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ポンペイ、郊外浴場「脱衣場」の特殊フレスコ画【18禁(^^)】

 読書会での準備でまとめた成果を公表する。もうひとつ、アエネイアス関係画像も面白かったので、生きていたらいずれ。

 私はポンペイの「郊外浴場」(VII.16a)にこれまで三回以上は立ち入っている。最初、考古管理事務所の許可を得たのが一回、あとはなぜか行ってみたら自由に入れて(2016年11月23日から一般見学が可能になったからだが、そんな情報事前に得られてなかったので:そして例のごとくイタリアなので、所長が替わったこともあり、現在も公開されているかどうかは不明)、あるときなどは先生に引率されたイタリア人男女高校生のご一行様と一緒のことあって、彼らが大騒ぎしているのを見聞したので、あっち方面には限りなく開放されていると思われる彼らにとっても、かなり面白い見学だったようだ。

左、郊外浴場を東側から見る                  右、平面図

Room d:脱衣場 apodyterium の入口から見た右壁:この部屋は奥行きのある長方形であるが、件の壁画は奥まったほうにのみ描かれている。手前半分以上の壁の現況には、上部に茶色の枠組みと花綱模様めいた図案が描かれ、下部は黒色に塗られている。

想像図:John R.Clarke, Looking at Laughter, U. of California Press, 2007, Plate 23.
右下にわずかに見えるのは、部屋dの右出入口

 下図は、部屋の奥の3面の写真

向かって左壁の中・上部はすべて剥落、正面は脱衣籠部分と格子模様の下部のみ残存

 フレスコ画がほぼ完全に残っているのは右壁だけで、しかもそれを子細に眺めてみると最初の絵の上に格子模様を重ね描きしたような痕跡もあるし、発掘時にはその上にさらに塗りつぶしの重ね塗りがされていたらしい。

 その右壁の奥の問題の絵画の全景が以下。全体の描き方の流れとして左下から右上となっていて、手前に衣服を入れる脱衣籠が縦長に、ローマ数字でIからVIIIまで番号が振られ、その奧にベッド上での男女の性的体位が描かれている。黒色の縦・横の区切り線等は後からの重ね描きと思われる。

以下、詳細に見る。最初にNo.IとNo.II:以下、画像は番号順に右から左に見ていく。

No.Iが女性上位(騎乗位)で、ローマでは好まれた画題、No.IIは男性がバックから

次にNo.IIIとNo.IV:

No.IIIが乳バンドした女性によるフェラティオ、No.IVは着衣の男性によるクンニリングス(男の視線が面白い)

次は問題の箇所、No.VとNo.VI:

No.Vは、後からの重ね描きがかなり邪魔であるが、私は頭髪に注目して女性同士のレスビアンと考える。しかし左側を男性とみなす説もある:以下の線描画はたぶんそういう解釈か;No.VIはバックから攻める男・尻を差し出す男と後背位の女の3連性交図

No. Vの部分拡大図

後に付加された黒枠が邪魔であるが、左に立っている人物の左肩に相方の足が持ち上げられているのが特徴的

次も問題の、No.VIIとNo.VIII:

No.VIIは後背位でつながった男・男と、右の男にフェラしている女とベッドの端からその女にクンニしている女の四連性行図
左図はそれを図示したもの

さて、No.VIIIはというと、これがいささか場違いな画題なのだが・・・:

ベッドに座り、冊子本を開いて見物人の方に示している若者のように見えるが(文字で格言が書かれていたかも知れない)、より問題なのは彼の股間で、ささやかな男根と大きくふくらんだ睾丸が描かれている。睾丸水腫か、脱腸(鼠径ヘルニア)のように思えるのだが、一説に、彼は知性を象徴してる人物で、だから本を示し、男根もそれを象徴して理性的という意味で小さい包茎で示されている、と解釈されてもいるが、さてさて。

以上が右壁で、次に、奥の壁の脱衣籠図の下部が(上部に描かれていたはずの体位図は消失)、ローマ数字でX-XVI と、7つ描かれている。但し、描き方の方向が左上から右下となっていて、右壁とは違うのは若干私には違和感ある。

 おそらくこの調子だと、すべて消失してしまった左壁にも右壁同様に8つの衣類籠が描かれていたのかもしれないが、いずれにせよ、失われてしまった空間にどんな性的体位図が描かれていたことやら。日本ではその類いの体位48手と称しているようだが(その場合、男女は一対一であろうが)、ここで合計23手が描かれていたとすると、かなり壮観だったと思われる。

 しかし、最終的にすべて塗り込まれていたり、それ以前にも黒い太線で何ごとか描き直されている様子から察するに、この画題が利用者すべてから賛同を得ていたようには思えない節が感じられもする。部屋手前部分の茶色の格子模様との関連性の可能性にも気付かざるをえない。

【付録】さて、最初に示した平面図をご覧いただくと、この脱衣場「d」の外の壁沿いの右通路に沿って逆「く」の字型に階段が描かれている。そこを登ると崖を利用した二階に通じるのだが(崖の斜面を利用しているので、二階だからといってその下に一階があるわけではない)、そこがこの「郊外浴場」付設の売春宿だった(それがnと水色に塗られたo)。私はトイレつながりで許可を得て二階を訪問したことがある。そこは平面図で「n」の三角空間で、入口から入って左の壁に、例のトイレの神様のフォルトゥーナ女神が描かれていた。

右がトイレの入口から中を覗いた写真で、向かいの壁の右下に便座下の溝がみえる:左が件のフレスコ画

【2021/5/15のブログ参照】

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天邪鬼ですみません:菅の追悼文

 国葬で国民を感激させた追悼文、誰が原稿を書いたのか、ともかく以下が震源地だったようで。

 「菅義偉が国葬弔辞で美談に仕立てた「山縣有朋の歌」は使い回しだった! :当の安倍晋三がJR東海・葛西敬之会長の追悼で使ったネタを」(https://lite-ra.com/2022/10/post-6232.html)

 「菅前首相の“絶賛弔辞”コピペ疑惑で赤っ恥 「前提すっ飛ばしなら一種の剽窃」と識者バッサリ」
https://gogotamu2019.blog.fc2.com/blog-entry-39135.html?sp

 「菅前首相が引用した「山県有朋」:文庫解説者「出来すぎた話ですね」」
https://digital.asahi.com/articles/ASQB355LYQB2ULZU004.html?pn=8&unlock=1#continuehere


 時代がSNSやフェイスブック、それを検索するビッグデータの時代になって、検索能力も段違いになってきたのhttps://www.koji007.tokyo/wp-admin/edit.php?post_type=postで、コピペも瞬時に判明する時代となりました(余談ですが、学生のレポートのコピペを判読するソフトもできてます)。それを知らずに作文したり、朗読するととんだ赤っ恥かく時代となりました。 

 今日こそ、拙くともオリジナルの言葉で書くことことがきわめて重要になっていると感じます。

 関連で、国葬問題について、評論家田崎史郎がこんなこと言っていて、興味深かった。

 「田崎史郎氏、岸田首相が国葬を決めた理由は「参院選の最中に凶弾に倒れた」 それ以外は後付けと明かす」(https://news.livedoor.com/article/detail/22929305/)

 あれこれ理屈を付け加えたことが、かえって問題をややこしくしたというわけ。岸田周辺に知恵あるブレーンはいないのか。いやたぶん忠告・進言はしているのだろうが、岸田が頑迷に自説に固執しているのだろう。

 今度の息子を総理秘書官にしたことも、ちょっと、空気読めない人だな感蔓延。「「止める人いなかったのかな」岸田総理が長男を秘書官に 元商社マン・翔太郎氏(31)」(https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000270663.html)

【追記】衆院での追悼演説は、野田元首相が行って、こちらは立場を越えて絶賛された。それについてご本人のインタビュー記事がでた。2022/11/6「野田元首相が語る「追悼演説」」(https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20221102/pol/00m/010/003000c?cx_fm=mailpol&cx_ml=article&cx_mdate=20221106

 先に書いたオリジナルな言葉の真価はここにある。

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天気予報も「Jアラート」も・・・

 2022/10/4の朝、NHKを見ていたら緊急情報が割り込んできた。北朝鮮がミサイルを発射したらしいので、北海道とあれこれの東京都の島の人は避難して下さい、と。

 なんで北海道と東京の島なのと思っていたら、続報では青森と東京島嶼部となり、それも変だなと思っていたら、大分経って、東京の島嶼部は誤報だった、と。

 この右往左往は、Jアラートの精度を疑わさせるに十分だったような。以前もあったみたいで、またまた世界に赤っ恥をかくことになったようで(福島地震のとき、あっても使えなかった防災アプリ、なんだったっけ)。

 問題は過日の台風での空騒ぎだけではなかった。正確な情報を示すという基本線ができてない。大袈裟に騒ぐだけでは、国民は動かない、動けない。10分後には決着ついているのだから、逃げ場だってない。

「東京島嶼部に誤発信・システム起動せず手動配信…Jアラート、各地で混乱広がる」https://www.yomiuri.co.jp/national/20221005-OYT1T50044/?ref=yahoo

 こんな調子で国の安全は保てるのかっ。というより、庶民はいつも犠牲者になるだけのこと。

【追記】2022/10/5:NEWSによると、今般のJアラートの不始末は、以前の予行演習のデータが未消去されていたからだった、そうだ。何ともお粗末なことだが、担当者の身からすると、分秒を争うどたばたの中でとにかく警告ださなきゃとキー・ボタン押してやっちゃったのだろう。人間のやることはいつでもそんなもんだ。

 幼稚園の送迎車の幼児置き去り問題でも、色々防止策を講じてはいるが、それがむしろ大人の安心感になってしまっている現実が指摘されている。いくらガイドライン作ったところで、それを運用する大人が手抜きすれば悲劇の再発は必定なのだ。そしていずれ手抜きは必ずどこかでやってしまう。

「園バス置き去り、なぜ繰り返されてしまうのか:背景に“大人中心”に傾いた保育」(https://dot.asahi.com/aera/2022092600034.html?page=1)

事後に、しかも園庭に山ほどペットボトル供えてどうする:送迎車の車内で子供でも見えて取れるところに置いとけよ、せめて。それで救える命は確実にある。それすらなぜできないのか。
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世界キリスト教情報第1654信:2022/10/3:ウクライナ難民騒動

≪ 目 次 ≫
▽教皇、今年11月バーレーン訪問、「対話のためのフォーラム」へ
▽教皇、ロシアとウクライナ両大統領に停戦をアピール
▽ロシア正教会キリル総主教がコロナ感染、併合式典は欠席
▽ロシアで部分動員令への抗議デモ続く、拘束者2000人超える
▽ウクライナ難民は「社会保障目的の移民」 と独野党党首発言に非難殺到
▽ブラザー・アンドリュー死去=「オープン・ドアーズ」創始者

 今回は、下から2つめを紹介する。どこの世界でも一部に該当している件で、本当のことを言うと叱られるようで。
◎ウクライナ難民は「社会保障目的の移民」 と独野党党首発言に非難殺到
 【CJC】AFP通信(日本語)によると、ドイツ野党の中道右派、キリスト教民主同盟(CDU)のフリードリヒ・メルツ党首は9月27日、ウクライナ難民が「ウエルフェア・ツーリズム(社会保障目的の移民)」を行っていると非難したことを謝罪した。メルツ氏は今年、アンゲラ・メルケル前首相からCDU党首を引き継いだ。

 メルツ氏は独紙ビルト系列のテレビ局のインタビューで26日夜、ウクライナ難民に対する特別待遇が「無視できないゆがみ」を生んでいると指摘、「ウクライナ難民の間で、ドイツに行ってはウクライナに戻る、ドイツに行ってはウクライナに戻るという、ウエルフェア・ツーリズムが行われている」とか「大勢が制度を悪用している」と主張した。

 この発言に非難が殺到したことを受け、メルツ氏は27日、ツイッターで謝罪文を発表した。「厳しい運命に直面しているウクライナ難民を非難するつもりは毛頭ない。私が選んだ言葉で気分を害されたなら、心から謝罪する」として、「ウエルフェア・ツーリズム」という言葉を使ったことを後悔しているとした。□
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原爆ドーム保存に1億円寄附

 この夏から中国新聞のDIGITAL版(限定月10本)を利用するようになって、故郷情報があれこれ入ってくるようになった。

 広島に縁もゆかりもない愛知県の元会社社長さんが、傘寿の節目の記念にと。彼は苦学して22歳で独立、テント倉庫などの設計・施工会社を1代で興し、いつか人のために役立てたいと貯蓄していたよし。その志やよし。

 古代ローマ遺跡もそうだが、保存には存外に経費がかかる。一見さんの観光客はそんなこと気にしないだろうが、例年のように渡伊していると、何年も補修中の幕や足場がかかってるのに気付くことがある。私が1年間滞在したナヴォーナ広場のサンタニエーゼ・イン・アゴーネ教会なんか、工事している雰囲気まったくなくてずっと数年間そうだった。

 コンスタンティヌスの「凱旋門」、コンスタンティヌス的には肝心要の1700年祭の2013年に、どういうものか、その半分に足場が組まれていたことを思い出す。たしかその数年前にもそんな状態だったような記憶あるのだが。

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広島の田舎パンのこと

 数年前、広島で「捨てないパン屋」を標榜して頑張っている「ブーランジェリー・ドリアン deRien」のことを偶然知った(https://derien.jp/)。材料を吟味して、注文販売に徹していて、週の半分しか稼働せず、それでも注文が多いと受付停止、それにまあ送料もそれなりにかかるので、よほどの思い込みないと東京住まいの身には続かないという難点有りだが、先日、嫁さんがパンの小麦粉は問題多いとつぶやいていたこともあって(そのくせ、ご自分はセブンイレブンの真っ白なフカフカ・パンを購入されてまして)、久々に頼んでみた。

 Pain de campagneの小2つとRye100一つを頼んだら、やっぱり最短は無理で10日後にどん!と届いた。それを冷蔵庫に入れて(我が家の冷蔵庫では、いささか持てあまし気味のカサである)、たんびに切って食して一週間、一食で嫁さん一切れ、俺頑張って3切れで、やっと1つを消化したところである。冷蔵庫で3週間かかっても大丈夫らしいむっちりパサパサの田舎パン。パン切ナイフを入れるたびに、どういうものかファン・ゴッホの「ジャガイモを食べる人びと」の暗く粗野な絵が思い出されてしまうのは、なぜ?

 でも、気のせいか便通が良くなったような気がするので、それ用のサプリメントと思えば送料も気にならないよね、と一応自らを納得させつつ。

 さっきHPに行ってみたら、全部「在庫切れです」の表示が。「現在ご注文が込み合っているため、一時的にご注文の受け付けを停止させていただきます」と。関連の本二冊までが「在庫切れです」なのには笑ってしまったが。

 10/3:注文の受付が再開されたようだ。本も両方とも購入可能。おやおや。

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世界キリスト教情報第1653信:2022/9/26:ロシア観光客スイスへ殺到

なぜか発信者から先週の日付(内容も)のものが5通も送られて来て、どうもおかしい。それで例のごとく小原氏のブログに行ってみた。そしたらそっちはちゃんと新しい記事が掲載されていた。どういうことだろう[翌日9/26分が送られてきた]。

  • 「自然に優しい、平和の経済、いのちの経済を」=教皇、経済をめぐる若者たちのミーティングへアッシジ訪問
  • 教皇、イタリア・マテーラで聖体大会閉会ミサ
  • “ロシア軍が司祭を拉致して拷問”とウクライナ正教会大主教=NHK
  • ロシアは「国連憲章違反」、バイデン氏が非難「無責任な核の脅し」とも
  • ロシア、部分動員令への抗議デモ続く 拘束者2000人超える
  • ウクライナ侵攻よそにスイスへ押し寄せるロシア人観光客

 とまれ最後のを紹介してみる。

◎ウクライナ侵攻よそにスイスへ押し寄せるロシア人観光客

 【CJC】スイス公共放送協会(SBC)国際部が、世界に向け政治的または経済的利益から独立した立場で行っているSWI(日本語版)によると、独語圏の日曜紙NZZ・アム・ゾンタークが9月18日、自国が戦争中でもロシア人が旅行を止めるわけではないようだ、と報じた。
 スイス政府観光局のデータによると、ロシア人がスイス国内のホテルに宿泊した件数は7月末時点で6万1214件に上った。また同紙によると、スイスが今年、ロシア国民に対して発給したビザは9000件超となった。ホテルの平均宿泊日数は3泊強と、他のどの観光客グループよりも長い。
 観光業界は、かつて大歓迎していたロシア人観光客から距離を置きつつある。国内旅行最大手STCは現在、ロシアからの予約を受けつけていない。だが同紙は、富裕層のロシア人は制裁下でもスイスへの休暇旅行ができる状態にあると報じている。
 連邦政府は16日、ロシア国民に対する簡易ビザの発給停止を決定。欧州連合(EU)の措置に追従した。
 ロシアによるウクライナへの侵攻後、スイスは一貫してEUの制裁措置に足並みを揃えてきた。スイスの金融機関はこれまでロシア資産の退避先となっていたほか、スイス拠点のロシア企業も多く存在した。

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ローマの水

 画像チェックしていたら偶然1995年のサバティカル時の写真が出てきた。ローマに滞在したとき、しょっぱな何に驚いたかというと、お茶を飲もうと水道水を湯に沸かすととんでもない現象に出会ったことだ。湯に雪が降ったようになるのである。

白い粒子は言うまでもなく石灰である

 そしてこれは写真に撮ってはいないが、紅茶や緑茶の葉っぱやティバッグを入れると、湯が対流しているのが目視できる、あれはなんだろうか「かす」みたいなものが水中をぐるぐる回り、あろうことか湯の表面に虹色に光る金属膜みたいなものさえ。

 もちろん飲んでおいしいものではなかったので、母が持たせてくれた緑茶はすべて捨てた。そのあとで在伊が長い邦人に聞いた所によると、日本茶は、一度湧かした湯の上澄みをとって、それをも一度湧かし、その上澄みで淹れると飲めるようになるのだそうだ。・・・なるほど。

 それで体感的に、あの石灰分の多いイタリアの水に合うのがエスプレッソなんだろう、と思ったわけ。そうそう思い出した。アルル方面めざして鉄道でアルプスの西の国境を越えた所の、フランスのChambéry駅だったと記憶するが、深夜にそこの自販機でエスプレッソ飲んでみたが、すでに美味しくなかった。コクと香りがない。またスペインの東海岸を列車で南から北上していくにつれ、徐々にエスプレッソらしくなってきたのもいい体験だった。要するにエスプレッソの世界はアルプス山脈の南側なのであろう。

 そして、サバティカルの1年間、例のマッキネッタBialettiを使っていると内側に石灰の成分が付着して純白の膜がキラキラ光るようになる。それを帰国して日本の水道水で使っているとぬるっとしたきたない象牙色に澱んでくる。それを見ていると郷愁に駆られてしまっている自分がいる。

 日本では自宅での水道水はもとより、なぜかイタリア製のミネラル水でも、またどんな本格的なリストランテでもエスプレッソ飲んで美味しいと感じたことはない。すべては水なのだ。

【付論】では「紅茶文化」のイギリスの水はどうなのかと気になって、ちょっと調べてみたら、硬水の地区と軟水の地区に分かれていた(https://www.bristan.com/hard-water-map;https://japanesewriterinuk.com/article/water-in-uk.html)。

 なんと案に相違して、イングランドは硬水が主体の地区なのだ。ということは、そこでは紅茶はどうやって淹れていたのか・・・。答はどうやら葉っぱのブレンドと軟水の入手、にあったらしい(https://ringtons-japan.jp/hpgen/HPB/entries/39.html)。

 それで思い出した。大昔、ロンドンのホテルで部屋に置いてあったリプトンの一番安いティーバックを水道水で淹れて飲んだ紅茶のおいしかったこと! ブレンドがロンドンの水道水に合わせて調合されていたのだろう。それで感激して、そのティーバッグを日本に持って帰ったのだが、日本の軟水で淹れても再現できなかった理由もそこにある。だからイギリス直輸入の葉っぱを無自覚で飲んでいる限り、ひょっとすると思い出を飲んでいるだけのことなのかもしれない。味が違う!、というわけでミルクいれて流し込むのが落ちか(じゃあ、ヨーロッパ渡りの硬水のミネラル水で淹れたらどうだ、というとこれでもだめらしい。水に含まれる空気が重要で新鮮な「汲みたての水」でなければいけないらしい:これはイタリアのそれでエスプレッソ淹れても同じことでありんしたねえ、と納得)。すべては水なのだ。

 これは東京も広島もだが、嫁さんお好みで、百貨店の地下なんかで英国渡りのアフタヌーン・ティーなんかに行ったことあるが、スコーンやサンドイッチはともかく、ブラックティーがはそんなに抜群とは感じなかった。もともと私は紅茶が体質的に若干難があるので(妙な覚醒反応があるのだ)、ストレートではなくミルクでごまかす方なのだが。

 うちの嫁さん、大きな缶でイギリス紅茶をありがたく飲んでいるので、こんど軟水用のを買ってあげて男を上げようかな。

【後日談】日本の水でおいしいという触れ込みの「ヨークシャー」のリーフカートンとティーバックを試しに買った。試供品のティーバッグを試して見ると、気のせいかソフトな口当たりでいい感じなのだが、嫁さんは無反応。

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広島駅の例のうどん屋が消えた

 帰省したら食べるのを楽しみにしていた、もともとは新幹線のプラットフォームに店があった立ち食いうどん屋が、コロナ騒ぎで、新幹線待合室の奥に移転して、なんだか分不相応の広さだったので、大丈夫かなと思ってきたが、今回帰り際の昼食で寄ってみたら、・・・なくなっていた。代わりに八天堂の看板が、でもそれも店開いてない。隣の弁当屋の小母さんに聞いたらあっさり「なくなりましたね」と。

 残念である。駅のどこかで生き残っていてほしいのだが。

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「地球科学の最前線:天変地異の秘密に迫る」を見た

 これはNHK BS1で2022/3/24放映の再放送だった。フランス作成の番組のようで、その解説文に「地球が誕生して46億年。火山噴火・巨大地震・大型台風など、天変地異は繰り返されてきた。今、その発生メカニズムの研究が進んでいる。そこから見えてきたのは、様々(さまざま)な自然現象が複雑に影響しあっていることだ。防災の観点からも注目を集める地球科学の最前線に迫る!」とあって、視聴するまではちょっと大丈夫なのかなと思わされた。

 最初は、「台風と火山」となっていて、低気圧の台風襲来で大地が2,3ミリ上下し、そこに大雨が降ることで大地に微妙な変化を生じさせ、それが火山活動に影響する、といった内容なのでやっぱり大丈夫かなと思ったが、次に「火山噴火と海流」で、そのときの事例が600万年前の地中海で、ジブラルタルが閉鎖されて地中海が干上がった、海水の重みがなくなったので火山活動が活発化して、この状態が30万年続いたあげく海峡が崩壊し、大西洋から水が流入したという話はまあ納得できたし、次の「大気の川と南極」「火山と南極」になると、要するに南極の氷が全部溶けると海面は50m上昇するというわけだが、その伏線としてなんと南極には3000kmの長さで溶岩流の痕跡があって、すなわちぶ厚い氷の下に100以上の火山がつらなっていること、温暖化で表面の氷が溶けると、地表が軽くなり、それまで押さえられていた地下のマグマが上昇、噴火し、それが氷をさらに溶けさせ、それがますます噴火を促進させるというスパイラルとなる、というあたりはなかなか面白かった。

テレビ画面から

 要するに、一見別々の災害にみえるが、実は相互に関連してそれが連鎖的に生じている可能性がある、というお話である。とにかく間尺がなん万年前といった悠久の話で、若干危機意識を煽っているきらいはあるものの、一見無関係と思える科学の基礎研究の重要性を指摘している点は、同調せざるを得ない。

 なぜかNHKオンデマンドで見ることできないようだが(「このビデオは、現在、お住まいの地域では視聴できません」との表示が:U-NEXTでもあかん)、興味深い番組なのに残念である。

 

 ところで話は飛ぶが、古代ローマ時代には海抜は今より80cm 〜1mほど低かった,という話はご存知だろうか。それは2000年間で氷河が溶けたための海水面の上昇による現象なのだが、私がそれを知ったのは昨年のことだった。しかし、たかだか1mの違いにすぎないにせよ、それにマグマ活動における地面の上下運動を付加するなら、場所によっては数メートルの差異にもなって、古代における海岸線での景観を考える上でかなり異なった印象を与えた場合もあったはずだ。これは火山活動が活発なイタリア半島において決して荒唐無稽な仮説とはいえないであろう。

 

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