前政権の評価:飛耳長目(59)

 ちょっと前どこかで目にしたのだが、安倍が自画自賛している成果は、実は、彼が「悪夢のような」と口を極めて罵倒してきた民主党政権時代に手がつけられた政策で、というものがあって、私には目にうろこだった。それを射程に置いた論説が出たので、メモしておく。ビル・エモット(英誌「エコノミスト」元編集長)「安倍前首相の評価:遂げた改革一覧に失望」:https://mainichi.jp/articles/20200927/ddm/002/070/062000c?cx_fm=mailyu&cx_ml=article&cx_mdate=20200927

 以下も、参照:「安倍政権に対する後世の評価は、「悪夢の民主党政権」のリベラルな政策を実行したこと?」(https://diamond.jp/articles/-/248638)

 そして、以下も。「アベノミクス人気「宿願」安保に利用:異次元緩和「勝ち目」消え 元日銀理事・早川英男氏に聞く」(https://mainichi.jp/articles/20200930/dde/012/020/036000c?cx_fm=mailyu&cx_ml=article&cx_mdate=20200930)

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大学のロックダウンはなぜ続く

 こんな事態は、リタイア組の私にとって50年前の大学闘争時の封鎖・ロックアウト以来の歴史的出来事である。時々元の職場大学に行くと、未だ正門でチェックされ(学生証ならぬ名誉教授証を提示)、構内に学生の姿はごく稀である。例外は理工学部でやはり実験しないといけないのだろう、閉められたドアの向こうに人の気配があるのが救いである。

 私にとって現在の大学は図書館以外にないのだが、ここも閑散としてほとんど人影はない。職員が張り付いているのがなんだかもったいない気さえする。そんなとき、以下の記事が。「大学「全面再開」わずか2割 足りぬ教室、実験や実習は感染リスクと向き合い模索」:https://mainichi.jp/articles/20200925/k00/00m/040/231000c?cx_fm=mailasa&cx_ml=article&cx_mdate=20200926&pid=14613

 そうこうしていたら、事情通の元同僚(やはりリタイア組)から、事務系は現在「自宅勤務は週2日までで、来月から週3日出勤になるそうです」 とホットな情報が。正規職員はともかく、この調子だと、臨時採用の職員はていのいい解雇・雇い止めにあっている可能性大だな、と考えがめぐってしまう。私が人事担当理事だったら、もちろんそうするからだ。要するに、普段の状況だと部署的に既得権があるので、人員削減はなかなかできないが、今回のような「非常事態」であれば、経営者側は思い切った荒療治ができるわけだ。なにがなんでもスリム化が駄目というわけではないが、その先の未来にいかなる像をみているのか、それが問われていると思う。

 デジタル社会の到来は、かくしてポスト・新コロナの唯一の成果になるかもしれない。テレワーク授業が常態化すれば、大学教員・非常勤採用にも影響がおよぶはずで、そうなるととくに駆け出しの若手研究者の未来はさらに暗い。少なくとも、予備校的に講師選別はきつくなるだろう。そこから基礎教養的なものはまっ先に淘汰されてしまうだろう。

 私的には、この機会に、授業で使用する画像・動画の著作権がらみの従来規制は大幅に緩和してほしい、そのための制度を早急に確立してほしい、と念願すると同時に、複数校で講義する非常勤の録画映像の所有権とかで、非常勤講師の立場を追い込むことにならない工夫が必要な気がしてならない。

 すべての制度には裏と表、陰と陽がある。とかく現在の官邸主導の政策はいけいけで、陰(おお、大学「院」)への目配りが足らないことだらけだ。プラス面に付随しているマイナス面への目配りこそ、事務官僚の本骨頂のはずなのだが。

 こんなことが頭をかすめていたら、以下の記事が。「安倍政権は、働き方改革や1億総活躍、女性活躍と聞こえのいい言葉を並べましたが、結局は雇用を壊しました。それぞれの制度は企業にとっては抜け穴だらけで、「非正規という言葉を一掃する」という安倍前首相の言葉とは、まったく逆のことが起きています。」:https://mainichi.jp/articles/20200925/k00/00m/040/229000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20200926 

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今年の冬の迎え方:飛耳長目(58)

 急に気温が涼しくなってきた。そこで心配なのは、例年のインフルエンザと新顔のコロナである。

 「インフルエンザと新型コロナに同時に感染したらどうなる?」https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/091800550/?P=1

【沖縄で感染者が多い理由】

 何でだろうと思っていたら・・・

「コロナ感染防止:米軍関係者も入国禁止に」赤嶺政賢・衆院議員 2020年9月29日:https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20200829/pol/00m/010/014000c?cx_fm=mailhiru&cx_ml=article&cx_mdate=20200929

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ローマ時代のエロ本?:遅報(50)

 奴隷関係をググっていたら、遅ればせながら偶然以下がヒットした。あれ、これまで気付いていなかったのはなぜ、というわけでさっそく古書で注文した。トゥリヌス(烏山仁・翻案)『ローマ式奴隷との生活』三和出版、2016。なんと注文して翌日に速攻で送られて来た。

 購入前は、ほぼ同時期に出版された『奴隷のしつけ方』太田出版、2015;『ローマ貴族9つの習慣』太田出版、2017、と同様のものかと思っていたが、来たモノは大変なきわものだった。前2冊は、一応ジェリー・トナーなる西洋古典の研究者で、ケンブリッジ大学教授が、マルクス・シドニウス・ファルクスなる著者をでっち上げての、まあ偽書なのであるが、そのことをちゃんと明言している潔さがあったし、内容も高度だった。

 今回のトゥリヌスの口上は、翻案者によると、古代ローマ時代の文筆家(生没年不明)による『奴隷娘たちとの生活』Vitae cum Selviris からの翻訳、ということになっていて、斯界では著名なA氏が写本と彼の訳を持ち込んできたことになっている。本物にみせるための道具立てとしてもっともらしく、それなりに詳しくおおむね正しい解説メモ付きであるが(その努力賞として星2つ)、本文はまあトンデモ本とでもいうべき偽書であろう。

 そもそも書名のラテン語の綴りが間違っている。「奴隷女」のラテン語は「serva,ae」で、前置詞cumは奪格要求するから、複数奪格だとservisだし、「若い女奴隷」だと「servula,ae」のはずだから、「servulis」とするのが普通だろう。間違っても「selviris」ではないはず。ま、私の知らない,辞書にも載っていない隠語であれば、ご教示いただければと思う。もしそうでなければ、翻案者は気付いていないのか、読者を小馬鹿にしての手の込んだ仕掛けなのか、ともかく本書の表題を書いた御仁は、私並にラテン語に詳しくないおっちょこちょいなのは確かである。それに著者名のトゥリヌスから、私などつい想起するのはかの有名なMarcus Tullinus Ciceroであるからには、まあこれも意図的な作為的命名であることは明らかだろう。読者を騙してほくそ笑んでいる翻案者なりA氏のしたり顔が目に浮かぶようだ。

 以下蛇足である。我が国には大場正史大先生訳の、F.K.フォルベルグ『西洋古典好色文學入門』桃源社、1976年(原著出版、1882年)がある。全訳ではないが、碩学によるこのド真面目な本を読む方がよほど劣情を刺激するはず、少なくとも私にとっては。ところで、大場正史はこれまで筆名だと思ってきたが(昔それなりに調べたはず)、今回念のため改めてウィキペディアを検索してみると、1914/1/1佐賀県生まれ-1969/7/17死亡、と実名扱いになっていたのには、いささかビックリだった。

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寒天の効用:飛耳長目(57)

 前から寒天を購入して電気釜に入れたりしてきた。今回思い立って「寒天づくりセット」を入手して一週間ほど、毎日自作の寒天を食している。私とはこれまで話も性格も舌の味覚もとんと合わない嫁さんが、今回の寒天に関してはえらく気に入って毎日食してくれるので、作らないとこっちの口に入らない仕儀となっている(^^ゞ どうやら彼女にとってお通じにいいらしい。私はそれ以上で最初柔らかくなりすぎてトイレ通いした。宿便が出ているのならいいのだがと思ったものだ。

 作り方は簡単。処方箋によると、500ccの水に寒天粉末4gを入れて、煮立てて2分。流し缶に入れて冷蔵庫に1時間くらい入れるだけ。水に小量の粉を入れ煮立てると個体になる。なんだか化学実験めいて面白い。

 まずレシピ通りやってみたら、なんだか固すぎたので、今現在は、牛乳を適量いれての500ccに若干山盛りの2グラムだけを投入している。セットに備え付けの黒蜜をかけてもいいが、ダイエット的にはそのまま食すべきだろう。驚いたのはバナナのスライスを入れたらそれだけで甘味も適度にあっておいしかったことだ(色は多少変わる)。ココアやコーヒーも入れてみたが、やっぱり砂糖がほしくなり、また投入量の具合でまだまだ試行錯誤が必要な感じだ。

 セットの購入先は、ウェブで「寒天本舗」に行けばいい。

左がセット、右が牛乳とバナナ入りを作成中

【追記】妻が「寒天に入れてみたら」と、こしあんを買ってきた。それで水に混ぜて作ってみたら、なんとあんが下に沈殿して、期せずしてきれいな二重構造になって、これは面白かった。牛乳のときはそんな変化は起こらなかったから、不意打ちだった。砂糖も入っていなかったようで小豆独自の落ち着いた味で、妻も私も気に入ったので、これからも作るだろう。こんどは粒あんだな。なぜか孫は食べてくれない。勘弁、なんだそうだ。やっぱり老人食かな。

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世界キリスト教情報第1548信:2020/9/21

= 目 次 =
▼バチカンが中国と司教任命の暫定合意延長=中国発表
▼台湾は、中国との協定延長に、バチカンの保証を確信
▼李登輝元総統告別追悼礼拝に、安倍前首相やダライ・ラマが追悼メッセージ
▼赤十字国際委員会がコロナ禍でリストラへ
▼米メーン州の結婚式から新型コロナ「スーパースプレッダー」現象
▼サグラダ・ファミリア、2026年の完成不可能に

 今回は赤十字関係情報を転写。

◎赤十字国際委員会がコロナ禍でリストラへ
【CJC】赤十字国際委員会(ICRC=本部ジュネーブ)は9月18日、新
型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による財政難を理由に95
の役職を削減する、と発表した。60人が影響を受ける見通し。情報メディア「
スイスインフォ」が、フランス語圏のスイス公共放送(RTS)報道として伝え
た。
 ICRCは、2020年の財政赤字が130万スイスフラン(約1億500
0万円)に上る見通しと公表した。現在、総額2500万スイスフランのコスト
削減計画を策定中で、その中に人員削減策も含まれる。
 ICRCは年間予算22億フランの資金調達が困難になっている。パンデミ
ックにより人道援助の必要性が高まる一方で、資金源の寄付金が減少していると
いう。
 現在、ICRCのジュネーブ本部には1000人、国外では2万人のスタッ
フがいる。
 ICRCの広報担当は「非常に困難だが必要な決断に直面している。スタッ
フの懸念を過小評価せず、失業を最小限に抑えるよう努力する。関係するスタッ
フを最大限支援する」と述べた。
 国連ジュネーブ事務局など、他の国際機関もパンデミックで財政難に陥って
いる、と伝えられる。
 同事務局は「一部加盟国による分担金の不払いや支払いの遅延が積み重なり
、深刻な流動資金不足につながっている。このため国連は組織全体で資金調達の
レベルや時期に制限をかけ、採用凍結せざるを得なくなった」と説明している。
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日本トイレ最新情報:トイレ噺(17)

「コロナで脚光 日本発トイレ革新、世界へTOTO・LIXIL:クリーンテック 駆けるトイレ(上)」:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63652270Z00C20A9X11000/

「パナソニック、トイレの常識覆す樹脂のマジック:クリーンテック 駆けるトイレ(下)」:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63728150R10C20A9X13000/?n_cid=NMAIL006_20200914_Y

 シャワー・トイレをあまり日本の発明と得意げに公言してほしくないので、お尻を水で洗う先輩に、ヨーロッパのビデがあることを指摘しておきたい。もちろん水を使って手を使うアラビア式もある。

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世界キリスト教情報第1547信:2020/9/14

= 目 次 =
▼新型コロナは同性婚への「神罰」発言の聖職者が陽性=ウクライナ
▼サラン第一教会のチョン牧師、釈放から140日ぶりに再収監
▼聖書全巻翻訳が700番目の言語にまで到達
▼中国がキリスト教の情報規制をさらに厳格化
▼イスラエルとバーレーン「完全な国交正常化」で合意とトランプ氏
▼インドネシア有力紙コンパス創業者ヤコブ・ウタマ氏死去

◎中国がキリスト教の情報規制をさらに厳格化  
【CJC】香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト報道としてロシアのス プートニク通信が伝えるところでは、中国政府はキリスト教についての情報流 布の規制をさらに厳格化していく構えだという。  
 中国では近いうちにも外国人教師に対し、許可なく自身の信仰のプロパガン ダを禁止する新たな規則が発効するなど、外国人教師によって流布される情報へ の規制が厳しくなると見られる。  
 中国政府は、活動禁止リストに掲載された新興宗教の「悪質なカルト的実践 」の回避を要請していく構え。専門家は、中国政府がこうした方法で聖書やキリ スト教の信仰を自由に討議する最後の可能性を断とうとしていると指摘する。 
 サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、中国では現在、キリスト教は国 家から圧力を受けている、として中国社会では外国人は歴史的にキリスト教の主 な宣教者となっているという。□
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権力は腐る:コンスタンティヌスの場合

 世情はあれこれ賑やかであるが、まあ露骨に民意を蔑ろにした政権交代の茶番劇といったところか。質問にまともに答えない体質や、討論が全然成り立たないのも今に始まったことではない。ことを荒立てない民度の高い日本人の叡知の現れなのであ〜る(皮肉です)。

 ここでは、安倍政権7年8ケ月どころではない、30年の長期政権を保持したコンスタンティヌス大帝(a.272-337年)について、知るところを若干書いておこう。

左、たぶん若い頃の大理石彫像(1823年以前にYork出土);右、手前が皇帝、奥が太陽神(313年Ticinum打刻金貨)

 彼は306年(34歳)に政権の一端に突如登場し、以後20年にわたる内乱を制して(310年[38歳]義父マクシミアヌス殺害、312年[40歳]義兄弟マクセンティウス殺害、324年[52歳]義兄弟リキニウス殺害:要するに彼の政治的上昇は、政略婚姻関係という仮そめの仲とはいえ親族殺しによって達成されたわけ)、その後13年間ローマ帝国の単独支配者だった。そして又、コンスタンティヌスは326年(54歳)に最初の内縁の妻ミネルウィナ系の長男クリスプスと正妻ファウスタを殺害に及ぶ。政治家の評価はいつの時代でも毀誉褒貶あい乱れ、難しいものだが、コンスタンティヌス大帝がらみでは、最初の「10年間はすばらしい君主だった、続く12年間は盗賊であり、最後の10年間はあまりの浪費で禁治産者だった」(4世紀末の無名氏『諸皇帝伝抜粋』Epitome de Caesaribus)との評価があって、その伝でいくと、彼は単独皇帝となってどうやら、”たが”が外れてしまったようなのである。

左、青銅巨像部分(カピトリーニ博物館);右、ハギア・ソフィアのモザイクの皇帝像

 一般に頌詞作品とみなされ、高名なる識者たちの評価も低いカエサレイアのエウセビオス『コンスタンティヌスの生涯』Βίος Μεγάλου Κωνσταντίνου(Vita Constantini) であるが、先入観を排して注意深く読んでみると、なかなか隅におけない記述が含まれている。突っ込み処満載なのに、研究者はほとんど突っ込もうとしないので、私は不満である。

 その最たる箇所が第4巻第54章で、以下要約する。

 コンスタンティヌスは完全な人間の域に達していたが、彼はとくに慈悲深く(cf.,Ⅳ.31)「多くの人は、これを皇帝の弱点」とさえみなしていた。というのは、皇帝の我慢強さをよいことに悪を行った恥知らずの男たちが跳梁跋扈し、我々(=エウセビオスを含めた、おそらくキリスト教聖職者たちのことか)ですら気付かざるをえなかったのだが、①国民を食い物にした強欲で恥知らずの男たちがほとんど非難・告発されることがなかったこと、②キリスト教徒を僭称した者が教会内に忍び込み、「口にするも憚れる偽善」が生じた。皇帝は慈悲深さと寛大さのゆえ、また信仰深い誠実な性格のゆえに、自分への忠誠を狡猾に申し立てた自称キリスト教徒たちの「演技を信じるに至った」。このため彼は「彼らの不適切な振る舞いのために非難され」、こうして「妬みの霊がこの汚点」を彼にもたらした、のだと。

 そして第55章冒頭で「程なくして、神の裁きがこの者たちに下」ったと述べ、読者に事の真相が暴露されるのかと期待させるのだが、具体的には何も触れないままで、別の話題に転ずる。すなわち、コンスタンティヌスは死の直前に「いつもの聴き手[単数!:ひょっとしてエウセビオス?]を前に」遺言めいた挨拶をした中で、「無神論者の悲劇的最期」について長々と述べたが、それは「ご自分の周囲にいる一部の者[たち]を批判しているようにも見え」た。ここも意味深だが、さらに次いでエウセビオスの謎めいた表現が出てくる。皇帝は「その知恵を誇っている者の一人[誰のことやら]にご自分の話をどう思ったかと尋ねさえされ、その者は語られたことの真実性を証し、本心からではないでしょうが、多神教への非難に対して盛んに拍手喝采しておりました」。死の直前にこのような話を「腹心の者[集合名詞的に「たち」か]にすることで、皇帝はみずから、ご自身のために、よりよいものへ向かう旅立ちを何の支障もない容易なものにしようと」しているようであった、と(以上、秦剛平訳:但し[ ]内は私の付加。こういう箇所の単数・複数は慎重に吟味すべきだ)。

 いずれ触れたいテーマで、注意深く考察し味読すべき箇所であるが、今はくどくど解説する必要はないだろう。長期政権は佞臣を引き寄せ、権力者は孤独であるがゆえに彼らの跳梁跋扈を容認する。似非お友達関係である。こうして悪貨は良貨を駆逐し、それは世人たちには目に余るほどになる。たとえ平穏な時代であっても、否、そうであればこそ、文字通り長期政権は腐るのである。

 後日談だが、コンスタンティヌス大帝の死後、ファウスタ系の三人の息子たちが、祖父の後妻にして正妻のテオドラ系を抹殺するという挙に出て、血縁の血の上塗りをおこなっている。それもあってか、コンスタンティヌス一族の男系は、背教者ユリアヌスで断絶。ただし女系はコンスタンティノポリスで7世紀初頭まで存続していた。

 アメリカ合衆国で一世を風靡した「ケネディ王朝」も、J・F・ケネディ暗殺以降すでに60年近く過ぎ、子孫の相次ぐ不祥事で暗雲が垂れ込めている。2世、3世の政治家というのも難儀なことだ。つくづく同情させていただこう。「まさかの米上院予備選結果と”ケネディ王朝”の終焉」:https://wedge.ismedia.jp/articles/-/20769?utm_source=newsletter&utm_medium=email&utm_campaign=20200914

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