長崎大司教区の失態と隠蔽構造:遅報(42)

 こんな「文春オンライン」が6/20に掲載されていたのを、偶然見てしまった。「前代未聞“カトリック3億円事件” 神父が信徒の献金を詐欺的投資で消失させていた!」(https://news.yahoo.co.jp/articles/f5782aeb77a55417aece482dec1d95bb31510607)。たぶんセクハラ問題の取材中に転がり出たのだろう。【引用元が抹消されていたので別のに書き変えました:続きは以下:「消えたカトリック教会の献金3億円。投資先は「アラブの石油プロジェクト」だった!:6/26(金) 」(https://news.yahoo.co.jp/articles/905c12fcc21875d0dfd8836afd327d5f2d9bbee2)】

 私はこれ自体にコメントする情報を持っているわけではないが、ローマ滞在時に、「長崎教区は信者献金で財政が豊かで、ローマへの派遣・留学神父の財布もたっぷりで、在ローマ日本人聖職者の集まりがあっても、僕らはバスで帰るわけだが、彼はタクシーなんだよ」とお仲間のはずの某有名修道会の神父さんがぼやいていたのを聞いたことがある。ローマカトリック教会の総本山ローマに派遣された長崎大司教区神父・神学生は、いずれ国内の司教とか要職に就く出世コースに乗っているので(いずれの修道会でもその事情は変わらないが)、誰もことを荒立てないようにしている雰囲気がそこにあったことを思い出す。

 よって,どの世界にも類似の構造は存在するが、チェック機構がチェックしないのではね。実はみなさんご同様のことこれまでしてるから窮鼠に旧悪暴露されないためにうやむやにしちゃったんでしょ、と痛くもない腹を探られてもしかたないかもですね。むべなるかな、むべなるかな。

【追記】遅ればせながら、サレジオ会神父から性的被害を受けた竹中勝美さんの以下のアピール(2020/8/16)を知ったので、長文ですが、勝手に転載します。

ーーーーーー

浦上天主堂前のチラシまきについての記者会見説明

          カトリック神父による性虐待被害者 エドワード竹中勝美

 本日,2020 年 8 月 16 日(日),長崎大司教区の事務局のある浦上天主堂の前で,チラシまきをいたしました.なぜ,このようなチラシをまいたのか,説明させていただきます.

 私は,2019 年 2 月 9 日に発売された月刊誌「文芸春秋」3 月号に,「バチカンの悪夢が日本でもあった!カトリック神父による小児に対する 性的虐待を実名告発する」という記事で,カトリック神父による性虐待を実名告発しました.

 さらに,2019 年 4 月 7 日,「カトリック神父の性虐待日本でも」と題した集会を,東京のオリンピックセンターで開催し,日本にもカトリック神父による性虐待があることを 訴えました.精神科医として性的外傷の治療に当たられている白川美也子先生が,「聖職者からの性虐待が子どもや女性に深刻なトラウマを与える」という話を,最新の知見をもとに,講演されました.

 その会場に,日本カトリックのトップである高見三明長崎大司教が来られました.集会の最後に,高見大司教が来場していることを知った司会者が,高見大司教を指名し,意見を求めました.高見大司教は,その場で,会場の参加者に向けて,「カトリック神父による性虐待の実態調査を行い,公表する」ことを約束されました.さらに,「言い訳にとられるかもしれないが」と前置きされ,「カトリック神父の性虐待だけでなく,すべての性暴力の問題に,日本カトリック教会として,取り組む」ことなどを,明言されました.

 そこで,私は,高見大司教の約束を反故にさせないためにも,高見大司教に近づき,「今の約束,確かに聞きました.カトリック神父による性虐待の調査と報告は当然のことですが,さらに,それを超えて,性暴力を受けた方に寄り添う,それこそ,カトリック者としてのあるべき姿だと思います.できることは,微力ながら協力します」と約束し,握手をしました.

 その握手をしている写真は,さも,日本のカトリック教会は,カトリック神父から性暴力を受けた被害者と和解し,神父による子どもへの性虐待の問題に取り組んでいる,という印象づけのために,利用されました.

 その後,神父から性虐待を受けたという相談が,いくつかありました.その中で,私が教会側の人間になったと誤解されている方が少なくないと知りました.そこで,あの握手の写真が,高見大司教をはじめ,日本のカトリック教会に巧妙に利用されたことに,気づきました.

 2019 年 9 月,高見大司教から,「調査の途中経過をお知らせしたい」との連絡がありました.彼は,わざわざ長崎から東京に出てきて,同月 24 日,東京の我が家においでくださり,途中経過を教えてくださいました.

 さらに,10 月 3 日,日本全国の司教と大司教が潮見のカトリック中央協議会に集まるので,そこで話をして欲しい,と依頼され,わたしは喜んで引き受けました.私の体験を含め,カトリック神父による性虐待の問題に対する対応について教会に求めることを,2 時間,話させていただきました.

 2019 年11 月,ローマ教皇が来日されました.私は,「ローマ教皇に,日本にもカトリック神父による子どもへの性虐待があることを,伝えてほしい」と高見大司教に会うたびに申し入れていましたので,当然,ローマ教皇に伝えてくださると信じていました.私は,TBS テレビの取材に,実名と顔をだし,そこでも,ローマ教皇に日本の性虐待の実態を伝えることを訴えました.

  ローマ教皇が来日された日には,羽田空港の出口や東京カテドラルの沿道に立ち,ローマ教皇の車列に向けて,“Catholic Child Sexual Abuse in JAPAN too”,「日本にもカトリック神父による性虐待被害者はいます.日本カトリック教会は,ローマ教皇に真実を公表してください」と書いた横断幕を掲示しました.教皇来日中に,バチカン市国大使館にも,手紙を投函しました.

 しかし,高見大司教が日本におけるカトリック神父による子どもへの性虐待をローマ教皇に伝えたというマスコミ報道は,まったくありませんでした.高見大司教は,約束を守る気はなかったようです.

 今年(2020年)1 月,カトリック神父による性虐待に関する調査結果が,カトリック協議会のホームページに,突然,掲載されました.その内容は,被害者の人数のみで,教区ごとの人数,被害の状況,被害を受けた年齢などは,まったく言及されていませんでした.

 高見大司教が我が家まで来て,わたしに約束したにもかかわらず,なんの連絡もなしに,報告書が掲示される — それも,被害者の数だけ.高見大司教ははなから私との約束を守る気はなかった,と言えると思います.

 高見大司教の口約束から 1 年経過した 2020 年 5 月,長崎大司教区の女性信徒から,神父による性暴力や調査担当者へのパワハラなどに関する相談が入りました.日本のカトリック教会のトップが,神父による性虐待の問題に関する〈信徒との〉約束を破る現実.相談窓口が,被害を訴える信徒の個人情報を集め,事件を隠蔽し,被害者を弾圧するために,利用されようとしている.

 その現実に唖然とし,日本におけるカトリック神父による性虐待の被害者の会の設立を呼びかけました.2020 年 6 月 21 日,長崎で緊急集会を行い,カトリック神父から性虐待を受けた被害者 4 人で,「カトリック神父による性虐待を許さない会」を立ち上げました.

 後日,NHK のニュースで分かったのですが,高見大司教は「被害者の会ができるのはいいことだ」と言ったそうです.だからといって,被害者の会と話し合うつもりもなく,体裁を取り繕っているだけだ,と,今までの言動から,思えます.

 長崎緊急集会から数日後,「許さない会」あてに,横浜教区の女性信徒から,「カトリック神父から性交渉を強要され,さらに,変質的なセクハラを受けたせいで,PTSD に悩まされている」との訴えが入りました.そこで,「許さない会」は,7 月 26 日,緊急オンライン集会を開催しました.

 そのオンライン集会では,被害者の方が,中央協議会のデスクやデスク幹部,16 教区の相談窓口や相談室の担当者など,さまざまな教会関係者が参加していることを知り,パニック発作を起こしました.そのため,急遽,二部制にし,第一部では,カトリック関係者を含めた一般向けの講演を行いました.第二部の被害者の訴えでは,被害者を守るため,カトリック教会の利害関係者(組織関係者)は,参加しないでほしい,退出してほしい,とお願いしました.にもかかわらず,カトリック関係者は,オンライン集会の場に居座ったり,名前を変えてまで第二部に入ってきたりしました.

 本当に被害者の方のことを考えるなら,被害者が苦しむことはしないはずです.被害者に寄り添うのではなく,被害者の情報を取るために,なりふり構わない行動をとる相談室の方の姿が見えました.

 被害者に寄り添う相談員を排除し,被害者の情報を取ろうとする聖職者や求道者の相談員などで構成される相談室では,本当の被害者支援は出来ません.そのような組織防衛のための相談室は,相談者にとっては百害あって一利なしです.

 そこで,今日 配ったチラシには,「神父から性虐待を受けた被害者に寄り添わない相談室は閉鎖を!」と表現させていただきました.

 なお,オンライン集会では,神父から性虐待を受けた女性信徒は,体調不良で,告発できませんでしたが,カトリック横浜教区に対する告発を準備しています.実は,横浜教区に,昨日,会から手紙をだしました.さらに,仙台教区でも,虐待が起きていました.

 チラシの裏面では,「信徒の浄財・教会建設資金 3 億円の紛失,長崎大司教区のトップの責任を問う」として,長崎大司教区における教会建設資金の投資の焦げつきについて,指摘しました.詳細は,文春オンラインの記事を読んで欲しいですが,教会建設費として信徒の浄財を積み立てていた 3 億円を,詐欺的投資に投入し,すべてが焦げついた,という事件です.この行為は,刑法で定める「背任罪」の疑いがあります.私は,詳細はまったく知らないのですが,関係者しか知りようがない具体的資料が出てきていることから,教区の内部にもこのことを問題視する良識ある関係者がいるのだろう,と思えます.

 かつて,長崎のカトリック信徒は,徳川幕府から弾圧や迫害を受けました.多くの信徒たちは,信仰を守って,殉教したり,隠れキリシタンとなって身を潜め,神父や司教が不在のあいだも信仰を守り続けました.その文化的背景が評価され,2018 年 7 月,「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として,世界遺産の指定を受けました.

 ところが,その長崎で,カトリック神父による性虐待を訴える信徒への弾圧や,教会建設資金の焦げつきが,よりによって,カトリック教会の聖職者によって行われています.

 潜伏キリシタンは,1644 年以降,国内にカトリックの司祭が一人もいない状況ながらも,密かにキリスト教の信仰を捨てずに,代々伝えていきました.司教や神父がいなくても,信仰を守り続けました.

 長崎大司教区の信徒の皆様に問いたいです.あなたたちが必要とするのは,信徒やその子どもに性虐待する神父なのですか? あなたたちが必要とするのは,教会建設資金を投資で焦げつかせる神父なのですか? あなたたちが信仰しているのは,それらの事件を隠蔽し,信徒を抑圧する大司教と神父ですか?

 私は,カトリック神父による子どもへの性虐待を告発すると決めたとき,祈りました.「それは教会に背く行為ではないか」と,迷いながら祈りました.そのとき,私の中に,ひとつの言葉が浮かんできました.それは,最後の晩餐のとき,キリストがユダに言った言葉です:「あなたのなすべきことをしなさい」.

 私は,いま,ひとつの迷いもなく,カトリック神父による性虐待の問題に,取り組んでいます.長崎大司教区の,いえ,日本中のカトリック信徒と司祭と司教に言いたいです:「あなたたちのなすべきことしてください」と.

カトリック神父による性虐待を許さない会

mail : STOP@CatholicSexualAbuse.jp

http://STOP.CatholicSexualAbuse.jp

Filed under: ブログ

No comment yet, add your voice below!


Add a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Comment *
Name *
Email *
Website

CAPTCHA