デジタル教育の明日:飛耳長目(48)

 今回のコロナ騒動で、日本の教育関係は否応なくデジタル教育への舵を切ることが強制されているやにみえるが、その動機は単に本年度の教育課程を履修したことにするつじつま合わせという側面が強いのが、偽らざる現場の本音であろう。一件落着した後どうなるのか、私は悲観的にならざるをえない。教師が置かれている多忙な雑務と、それによる新らたな試みへの意欲の萎えは否定しがたいからだ。やらないための言い訳には事欠かない現実がある。大学生ですらノートパソコン、いわんやプリンターを持っていないのが多数派、なのだから。なにしろ、秀才は生んでも天才を育てることができない日本的教育風土は構造的な問題である。しかしそこをなんとか打破してほしい気持ちはある。

 そんな折、以下のウェブ記事を読んだ:『台湾の超天才「唐鳳」が語るデジタル教育の本懐:39歳デジタル大臣「自ら動機を探すことが重要」』(https://toyokeizai.net/articles/-/362226?utm_campaign=ADict-edu&utm_source=adTKmail&utm_medium=email&utm_content=20200715&mkt_tok=eyJpIjoiTW1SbVlUazRORGsxTWpReSIsInQiOiJQaUlsWlFCSkhrYXlYc2N6U2k2VmtpUCsza2plRk9hXC9ZNk4rYzd6XC9QM0pLVjFrUmJSU0xVMjBxbnllRWh5dUhNRndWM2tqTWpwdWlcL2U2M3dORXVUMCtUeDFObWRteTRreEJpMTFvNFpub2tIUnZjazVwVEFVbVJmK3ZmbFZ0diJ9)

唐鳳(別称オードリー・タン氏:1981年-)

 このインタヴューの中で、私がなるほどと思ったのは後半である。要約すると、インターネットでは「自学自習」を自ら発展させる可能性がある。その好奇心から同好の仲間のコミュニケーションが育ち、そこからイノベーションが生まれる、というわけである。「正解がないからこそ、生まれる創造性」を育むことで、生涯学習への意欲も喚起できる・・・。

 ここで彼は、他方で生じるはずのマイナス面、問題行動については触れていない。7/24公開予定の後編ではそれが論じられるのだろうか。なにしろ14歳で中学を中退。15歳で起業。19歳で米シリコンバレー進出、35歳で入閣、というごくごく稀な道を歩んできた成功者の言である。そうそう楽観論でいい気持ちになることもできない。

Filed under: ブログ

No comment yet, add your voice below!


Add a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Comment *
Name *
Email *
Website

CAPTCHA