世界キリスト教情報:第1618信

= 目 次 =
▼教皇、フィンランドのエキュメニカル使節を歓迎
▼列聖省、聖イレネオへの「教会博士」称号付与案提出
▼独カトリック教会の児童性虐待、「前教皇が対応怠る」=最新報告書
▼「キング牧師の日」に米ヒューストンでインクルージョン訴えるパレード
▼礼拝者殺到で29人死亡 リベリア、強盗現れパニックに
▼イエメン内戦、刑務所空爆で70人死亡=移民収容所に転用、子どもたち犠牲に
▼アンネの隠れ家を密告した人物特定か
▼禅僧ティク・ナット・ハン師死去 、「マインドフルネス」を欧米諸国に紹介

 今回はちょっと長くなるが、最初の3つを紹介しないといけない。
 最初のものは、教皇が2025年を「第一ニケア公会議開催1700周年」として祝うと宣言している。私はなんとかこれは目撃できそうである。
 2つ目の「聖イレネオ」とは、リヨンのエイレナイオス(後130頃ー202年)のことで、彼が新たに教会博士doctor ecclesiaeに選出された(1/21付)。
 3番目は、まあどうみてもこの問題が前教皇の引退の真の原因だったとしか思えないわけで。

◎教皇、フィンランドのエキュメニカル使節を歓迎
【CJC】教皇フランシスコは1月17日、フィンランドのエキュメニカル使節を歓迎した。

 「バチカン・ニュース」によると、使節は、フィンランドの福音宣教に大きな役割を果たした、ウプサラの聖ヘンリック(司教・殉教者)の祝日(1月20日)と、「キリスト教一致祈祷週間」(1月18日~25日)を機会にバチカンを訪れた。

 使節を歓迎された教皇は、2022年度「キリスト教一致祈祷週間」のテーマ、「わたしたちは東方でそのかたの星を見たので、拝みに来たのです」(マタイ2・2)に触れながら、教会の伝統は福音書の東方三博士の中に異なる文化や民族の象徴を認めている、と指摘。わたしたちは、分裂の闇をかき散らす神の優しい光に導かれ、一致に向けて歩んでいる、と話した。

 また、世界は神の光を必要としている、と述べた教皇は、その光はただ愛と一致と兄弟愛の中にのみ輝く、と話した。

 教皇は、2025年に記念される「第一ニケア公会議開催1700周年」、2030年の「アウクスブルク信条500周年」を、一致への歩みを強め、人の論理より神の御旨にいっそう従順となるための機会として見据えながら、この歩みを続けて行くことを希望した。

 神を求め、大胆さと具体的な行動をもって、イエスを見つめながら共に進み、互いに祈り合いましょう、と招きつつ、教皇は使節のメンバーと共に主の祈りを唱えた。□

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◎列聖省、聖イレネオへの「教会博士」称号付与案提出
【CJC】バチカン(教皇庁)列聖省は、リヨンの聖イレネオ司教殉教者に「教会博士」の称号を付与する案を教皇に1月20日提出した。バチカン・ニュースが報じた。

 教皇が、列聖省長官マルチェッロ・セメラーロ枢機卿と会見した際、同枢機卿は、列聖省メンバーの枢機卿・司教による定例総会で肯定的見解を得た、リヨンの聖イレネオ(司教殉教者)に「教会博士」の称号を付与する、という案件を教皇に提出した。

 聖イレネオは小アジアのスミルナ(現トルコのイズミル)に、130年から140年の頃に生まれた。早くから、当時のスミルナ司教で使徒ヨハネの弟子、ポリカルポから教えを受けた。リヨンの司教となり、202年頃、殉教した。

 教皇は同時に、フランチェスコ・サヴェリオ・トッピ大司教(イタリア、1925~2007)、マリア・テレザ・デ・ヴィンチェンティ修道女(イタリア、1872~1936)、ガブリエラ・ボルガリーノ修道女(イタリア、1880~1949)の英雄的徳を認める教令を承認した。□

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◎独カトリック教会の児童性虐待、「前教皇が対応怠る」=最新報告書
【CJC】ドイツのカトリック教会司祭らによる児童虐待に関する調査報告書の内容が1月20日、明らかになった。前教皇ベネディクト16世(94)が同国南部ミュンヘン司教区の大司教を務めていた際、4件の性的虐待への対応を怠ったと、報告書は指摘している。英BBCなど一般メディアが伝えたものをまとめて紹介する。

 この調査は、カトリック教会から委託を受けたドイツの法律事務所「WSW」が実施したもの。WSWは四つの事件について、ベネディクト16世が虐待に目をつぶっていたということで意見が一致した、と弁護士のマーティン・プッシュ氏は述べた。

 前教皇ベネディクト16世(本名=ヨゼフ・ラッツィンガー)は1977年から82年まで、独南部ミュンヘン司教区の大司教を務めていた。

 虐待行為はベネディクト16世の大司教在任中も続いていたとされ、告発された司祭たちは教会でそれぞれの職務を継続していたという。

 ベネディクト16世は対応を怠ったとの指摘を否定している。

 報告書について発表したマルティン・プッシュ弁護士は、「(ベネディクト16世の)大司教在任中に起きた(4件の)性的虐待のうち2件は、虐待行為として国が認めたもの」だと説明した。

 「いずれのケースでも、加害者はパストラルケアの活動を続けていた」。パストラルケアとは、地域社会の人々を訪問し、支援する活動などを指す。

 少年への虐待行為を告発されたペーター・フラマン司祭は、(ベネディクト16世の)ミュンヘン司教区に移動した後も、パストラルケアを続けていた。

 2013年、前教皇は体力の衰えを理由に退位した。存命中の教皇の退位は約600年ぶりだった。以降、名誉教皇としてヴァチカン市国で生活している。

 前教皇は法律事務所からの質問状に対し、数十ページにわたる回答を提出したと報じられている。回答書の中で調査への支持を表明した一方で、虐待疑惑は認識していなかった、対応を怠ったという事実はない、と主張したという。

 しかし、調査報告書には、虐待に関する話し合いの場に前教皇が同席していたことを強く示す議事録が含まれている。

 ローマ教皇庁(バチカン)は声明で、報告書が公表されれば詳細を確認するとした。

 「司祭による未成年者への虐待行為は恥であり遺憾だと、改めて表明するとともに、バチカンは全ての被害者への支援を表明する。未成年を保護し、彼らにとって安全な空間を保証していく」

 独カトリック教会での虐待をめぐっては、過去の報告書で、1946年から2014年の間に全国で3600人以上が司祭らから虐待を受けたとされている。被害者の多くは非常に幼い、ミサで侍者を務める少年たちだった。

 ミュンヘン・フライジング司教区に関する最新の報告書では、1945年から2019年の間に少なくとも497人が被害に遭っていたことが明らかになった。

 改革を訴えるカトリック団体『私たちは教会』はベネディクト16世に対し、ミュンヘン大司教時代に起こったことの責任を取るよう求めている。

 報告書は、前教皇のほか、ミュンヘン・フライジング司教区の現大司教、ラインハルト・マルクス枢機卿を含む教会関係者数人についても批判している。マルクス枢機卿は2件の虐待疑惑で対応を怠ったとされる。

 同枢機卿は昨2021年6月にすでに、明らかになりつつある虐待という「大惨事」に対する責任の一部を負うべきだとして、現教皇フランシスコに辞任を申し出ている。

しかし、教皇は辞任申し出を拒否した。辞任申し出の数日前、教皇は、カトリック教会の教会法典を改正し、性的虐待や児童ポルノの所持、虐待の隠蔽などを処罰の対象としている。□
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