投稿者: k.toyota

ウクライナのバンクシー

2022/12/15毎日新聞有料記事掲載「バンクシー、貫く哲学 ウクライナで作品7点 弱者側に立ち続け」(https://mainichi.jp/articles/20221215/dde/012/040/009000c?cx_fm=maildigital&cx_ml=article&cx_mdate=20221218

 「難民に自由を」Free Refugees という落書き(日本)はダメで、なぜバンクシーのそれはアートとして容認されるのか、という問題提起も出てくる。むき出しの直截的な主張よりも、一呼吸おいて一ひねりしたゆとりのほうが、われら衆生にも芸術性を感じさせるのかもしれない。まあ才能ないとできない技ですが。

そこにすでにあるモノを利用しての風刺性、かな:右の落書き、わかりますよね。男根ミサイル
Filed under: ブログ

古代ローマの伝説の植物「シルフィウム」再発見?

 ナショジオから本年の「驚くべき発見22」という記事が送られて来た(https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/stories/22/120800098/?P=4)。念のため見ていて、その中にとんでもない情報があって、私は大興奮した。「絶滅と思われた「幻の植物」をおそらく再発見」。

 これは古代ローマ史にとってきわめて重要なので、元情報(2022/10/9:但し、日本語:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/092900445/)のほうも是非読んでほしい。 

 古代ローマには、黄金と同じくらいの価値があり、宝物庫に貯蔵されるほどの植物があった。その植物「シルフィウム」silphium(ギリシャ語:Silphion)は、病をいやし、料理の味を引き立てるとされ、古代の地中海世界で大いにもてはやされたが、あまりの人気のため、そして動物に好んで食べられていたので2000年近く前に食べつくされ、絶滅したと考えられていた(文書記録的に最後の一本を食したのは、皇帝ネロだったことになっている)。この伝説の植物の容姿はリビアのキュレナイカ・コインにも打刻されているし、あの著名なアキピウス『料理書』にもしばしば登場していて、ガルムともどもそれ抜きに古代ローマの料理を語れない存在であった(とはいえ、ガルムはともかくとしても、富裕層に限定しての話だ、という指摘はしておかないといけないだろう)。

 トルコのイスタンブール大学教授で生薬学を専門とするMahmut Miski氏は、学位論文の続きでセリ科オオウイキョウ属(Ferula)の研究を継続中の1983年に、カッパドキアのとある農村に赴いた際、石壁に囲まれたささやかな土地で、それに出会い第一報として1985年に生薬学的観点からの簡単な報告をしていたが、その植物はすでに1909年に採取され新種記載されていて、フェルラ・ドルデアナFerula drudeanaと名付けられていた。今回、それが古代ローマで知られていた「シルフィウム」と同一物ではないかとして改めて問題提起したわけである。

 分布地域や外見は古代の文献記述と一致していたが、さらに確信を得るために、氏はこの現代の植物を、シルフィウムを用いる古代のレシピに使用してみることにした。その結果生み出されたすばらしい味わいは、ローマ人もきっと好んだだろうと納得できるものだった、との由。

 彼が選んだ調理人は、料理史研究家として著名なサリー・グレンジャーSally Grainger女史。彼女はこう述べている。「伝説のシルフィウムを発見し、それを使って古代のレシピを再現できるとは、まるで聖杯を見つけたような気持ちです」(以上:「絶滅とされた古代ローマ「幻の植物」をおそらく発見、食べてみた」

 私見としては、トルコにはキュレナイカから持ちこまれたとの仮説があるが、たとえ北アフリカ原産と同一品種でないとしても、トルコ・アナトリア土着の近縁種のセリ科と考えればいいのでは。Mahmut Miski氏も古来種との同定にはあくまで慎重で、考古学的な出土との比較研究が必要と考えているが、はたしてそれがいつ可能になるというのであろうか。

 それにしても19世紀半ばに北アメリカからヨーロッパに渡来したフィロキセラ(Phylloxera)によって、ヨーロッパ原産のブドウの木は全滅したとされているが、ヨーロッパ原産のブドウがイタリアの孤立した山間部では生き延びているとまことしやかに囁かれているようで、これと同類の話題には違いないが、本当であってほしいと思うのは私だけではないはずだ。

 やっと元論文を見つけたので、興味お持ちの方はご覧下さい。Mahmut Miski, Next Chapter in the Legend of Silphion: Preliminary Morphological, Chemical, Biological and Pharmacological Evaluations, Initial Conservation Studies, and Reassessment of the Regional Extinction Event, Plants, 2021,10,102(https://doi.org/10.3390/plants10010102)

 なお、種子を収めている子房の形がハート型であることでも世人の興味を惹いてきたらしい。

 

Filed under: ブログ

ロシアの兵器の現状

 今頃になって、以下のようなウェブ記事が掲載された。「ロシアの最新兵器はどこへ消えたのか、統計数字の謎を暴く:野ざらしでさびて使用不能、他国への横流し、分解され売却・・・」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73107):2022/12/14

 内容は、副題に羅列されていることで尽きている。要するに数的な統計は信用できない、というわけである。こんなことは日常的に兵器というものに触れていて実態を把握しているはずの専門家にとって今さらの話ではないはずなのだが(実はそうでなかったと、今回化けの皮がはげてしまったわけだが)、私が記憶する限り10ヶ月前にそれを指摘するマスコミ登場専門家は皆無だった。状況がロシアに不利に展開している現状から、やっとなぜだということになり表に出てきた事実なのであろう。ことほど左様に、研究者や評論家の説の多くは後付けが得意で、先見の明を発揮することはほとんどない。

野ざらしの兵器は錆びちゃうのは常識として、保管されていても実戦使用するには日頃の保守管理が重要なのだそうだ

 これは一人ロシアの問題だけでなく、我が国においても、どれほどミサイルを購入したところで、年々劣化・陳腐化していくわけで、それをどう維持・管理していくつもりなのだろうか。維持経費もバカにならないはずだ。私など転売先どこにしようかと考えちゃうけど。

 関連で、私的に納得できるのが以下である。2022/12/8:市岡繁男「「誰しもが敗者になる」,ウクライナ戦争の行く末はシカゴ大学教授の預言通りか:どちらが勝っても待っているのは混沌、投資家はいまから備えを」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/73019)。私は投資には興味がないが、そもそも今回のウクライナ戦争の原因を作ったのはNATOであり米国である、という点には同意せざるを得ないのだ(皆さん、バイデンの息子がらみでのウクライナ疑惑をもうお忘れのようで)。

Filed under: ブログ

世界キリスト教情報第1664信:2022/12/12:ノーベル平和賞

≪ 目 次 ≫
▽「ノーベル平和賞は民主と人権活動のための賞」=今年の受賞者が評価
▽オスロの市庁舎でノーベル平和賞授賞式
▽教皇、「世界青年の日」リスボン大会のボランティアたちに励まし
▽教皇、ウクライナ侵攻に言及して涙流し震える=「無原罪の御宿り」の祭日の祈りの途中で
▽ウクライナ、ミサイル拠点攻撃関与認める=ニューヨーク・タイムズ紙報道
▽イラン、治安当局者刺した罪で死刑判決受けた抗議デモ参加者に初の死刑執行
▽「話し合いによる問題解決を」=ミャンマーのボ枢機卿が提言
▽「エルサレムに平和を」、旧市街に来るただ1人のサンタ

 今回は、最初の記事を紹介する。

◎オスロの市庁舎でノーベル平和賞授賞式
【CJC】2022年ノーベル平和賞の授賞式が12月10日、ノルウェー・オスロの市庁舎で行われた。共同受賞したウクライナの人権団体『市民自由センター』(CCL)とロシアの人権団体『メモリアル』の代表、ベラルーシの人権活動家アレシ・ビャリャツキ氏(妻が代理出席)は、ロシアのプーチン大統領の「常軌を逸した犯罪的な」ウクライナ侵攻に最大限の抵抗を継続するよう世界に訴えた。AFP通信(日本語)によって紹介する。

 2007年に設立されたCCLは、ウクライナでのロシア軍の戦争犯罪疑惑を記録してきた。住宅、教会、学校、病院への砲撃、避難ルートへの爆撃、住民の強制移住、拷問など、侵攻開始からの9カ月間に記録された事案は2万7000件を超える。

 『メモリアル』のヤン・ラチンスキー代表は、ロシアには旧ソビエト連邦から引き継いだ「帝国主義的な野心」が「今なおまん延している」と非難。プーチン大統領とその「イデオロギーのしもべたち」は反ファシスト闘争を「自らの政治的利益のために」乗っ取り、ロシアへの抵抗を「ファシズム」と呼び、「ウクライナに対する常軌を逸した犯罪的な侵略戦争を正当化するためのイデオロギー」として利用していると糾弾した。

 1989年設立の『メモリアル』は、旧ソ連の独裁者スターリン時代の大粛清に関する調査・実証を行い、ロシアにおける人権侵害を記録してきた。ロシア政府による野党とメディアへの弾圧が強まる中、昨年末にロシア最高裁判所から解散命令を受け、平和賞受賞の発表直後に事務所を差し押さえられた。

 ビャリャツキ氏は、ベラルーシの人権団体『ビアスナ』の創設者。ルカシェンコ大統領に抗議する大規模デモへの弾圧の一環で昨年7月に拘束され、裁判が行われないまま勾留されている。□

Filed under: ブログ

世界キリスト教情報第1663信:202/12/5:ツリー点灯

≪ 目 次 ≫
▽クリスマス目前、ベツレヘムやバチカンでツリー点灯
▽バチカン・サイトにサイバー攻撃=ウクライナ大使はロシア非難
▽教皇、ロシア軍の少数民族部隊が「最も残酷」=ロシアは反発
▽教皇の発言は「非キリスト教的」=ロシア外相が非難
▽米、中国のコロナ規制デモ受け、平和的な抗議活動の権利支持表明
▽史上初、キリスト教徒が半数下回る=英国勢調査

 今回は少し明るい情報を。

◎クリスマス目前、ベツレヘムやバチカンでツリー点灯
【CJC】イエス・キリストの生誕の地とされるパレスチナ暫定自治区のベツレヘムでは12月3日、キリストが生まれたとされる洞穴の上に建てられた「聖誕教会」の前に、毎年恒例の、高さ10メートルを超えるクリスマスツリーが飾られ、カウントダウンに続いて、盛大な花火の打ち上げとともに点灯式が行われた。新型コロナウイルスの感染対策として導入された渡航制限の解除を受け観光客が大勢訪れた。

 バチカンのサンピエトロ広場でも、毎年恒例のクリスマスツリーの電飾の点灯が行われた。キリスト降臨の場面を再現した模型「プレゼピオ」も設置された。サンピエトロ大聖堂を背に、高さ約30メートルのツリーが輝き始めると、広場に集まった人々が拍手し歓声も上がった。

 サンピエトロ広場にツリーを飾ることは、1982年に当時の教皇、故ヨハネ・パウロ2世が始めたという。□

Filed under: ブログ

最新発掘情報一覧

 年末になったせいでもないのだろうが、あれこれ押し迫ってきてきちんと報告できそうもないので、とりあえず一覧を。これはポーランドの「IMPERIUM ROMANUM」というブログからの転載である。それ自体はごく短い報告だが、そこで得た情報でググってみると、一層詳しい情報源に遡及することができる。

 今回、私的に興味深いのはコロッセオの地下での出土関係関係と、NHKで放映されたこともあるチュニジアでの津波の話である。ところでコロッセオのトイレ問題はいまだ私にとって未解決課題である。だれか教えて、いや研究して頂戴。

News from world of ancient Rome
03/12/22

Remains of small dogs were discovered under Colosseum

In the sewers under the Colosseum, researchers found the remains of small dogs – up to 30 cm in height. According to specialists, the Romans could use such small dogs (similar in size to dachshunds) for example for acrobatic performances, hunting or fights with wild animals. More »

Five Roman tombs have been discovered in Egypt

In 2017, in the necropolis of Beir Al-Shaghala (Egypt), in the Western Desert, five tombs from the Roman period of Egypt, made of mud and bricks, were discovered. The find was made by an Egyptian archaeological mission. The discovered tombs have different shapes and structures. The first one has an entrance leading to a rectangular […] More »

Skeleton of woman with preserved hair and eyebrows

The skeleton of a woman was discovered in a marble sarcophagus, which dates back to the 3rd century CE. Interestingly, the hair and eyebrows of a woman who probably died at the age of 50-60 are still preserved. The discovery took place in 1962 in Roman Thessalonica, and the woman came from a high social […] More »

Remains of Roman city devoured by tsunami have been discovered

In 2017, the remains of a lost Roman city were discovered on the northeastern coast of Tunisia. The ruins are underwater. Scientists suspect that these may be traces of the Roman city of Neapolis, which was devoured by a tsunami in the 4th century CE. This centre was famous throughout the Mediterranean for the production […] More »

Rare Roman mosaic has been discovered in southern England

In southern England, in Berkshire, a Roman mosaic has been discovered that shows the Greek hero Bellerophon riding a pegasus. It is one of the most interesting finds in Britain in the last 50 years. The object is dated to around 380 CE. The find is a floor mosaic 6 meters long. The work in […] More »

Emperor Sponsian’s coin is not counterfeit

A mysterious Roman coin depicting Emperor Sponsian was found in Romania at the beginning of the 18th century. In the 19th century, researchers found that it was a fake, which was made either in ancient times or even later when such artefacts were extremely fashionable. In recent weeks, the coin, which is housed in the […] More »

Roman fresco showing island of Laestrygonian giants

Roman fresco showing the island of the Laestrygonian giants-cannibals when Odysseus arrives. Interestingly, the Greeks identified this mythical place with either Sicily or Formia in Latium. The object was discovered in a domus on what is now the Roman road Via Cavour; now in the Vatican Museums in Rome. Dated to the 1st century BCE. More »

Further excavations are underway in Roman bath at Carlisle

In the north of England, in the city of Carlisle, further excavations begin to reveal more secrets of the Roman bath. The ruins of the building were discovered in May this year. At the moment fragments of weapons, pottery and coins have been found. Further excavations are possible thanks to the financial support of a […] More »

Roman snacks discovered under Colosseum

Numerous traces of ancient snacks have been discovered under the Colosseum – figs, grapes, cherries, blackberries, walnuts and others. Bones of dogs, bears and large felines were also found. The discovery was made during excavation works in sewers, which were carried out in 2021 and aimed at cleaning outflows and channels under the Colosseum. Among […] More »

Beautiful ship for Verres

In Roman times, it was very expensive and a lot of effort to put up a naval fleet. If the governor of the province received an order from the senate or decided that it was necessary to build, equip ships and train new crews, the entire financial burden naturally went to the cities of the […] More »

Filed under: ブログ

一部編集者・女性研究者の勘違いを糺す

 これは以前にも書いた記憶があるのだが(後日偶然判明した、2019/3/20)、

 共著の研究書などでは複数の執筆者が寄稿している。私は、奥付やその前のスペースに書かれている「執筆者一覧」をみて、なんでや 〜と思うことがある。それは女性研究者の生年が書かれていないケースに遭遇したときのことだ。そして時に男性研究者のそれも記載されていない場合すらある。

 この現象は、否応なしに「女性に歳を聞くものではない」と世間で当然のことのように言われていることが、出版社の編集者に影響を与え出しているかのように思われる。私のあいまいな記憶では、加賀まりこなんかが「女優に歳を聞くものではない」と叱りつけるように言っていたのが、いつのまにか「女性に」に置き換わったように思う。一般女性も女優並みに扱え、というわけである。

 私が「執筆者一覧」で女性のみならず男性の年齢を確かめようとするのは、「この論文の執筆者はこの年齢でこの論文を書いているのだ」ということを確認したいがためである。それが抜けていると、論文の評価も若輩ならこの程度でもしかたないか、とか、若いのにたいしたものだ、とか、研究歴が長い割に核心ついてないよね、とか、私は判断するわけであるが、その基準が持てなくなるので、どう評価していいのか、迷ってしまうわけである。

 といいつつ、すでに後期高齢者の75歳になってしまった私からみると、みなおしなべて年下になっているわけだから、多くの場合、ちょっと大袈裟に言えば、偉そうに「まだまだ未熟じゃのお、人生体験が足らん」という感じなのであるが(たまに脱帽する玉稿に出会うときがあるにしても)。

 時節柄なんでこんなあぶないこと改めて書いたかというと、『図書』(岩波書店)の最新号(2022年12月号)に近藤ようこ「ゆうやけ七色」という漫画のNo.3「シニア割」が見開き2ページで掲載されていて(pp.40-41)、美術館で割引きになる65歳かどうかと聞かれた体験で、10歳も老けて見られたのか、と落ち込んだ挙げ句、以下のコマ割りが登場していたからだ。

 近藤さんの主張に私は大賛成だ。だけど岩波書店だってやってんだよね、非掲載を。世間の風潮を忖度するのではなく、かつての編集者にはあった毅然とした判断力が必要とされている、ように思うのは私だけではないはずだ。

Filed under: ブログ

英国のキリスト教徒半数を割る

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-2017888/

 2021年の国勢調査結果で判明。まあ世界的趨勢かと。

キリスト教徒と申告した人、46.2%と、10年前の調査時(59.3%)を大幅に下回った。

イスラム教徒は、4.9%から6.5%に上昇、

無宗教は、25.2%から37.2%に大幅に増加、ここに10年前のキリスト教徒の多くがここに流入しているのだろう。

 キリスト教の知識が一般庶民レベルまでに今ほど周知されている時代はないにもかかわらず、帰属認識はむしろ希薄になるというねじれ現象は興味深い。宗教とは、知識的に知れば知るほど神秘性のヴェールが剥がされて、求心力を失う。知らないから信仰は生まれるものなのだ。それによって救われる人がいるのも事実なのである(もちろん、そうでない人もいる)。「由らしむべし,知らしむべからず」という格言は生きている。

 まあ、そうは言っても現代のイギリス人にとってキリスト教がもっとも身近な宗教にはちがいないはずで、困ったときの神頼みのとき、ムスリムや仏教に改宗する人はほとんどいないであろう。一部の人にとって、キリスト教周辺に跋扈している民間呪術の力は依然として力を持ち続けているはずだ。

Filed under: ブログ

これは面白い:「A4白紙は売りません」

 中国での白紙運動が報道されているが、素人の私にですらこの巧妙なやり方の裏に知恵者がいるのではと、つい深読みしたくなる。

 上海市の文具会社が、「最近、上海、北京、南京、武漢、成都、広州などでいわゆる『白紙革命』『白紙運動』が行われていることを強烈に非難する」と表明し、29日午前0時からA4の白紙の販売を停止すると声明を出したのだが、会社はHPでこれはニセ情報だと表明。しかしあの文面、検閲をかいくぐって、それとなく騒ぎの地域が広範だと衆知しているところが巧妙なのだ。https://mainichi.jp/articles/20221128/k00/00m/030/338000c?cx_fm=mailasa&cx_ml=article&cx_mdate=20221129

 まさに「上に政策あれば、下に対策あり」(上有政策、下有対策)。そして天安門後にいわれ出した権力側の報復措置「秋後算賬」、これが今回も発動されるのだろうか。それと関連して、体制側が不平分子をあぶり出すために意図的にサクラにやらせている、という見立てもあるが、はたしてどうなのだろうか。

 私など、つい胡錦濤退席事件と彼の背後に控えている共青団の存在に想像が膨らんでしまうのだが。実際に関与しているのか、前記のようなあぶり出しへの誘い水なのか。今のところマスコミにそのような観測は出ていない。簡単に終熄するとみているのだろう。上記のブログで、例の情報通の興梠一郎氏もそう見ているようだが、はたしてそうだろうか、今後の推移が興味深い。

 ところで、中国情報として日本ではこれまでとりあえずまず取り上げられてきた「人民日報」であるが、最近「あれは中国では誰も読まない」という言説がちらほら聞こえてくるようになって、その公式発表の裏読み分析で名をなしてきた興梠氏なんかどう考えているのだろう。これも一般大衆の意志が直接あれでも情報統制の網をかいくぐってSNSなどで流出してきたからこそ分かりだした、まさしく現代的な新現象なのだろうか。

 また、昨日の「プライムニュース」でゲストが、中国の新コロナ封じ込め政策(ゼロコロナ)からの転換ができないのは、それにつらなって膨大な利権で潤っている層がやめさせないという事情もある、といった発言もあった。逆にそれに対して腹立てている層もいるようだ。以下参照、https://digital.asahi.com/articles/ASQCC625PQCBUHBI042.html?pn=4&unlock=1#continuehere

Filed under: ブログ

世界キリスト教情報第1662信:2022/11/28:ヴァティカンにとっての中国問題

≪ 目 次 ≫
▽バチカンが中国の司教任命に「遺憾の意」、暫定合意違反と苦言
▽香港裁判所、政府への抗議活動の参加者支援の陳日君枢機卿など6人に有罪判決
▽教皇の膝のけが、スペインのサッカーチーム医師が治療
▽アフガン=公共の場でむち打ち刑執行、タリバンが最高裁に進言
▽ウクライナ保安局がロシアの「破壊工作」の拠点阻止へキーウの修道院捜索
▽米上院選決選投票で中絶反対派候補に「中絶強要」疑惑
▽南スーダンに聖公会大学が開校

今回は、中国関係の最初の2つを紹介する。

◎バチカンが中国の司教任命に「遺憾の意」、暫定合意違反と苦言
【CJC】ローマ教皇庁(バチカン)は11月26日、中国でバチカンの認めていない司教が任命されたことに、「驚きと遺憾の意」を表明した。バチカンと中国が2018年に締結した暫定合意違反と主張している。ローマ発AFP=時事通信が報じた。

 バチカンは声明で、中国江西省南昌市で11月24日、同省教区補佐司教の「任命式」が執り行われたと指摘、「対話の精神や、司教任命に関する暫定合意に反している」と苦言を呈した。

 また、司教任命の背景に地元当局の政治圧力があったとの見方を示し、「このようなことが繰り返されないよう望む」と指摘した。□

─────────────
◎香港裁判所、政府への抗議活動の参加者支援の陳日君枢機卿など6人に有罪判決
【CJC】香港の裁判所は11月25日、3年前の政府に対する抗議活動参加者を支援してきたカトリック香港教区の元司教、陳日君枢機卿(90)を含む6人に対し、条例違反の罪で有罪判決を言い渡し、罰金の支払いを命じた。NHKが26日早朝、「NEWS WEB」で報じた。

 この裁判は、陳枢機卿や人気歌手のデニス・ホー氏など6人が、3年前の政府に対する抗議活動に参加して逮捕されたりけがをしたりした人を支援するための基金を政府に届け出ずに運営したとして「社団条例」違反の罪に問われたもの。

 被告は全員、無罪を主張してきたが、裁判所は、基金には政治目的があり、届け出が必要だったとして6人に有罪判決を言い渡し、最高で4000香港ドル、日本円で7万円余りの罰金の支払いを命じた。

 陳枢機卿は、刑務所や拘置所を訪問して収監されている活動家たちを激励するなど、長年にわたり民主派を支持してきたことで知られ、ことし5月に逮捕された際には米政府などから中国や香港政府を非難する声が上がった。□
Filed under: ブログ