世界キリスト教情報第1574信:2021/3/22

= 目 次 =      
▼「愛のよろこびの家族年」始まる      
▼バチカン教理省は同性間のユニオン祝福の可能性に否定      
▼独ケルン大司教区で聖職者ら202人が性暴力、被害者314人と報告書 
▼フィリピン福音宣教500年記念しバチカンで教皇ミサ      
▼マレーシア高裁、キリスト教徒も「アラー」を使えると判断      
▼ミャンマーでデモ参加者を傷つけないで、と修道女が警官に嘆願      
▼死海文書の新たな断片を発見、「恐怖の洞窟」で

 今回は話題てんこ盛りだった。3つ紹介する。

◎バチカン教理省は同性間のユニオン祝福の可能性に否定的
【CJC】バチカン教理省は、同性間のユニオンへの祝福をめぐる質問書に否定的回答を示す一方、その回答について「不当な差別や、個人を対象とする見解ではない」と述べた。バチカン・ニュースが報じた。
 教会は同性間のユニオンに対して祝福を与える権限を持たず、それは正当と認められない、と教理省は文書を通して回答した。
 文書は、同性カップルが自分たちのパートナーシップ関係に対する一種の宗教的な公認を求めて祝福を願う場合、司祭はそのカップルに祝福を与えることはできない、という見解を表している。
 教皇フランシスコは、この件について報告を受け、教理省長官ルイス・ラダリア枢機卿と次官ジャコモ・モランディ大司教の署名による回答書および注釈の公表を承認した。
 この回答公表に当たっては、確認といくつかの手順が踏まれた。同文書は「同性愛者の受け入れと、寄り添いに対する誠実な意志」の枠組みに位置づけられるもので、使徒的勧告「愛の喜び」にも記された方針に従い、同性愛者に対し、信仰における成長の歩みを提案するものとしている。
 教理省文書で、基本としていることは、一個人と、パートナーシップ関係との間の区別。
 同性間のユニオンを祝福することへの否定的な回答は、実際、この件に関わる一個人に対する見解ではない。教会の教えに関する諸文書がすでに明示しているように、むしろこれらの人々は「尊重、思いやり、配慮」をもって迎え入れられるべきであり、あらゆる不当な差別のしるしを退けなければならない、としている。
 同文書で、否定的回答の基礎となる理由は次のもの。
 まず、祝福の真理と価値に関して、これらは「秘跡的な」ものであり、教会の典礼行為である。そして、祝福の対象となる人が「創造においてしるされた神の御計画に沿って、恵みを受けそれを表現するように客観的に定められていなければならない」。
 次に、婚姻外での、すなわち、いのちの継承に向けて開かれた、男性と女性による不解消の婚姻外での、性的実践を伴う関係は、たとえそれが安定したものであっても、またその関係にポジティブな要素が存在するとしても、それは「神の御計画」に呼応しない。
 留意すべきことは、これは同性愛者のカップルだけでなく、婚姻外において性的関係を伴うすべてのユニオンについて言えるということである。
 否定的回答のもう一つの理由は、同性のユニオンへの祝福と結婚の秘跡が、誤って同一視される恐れがあるためである。
 最後に、教理省は、神によって啓示された計画に忠実に生きる意志を表明する、同性愛指向を持つ個人への祝福は可能であることを明確にする一方、同性間のユニオンの承認を目的とする「あらゆる形の祝福」は認められないと宣言している。□
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◎独ケルン大司教区で聖職者ら202人が性暴力、被害者314人と報告書
【CJC】独カトリック教会ケルン大司教区で浮上した過去の性暴力疑惑についての独立調査の報告書が3月18日公開され、聖職者や信者202人が暴行に及び、被害者は314人に上っていたことが明らかになった。AFP通信が報じた。
 カトリック教会の委託で調査を実施していた弁護士が、800ページに及ぶ報告書を公開した。弁護士は記者会見で、被害者の大半が当時14歳未満だったと発表した。
 疑惑をめぐり、ライナー・マリア・ベルキ大司教による「義務違反」の可能性も調査対象とされたが、その事実はなかったとの結論が報告された。
 AFP通信によると、保守派のベルキ大司教は以前から、教会の改革に反対。自身の教区内での聖職者らによる虐待に関し、別の報告書の公表を拒否したため、数か月にわたり激しい抗議の的となってきた。大司教はその拒否の理由として、加害者とされる人物のプライバシー保護と、一部の調査員らの独立性の欠如を挙げていた。□
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◎死海文書の新たな断片を発見、「恐怖の洞窟」で  
【CJC】地理学を中心とした米国の科学総合誌ナショナル・ジオグラフィックが伝えるところでは、イスラエル考古学庁(IAA)が、死海文書の新たな断片が約60年ぶりに発見されたほか、完全な状態としてはおそらく世界最古の籠も見つかったとこのほど発表した。  
 死海文書の断片は、2019年末から20年初頭にかけて行われた発掘調査により、ナハル・ヘベルのワディ(涸れ谷、ワジともいう)にある第8洞窟で発見された。洞窟は、1960年代初頭の発掘調査で大人と子ども40人の遺体が発見されたことから「恐怖の洞窟」と呼ばれている。  
 今回発見された20片以上の羊皮紙断片は「十二小預言書」の一部。その最初の断片は、ナハル・ヘベルで地元のベドウィン(遊牧民)によって発見され、1950年代初頭にエルサレムで売りに出された。  
 新しい断片も他と同じく書記2人によってギリシャ語で書かれていると、IAAの死海文書部門のオレン・エイブルマン研究員は説明する。羊皮紙の質感も、過去に見つかった十二小預言書と似ているか、同じであるという。□
 

【追伸】最後の記事についての別情報。https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/031900134/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005;https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/gallery/031901121/?n_cid=nbpnng_mled_html&xadid=10005
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