(2022年12月号)に近藤ようこ「ゆうやけ七色」という漫画のNo.3「シニア割」が見開き2ページで掲載されていて(pp.40-41)、美術館で割引きになる65歳かどうかと聞かれた体験で、10歳も老けて見られたのか、と落ち込んだ挙げ句、以下のコマ割りが登場していたからだ。

 近藤さんの主張に私は大賛成だ。だけど岩波書店だってやってんだよね、非掲載を。世間の風潮を忖度するのではなく、かつての編集者にはあった毅然とした判断力が必要とされている、ように思うのは私だけではないはずだ。

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英国のキリスト教徒半数を割る

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-2017888/

 2021年の国勢調査結果で判明。まあ世界的趨勢かと。

キリスト教徒と申告した人、46.2%と、10年前の調査時(59.3%)を大幅に下回った。

イスラム教徒は、4.9%から6.5%に上昇、

無宗教は、25.2%から37.2%に大幅に増加、ここに10年前のキリスト教徒の多くがここに流入しているのだろう。

 キリスト教の知識が一般庶民レベルまでに今ほど周知されている時代はないにもかかわらず、帰属認識はむしろ希薄になるというねじれ現象は興味深い。宗教とは、知識的に知れば知るほど神秘性のヴェールが剥がされて、求心力を失う。知らないから信仰は生まれるものなのだ。それによって救われる人がいるのも事実なのである(もちろん、そうでない人もいる)。「由らしむべし,知らしむべからず」という格言は生きている。

 まあ、そうは言っても現代のイギリス人にとってキリスト教がもっとも身近な宗教にはちがいないはずで、困ったときの神頼みのとき、ムスリムや仏教に改宗する人はほとんどいないであろう。一部の人にとって、キリスト教周辺に跋扈している民間呪術の力は依然として力を持ち続けているはずだ。

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これは面白い:「A4白紙は売りません」

 中国での白紙運動が報道されているが、素人の私にですらこの巧妙なやり方の裏に知恵者がいるのではと、つい深読みしたくなる。

 上海市の文具会社が、「最近、上海、北京、南京、武漢、成都、広州などでいわゆる『白紙革命』『白紙運動』が行われていることを強烈に非難する」と表明し、29日午前0時からA4の白紙の販売を停止すると声明を出したのだが、会社はHPでこれはニセ情報だと表明。しかしあの文面、検閲をかいくぐって、それとなく騒ぎの地域が広範だと衆知しているところが巧妙なのだ。https://mainichi.jp/articles/20221128/k00/00m/030/338000c?cx_fm=mailasa&cx_ml=article&cx_mdate=20221129

 まさに「上に政策あれば、下に対策あり」(上有政策、下有対策)。そして天安門後にいわれ出した権力側の報復措置「秋後算賬」、これが今回も発動されるのだろうか。それと関連して、体制側が不平分子をあぶり出すために意図的にサクラにやらせている、という見立てもあるが、はたしてどうなのだろうか。

 私など、つい胡錦濤退席事件と彼の背後に控えている共青団の存在に想像が膨らんでしまうのだが。実際に関与しているのか、前記のようなあぶり出しへの誘い水なのか。今のところマスコミにそのような観測は出ていない。簡単に終熄するとみているのだろう。上記のブログで、例の情報通の興梠一郎氏もそう見ているようだが、はたしてそうだろうか、今後の推移が興味深い。

 ところで、中国情報として日本ではこれまでとりあえずまず取り上げられてきた「人民日報」であるが、最近「あれは中国では誰も読まない」という言説がちらほら聞こえてくるようになって、その公式発表の裏読み分析で名をなしてきた興梠氏なんかどう考えているのだろう。これも一般大衆の意志が直接あれでも情報統制の網をかいくぐってSNSなどで流出してきたからこそ分かりだした、まさしく現代的な新現象なのだろうか。

 また、昨日の「プライムニュース」でゲストが、中国の新コロナ封じ込め政策(ゼロコロナ)からの転換ができないのは、それにつらなって膨大な利権で潤っている層がやめさせないという事情もある、といった発言もあった。逆にそれに対して腹立てている層もいるようだ。以下参照、https://digital.asahi.com/articles/ASQCC625PQCBUHBI042.html?pn=4&unlock=1#continuehere

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世界キリスト教情報第1662信:2022/11/28:ヴァティカンにとっての中国問題

≪ 目 次 ≫
▽バチカンが中国の司教任命に「遺憾の意」、暫定合意違反と苦言
▽香港裁判所、政府への抗議活動の参加者支援の陳日君枢機卿など6人に有罪判決
▽教皇の膝のけが、スペインのサッカーチーム医師が治療
▽アフガン=公共の場でむち打ち刑執行、タリバンが最高裁に進言
▽ウクライナ保安局がロシアの「破壊工作」の拠点阻止へキーウの修道院捜索
▽米上院選決選投票で中絶反対派候補に「中絶強要」疑惑
▽南スーダンに聖公会大学が開校

今回は、中国関係の最初の2つを紹介する。

◎バチカンが中国の司教任命に「遺憾の意」、暫定合意違反と苦言
【CJC】ローマ教皇庁(バチカン)は11月26日、中国でバチカンの認めていない司教が任命されたことに、「驚きと遺憾の意」を表明した。バチカンと中国が2018年に締結した暫定合意違反と主張している。ローマ発AFP=時事通信が報じた。

 バチカンは声明で、中国江西省南昌市で11月24日、同省教区補佐司教の「任命式」が執り行われたと指摘、「対話の精神や、司教任命に関する暫定合意に反している」と苦言を呈した。

 また、司教任命の背景に地元当局の政治圧力があったとの見方を示し、「このようなことが繰り返されないよう望む」と指摘した。□

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◎香港裁判所、政府への抗議活動の参加者支援の陳日君枢機卿など6人に有罪判決
【CJC】香港の裁判所は11月25日、3年前の政府に対する抗議活動参加者を支援してきたカトリック香港教区の元司教、陳日君枢機卿(90)を含む6人に対し、条例違反の罪で有罪判決を言い渡し、罰金の支払いを命じた。NHKが26日早朝、「NEWS WEB」で報じた。

 この裁判は、陳枢機卿や人気歌手のデニス・ホー氏など6人が、3年前の政府に対する抗議活動に参加して逮捕されたりけがをしたりした人を支援するための基金を政府に届け出ずに運営したとして「社団条例」違反の罪に問われたもの。

 被告は全員、無罪を主張してきたが、裁判所は、基金には政治目的があり、届け出が必要だったとして6人に有罪判決を言い渡し、最高で4000香港ドル、日本円で7万円余りの罰金の支払いを命じた。

 陳枢機卿は、刑務所や拘置所を訪問して収監されている活動家たちを激励するなど、長年にわたり民主派を支持してきたことで知られ、ことし5月に逮捕された際には米政府などから中国や香港政府を非難する声が上がった。□
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世界キリスト教情報第1661信:2022/11/21:米最高裁情報漏れる

≪ 目 次 ≫
▽教皇、19、20の両日、イタリア北部アスティを訪問
▽教皇、バチカン広報省関係者と出会い
▽韓国映画「誕生」に「千万観客を祈る」と教皇
▽トルコがシリア北部を空爆、爆弾テロ事件の報復か
▽米最高裁で2014にもリークか=ニューヨ-ク・タイムズ紙

 今回は最後の記事を紹介する。秘密漏洩もぼろぼろあるのが米国、というわけである。

◎米最高裁で2014にもリークか=ニューヨ-ク・タイムズ紙
【CJC】ワシントン発ロイター通信によると、米紙ニューヨ-ク・タイムズ(NYT)は11月19日、中絶反対運動の元指導者が、避妊を巡る2014年の米連邦最高裁判決について事前に知らされていたと報じた。最高裁は人工妊娠中絶を巡る今年の判決でも草稿の漏えいが問題になっており、調査を求める声が上がっている。

 キリスト教福音派の非営利団体を率いていたシェンク牧師が、団体の大口献金者が最高裁のアリート判事宅で同夫妻と夕食を共にした後間もなく、避妊と宗教上の権利に関する裁判の結果を知ったと明かした。判決が公表される数週間前だった、とNYT。

 アリート判事は同裁判だけでなく、女性に中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」を覆す今年の判決でも多数派意見を執筆した。いずれの判決も宗教右派が勝利する内容だった。

 アリート判事は声明で、自身もしくは妻が14年の判決をリークしたとの主張は「完全な誤りだ」と述べた。

 議会上院のダービン司法委員長(民主党)は、委員会が疑惑を検証しているとした上で、最高裁に倫理規定を設ける法案可決を促した。□

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NHK Eテレ:「ポンペイの起源」放映に寄せて

 2022/11/19 午後7時から「地球ドラマチック」で、44分間「ポンペイの起源:もうひとつの埋もれた歴史」が放映された。

 ポンペイ前史を要領よくまとめた2022年フランス制作のもの。内容的にはちょっと引っかかる所もあるが(水の供給をAugustusの水道橋としている箇所とか)、ポンペイが多様な民族によって形成された前史を持っていた、という件はおおむねきちんと報告されていたと思う。

 私的には、番組の中でちょっとだけ触れていた、港の問題とか、昔は北側をサルノ川が流れていたとかいったあたりをもっと丁寧に検証してやってほしかったのだが(いずれもこの春の学会で私が試論的に発表した論点がらみ)、44分間ではしょうがないか。

 現在、以下で、11/26午後7:44まで「NHK+」での見逃し配信があって見ることできる。https://plus.nhk.jp/watch/st/e1_2022111920171

 残念なのは、なぜか画像をスクリーンショットできないこと。なんでや。iPhoneで撮るしかないか。

【追記】しょうがないから、見逃しがある間にと慌てて調べて(実はiPhoneのホルダーも購入してしまった)「CleverGet」というソフトを購入して録画に成功した。これは色んなところのストリーミング動画をダウンロードすることできる、という触れ込みなのだが、3本まではお試しできて、それで納得した私は「動画」と「NHK Plus」だけ選んだので、永久使用料が1件ごとに9870円かかるところ、50%引きで、消費税込みで10858円かかった。自分の心覚えだけにしか使わないのだから、それでも物入りなことだ。

【追記2】上記放映について、ほとんど日本唯一のポンペイ考古学者のS氏からは以下のようなコメントが届いた。

 「門が8つありそのうち7つが見つかっている」,「小さな町を取り囲む城壁があった」,「前6世紀から既にフォルムを貫く直線的幹線道路が敷設されていた」等々,突っ込みどころが満載でしたが,中でも問題だと思ったのは,ご指摘にもある「ポンペイ城壁北部を流れる川」に触れた箇所でした」。

 我々は画像を見て解説聞くのに忙しいのだが、やっぱり専門家はめざとく問題点に気付いている、その注意力はさすがである。

 たしかにこの作品の内容は、えっと思うほど学問的に古い知見が多かった(映像も使い回しの繰り返しが多かった)。2022年制作となっているのに何故か。それは登場した研究者が本当の専門家でないのでそうだった場合と、ディレクターが事前調査した内容的に古い情報(一般向けの経年書籍はおおむねそう)を骨格にしてシナリオを書き、それを解説部分で音声で流し、研究者が色々喋った内容から自己都合に合致する箇所だけ抜き出した場合もあるからだ。本当は専門の研究者たちへの取材を重ねて最新情報を盛り込むべきなのだが、経費問題とか起案書作成とかで手軽な方に走ってしまう事情があるのだろう。底の浅さが透けてみえるのだが、しかしそれがむしろ一般的な視聴者には受けはいいのも事実で(だから視聴率も上がるし、まあそれが商売人ディレクターの本領発揮というわけだろうが)、肩が凝らずに見ることできるからだろう。

 その点、2022/9/15掲載したNHK BS4K プレミアム「最強の帝国ローマ」の出来は出色だった(古色蒼然たるテーマ名はどうせなんたら女史かぶれの日本人ディレクターの命名なのだろうから無視)。また、国際共同制作と銘打った2019年フランス製作の「よみがえるポンペイ」(NHKオンデマンド)もよかった。もちろんこういう力作を高く評価する視聴者も多いはずだ。最後のものを私は上のソフトで録画に成功した。1時間半近くの長丁場だったが。

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アウグストゥスの家系をめぐって

 読書会での準備で調べ出したアウグストゥスの出自・家系問題だったが、アウグストゥスについての後世の評価が実像より高くなってしまったせいか、あまり触れられることのないテーマのようなので、ここに知りえたことをまとめて、過大評価を排して、彼の実像らしきものを探る手立てとしたい。

[アウグストゥスの家系問題]:誇るべき祖先を持っていなかった(以下の情報は、スエトニウス『皇帝伝』「アウグストゥス」1-3に依拠:これにはスエトニウス叙述の信憑性問題が絡むが、別件での調査から、こういった内容に関して私は信頼できると考えている)

 ・オクタウィウス氏Octavia gens はネミ湖の東南Velletriの地方名士で、王政時代元老院に抜擢され、平民から貴族に移籍されたが、時を経て自ら平民となった(いかにも嘘くさい)。この氏は2系列に分かれ、一方は元老院身分だったが、オクタウィアヌスが属する方は彼の父の代まで騎士身分であった。

 ・アウグストゥス自身は「由緒ある騎士身分の資産家に生まれ、自分の家系で元老院議員となったのは父が最初であった」としか記していない。

 ・のちの政敵のマルクス・アントニウスは「彼の曾祖父は解放奴隷で」「Thurii(半島南端)出身の綱作り職人で、祖父は両替屋であった」とけなし、彼を幼称のThuriusと呼んで憚らず、のみならず母方についても「曾祖父はアフリカの土着民で、Aricia(ネミ湖とアルバノ湖の中間)でときに香油屋を営み、ときにパン屋をしていた」とくさしている。

                      Aricia ↑      ↑ Velletri          ↑ Thurii

 ・別情報でも「父は両替商であった」とか「選挙のとき、候補者に雇われて選挙区民に賄賂を配る下働きの一人だった」と言われていた、などなど。

 要するに、父ガイウス・オクタウィウスがカエサルの姪アティアと結婚したので、表舞台に登場できる道筋が敷設されたわけのようだ。         

 というわけで、次により詳細にOctavia gens の系図を調べ出したのだが、ようやくそれがだいたい完成した段階で、以下のウィキペディアで明快に図示されていることが判明 (^_^; 。 やれやれ、とんだくたびれもうけだった。https://en.wikipedia.org/wiki/Template:Family_tree_of_the_Octavii_Rufi

 王政時代のうさんくさい伝説的な系図話はさておき、さかのぼり知られる最古の祖先グナエウス・オクタウィウス・ルフスは財務官=元老院身分有資格者で(前230年頃)、長男系は、法務官、執政官等を輩出して元老院身分としてそれなりの位置を占めていたが(カエサル時に平民から貴族に昇格)、次男ガイウス・オクタウィウス系はずっと騎士身分に属し、アウグストゥスの父がようやく法務官格でマケドニア属州総督、即ち元老院身分に登り詰めることができた「新人」家系だった。後日談としてその息子ガイウス・オクタウィウス(前64年生まれ:彼は生涯自分から「オクタウィアヌス」と称したことはなかった、らしい)が、さしたる政務官経歴もないのに、元老院から元老院議員とされたのは前43年、19歳の時のことだった。

 彼を養子に抜擢したガイウス・ユリウス・カエサルの家系については、以下のウィキペディアをご参照のこと。https://en.wikipedia.org/wiki/Julii_Caesares(より詳しくは、https://en.wikipedia.org/wiki/Julio-Claudian_family_tree)

  

【成人してからも、実際に毀誉褒貶相半ばする評価】これも、スエトニウス『ローマ皇帝伝』「アウグストゥス」に依拠

  16:シケリア海戦で、戦いが始まろうとしていたとき、突然アウグストゥスは猛烈な睡魔に襲われ、その結果、幕僚に呼び起こされて初めて戦闘開始の号令を下したほどである。これがアントニウスに意地悪い非難の材料を与えたものと、私には思われる。「奴は戦列を整えた敵の艦隊をまともに正視できず、仰向けにのけぞり、空を睨んだまま、この阿呆は眠りこけてしまい、とうとうマルクス・アグリッパが敵の艦隊を潰走させてしまうまで、目を覚まさなかったし、兵たちから見える所までやってこなかった。

  68:アウグストゥスは若い頃から早々と、いろいろの不行跡をめぐる世間の悪評に耐えた。ポンペイウスは彼の柔弱を嘲り、アントニウスは「大叔父カエサルとの汚らわしい関係で養子縁組をせしめた」とののしり、同じくアントニウスの弟ルキウスも「カエサルに童貞を奪われ、ヒスパニアでも、ヒルティウスにすら30万セステルティウス[約1億円]で操を売った。そしていっそう柔らかい毛を生やしたいため、いつもすねをまっ赤に焼いた胡桃で焦がしていた」と。

  89:アウグストゥスがせっせと間男をしたことは、友人といえども否定していない。・・・アントニウスは・・・(あれこれ中傷したあげく)・・・まだはっきり敵でなかった頃に、次のようなあけすけな手紙を書いた。「何がそなたの考えを変えたのか。私が女王クレオパトラとねてるためか。彼女は私の妻だ。今に始まったことではない。9年も前からではないか。そしたらそなたはリウィアとだけねているのか。この手紙を読むころ、テルトゥラとねていなければ結構なことだ。それともテレンティラとか、サルウィア・ティティセニアか、いやそいつらみんなと一緒にねているかな。しかるに、そなたならば、どこでどの女に対して勃起させようと問題にはならんのかね」

  71:奔放な情欲に関する非難は彼にしがみついて離れなかった。伝えるところによると、後年になっても処女を辱める方をいっそう好み、そのような女があらゆる所から妻リウィアによってすら探され提供されたという。

    賭事はいろいろ取り沙汰されても、アウグストゥスは決して尻ごみしなかった。・・・「私は私の名儀で2万セステルティウス[640万円]失った」。・・・「そなたに250デナリウス[32万5千円]送ります。これは饗宴の席で・・・賭をしようと思ったら、一人一人に私が与えていたかもしれない金額です」

 病弱で肝心の時腑抜けであった彼がまだ10代に、なぜ大叔父カエサルが遺言書で養子に指名していたのか(本人はそれを知らなかったらしい)は論議の的である(スエトニウス、8参照:直系男系として、ローマで散々叩かれた「愛人」クレオパトラ7世との間に前47年生まれのCaesarionがいたが、それは論外にしても)。

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狩猟採取時代は平和だったか

 みんなも薄々は感づいていただろうが、日本の考古学者たちが当然のことのように主張してきていた仮説に対して、政治評論家?の杉山大志がベトーを提示したもの。詳しくは2022/11/17発信の以下のブログをお読み下さい。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/72735?utm_source=editor&utm_medium=mail&utm_campaign=link&utm_content=top

 人類に戦争が生じだしたのは、農耕牧畜で収穫物の蓄財が可能となった(だから他集団を襲って、手っ取り早く強奪することも可能となった)、日本で言うと弥生時代以降で、それ以前の縄文時代までは、戦争などなかった、とする見解。まあマルクス主義的進化論やメルヘンチックで牧歌的な古代賛美がそこに通底していて、もともとは西欧の研究者が唱えていたが、あちらではすでに放棄されていた。

 武装した集団同士が交戦するのが戦争なので、そういった装備もなかった時代での私闘を戦争と呼べるのか、といった定義レベルでの逃げもあるが、殺人そのものは人類発生以来の習い性だったからには、まあ荒唐無稽といってよいだろう。

 こういう問題は、データが少ない時にはもっともらしく聞こえるが、証拠が出てくると当然のようにくずれていく。古代史においても他山の石として気をつけないといけないと思う。

 私には、縄文時代には気温が今より2 〜3度高かったので、北海道や東北も豊かだったという話の方に惹かれてしまう。

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世界キリスト教情報第1660信:2022/11/14:フランス教会の不祥事

≪ 目 次 ≫
▽教皇、ウクライナのシェウチュク首座大司教とバチカンで会談
▽「貧しい人のための祈願日」、教皇「闇に希望の光を灯し、福音の証しを」
▽仏カトリック教会、司教の性加害疑惑を公表=うち1人は現枢機卿
▽世界ルーテル連盟(LWF)第13回総会、来年9月にポーランドで
▽世界教会協議会(WCC)、信仰職制委ディレクターにジェフティク氏
▽尹大統領 雑踏事故受け宗教界の長老と相次ぎ面会

今回は3番目を紹介する。

◎仏カトリック教会、司教の性加害疑惑を公表=うち1人は現枢機卿
【CJC】フランス司教協議会は11月7日、過去に性加害に及んだり、虐待事件の報告を怠ったりした疑いが持たれている同国の現・元司教が11人に上ることを明らかにした。うち1人は現枢機卿で、30年以上前に未成年者を暴行したと告白したという。AFP=時事通信が報じた。

 11人はいずれも、刑事訴追や教会による懲戒処分の対象となる。元司教6人はすでに仏当局や教会の司法機関により訴追されており、うち1人はその後死亡したという。

 司教協議会の会長を務める北東部ランスのエリック・ドムーランボーフォール大司教は記者会見で、長年にわたりボルドーの司教を務めたジャンピエール・リカール枢機卿(78)の書簡を公表した。リカール枢機卿はその中で「私は司祭だった35年前、14歳の少女に対し非難されるべき行動をとった」と認めた。□

 全フランスでこれは氷山に一角にすぎないであろう。
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図書館でのコピー制限で、困った

 昨日は、イエズス会日本管区に部屋を借りての読書会が18時からあったので、午後登学し、図書館で論文をコピーしようと、2階のパソコン室に行ったのだが、どうしたものかなんど挑戦してもコピーができない! 何か間違っているのだろうか、私がぼけたのだろうか、となんども繰り返して悪戦苦闘したけど、時間が来たので諦めてパソコンを終了し始めたら、そこで、「あなたは規定枚数のコピーを使い切っているので、一日30ページしかコピーできません」という表示が裏に隠れていたことにようやく気付いた。4本コピーしようとしたのだが、たまたま30ページをわずかに越えた論文がまず2つあって、それがネックとなっていたようだ。

 夏休み以前に年間700枚だっけの規定枚数を消化してしまっていたことを忘れ果てていたのだから、やっぱり私の問題だった。こうして原因が分かっただけで由としたいところだが、こんなことで論文をコピーできないと研究に差し障りが生じるのだが・・・。逆にいうと、退職教員にも年間700枚無料でコピーさせてくれるのは非常に有難い恩恵であるには違いない。その枚数を年間半ばにして消費してしまったのは、学会発表のため理系の論文をやたらコピーしたあとに、ケンブリッジ大学出版局の本を丸々一冊印刷してしまったのが原因なのだから、これもまあ自業自得である。

 しかし、30枚未満だったら毎日通えばコピーできるわけだが、30枚越えている論文ではそれもできない。今回の場合は、1つを掲載した雑誌が中世思想研に入っているようなので今度行こうと思うが、今度は研究所が開いている日や時間でないといけないし、後の2本も有料でpdf送ってくれるサービスもないみたいなので、とりあえずお手上げである。困ったものだ。

 但し、読むべき論文は他にも山ほどあるのだが、どうやら私はコピーして手元に置いておかないと安心できない性格のようで、ない物ねだりでストレスになってしまうのだ。困ったものだ。

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