ボロが出だしたウクライナ側情報

 ウクライナ当局はこれまでさんざん非戦闘員の民間人、とりわけ子供への被害を映像を含めて訴えてジェノサイドなどと公言し(実際には皆殺しはしていない)、それに対して米欧日のマスコミはほとんど検証抜きでそのまま垂れ流ししてきたのだが(原発攻撃なんてのもその類いのフェイク)、ウクライナが一線を越えて「化学兵器」の使用を言い立て出したのには、さすがに米欧も「未確認情報」とコメントをつけざるをえなくなったようで、これはマウリポリ陥落目前となって、追い詰められたウクライナが焦りからなり振りかまわず無理なフェイクを叫ばざるをえなくなってボロを出し(実際、この情報はすぐに尻すぼみになってしまった)、そこまで軍事的に追い詰められてきたことの証しとなるはずだ。

 そうこうしてたら、これまで「ロシア軍」「ウクライナ軍」と十把一絡げに表現していたマスコミ(登場の専門家たち)も、ようやくウクライナ軍の中の問題児・極右勢力「アゾフ大隊」について触れざるを得なくなってきて、製鉄工場に籠城している彼らが民間人を楯にしている現実にも目をつぶっておれなくなり、マスメディア報道にちぐはぐさが生じ出しているように、私には思える(4/20放映のBS日テレの「深層NEWS」の担当キャスター右松はこれまで比較的よかったのだが、この日はコメンテーターから無理矢理自説に沿った見解を得ようと躍起になっていて、奇妙な具合だった)。たぶんコメンテーターとしては限られた報道時間内での発言で「これまで聞かれなかったので、触れなかっただけ」と弁解するに決まっているが、マスメディアも勝ち馬に乗り換える時期がきた気配を察知し出しているようで、まことに笑止千万なことである。彼らにとっては視聴率が至上命令という自己都合があるわけなのは明らかだが(ということは、視聴者が求めている「事実」を垂れ流せばいいわけだ)。

 それにしても単純無辜な我が国の庶民から救援金100億円集まったとのことだが、それは一体どのように使用されるのか、私は大変疑問視している。中にはとんでもない火事場泥棒の輩がいるはずだから(紛らわしい組織名の連中は言うまでもなく、大口の日赤やユニセフなんかだって今後の活動費と称して募金を内部留保しちゃってるらしいし)。政府も自衛隊で不用になったという名目で防衛備品を送るそうだ。その中には廃棄予定品ではないドローンや防弾チョッキも含まれているようで、本来これらの放出は紛争当事国には御法度のはずなんだが。ホントご親切なことである(https://ml.asahi.com/h/aokoaj86mYdolTab)。

 それなのに、ああそれなのに、我が愛する祖国の政府のやることは、いつもどおりなんともはやで、いまさらあきれることもできない絶望的状況だ。経済封鎖品目に肝心の天然ガスは入っていないし、飛行機飛ばしてたった20名たらずの難民を連れ帰って、本気でやっているとはまったく思えない(現地大使館の対応なんか人間味一つもないお役人仕事だ、今回も!:https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20220408/pol/00m/010/008000c?cx_fm=mailpol&cx_ml=article&cx_mdate=20220417)。

 佐々木俊尚(ジャーナリスト)「ウクライナ侵攻「正しい情報」見抜くプロの読む力」(https://article.auone.jp/detail/1/3/6/7_6_r_20220305_1646445624237679)を読んだ。彼がいう「読む力」が実際的に役に立つとは私には思えないが(論より証拠、開戦以前に軍事専門家は軒並み把握に失敗しているではないか)、単に自著の宣伝のつもりかもしれないが、ロシアも米欧も当然状況に応じて対抗策を講じるから紆余曲折はあって予測は不可能で、しかし戦争の勝敗の決着についてはそれなりに明快に示されるはずなので、彼の所説の正否はいずれ明らかになるであろう。

 私は東欧事情にも軍事にもド素人なので、戦闘の帰趨など分かりはしないが(申し訳ないが、せいぜい頭の体操レベル)、今次のロシアの主目的は最初から東部制圧であって、その意味でキエフ侵攻は本筋ではなく(そこでの脅しでゼレンスキー大統領がさっさと国外に逃げ出せばそれもよし、という観測があったにせよ)、戦術的な牽制・陽動作戦にすぎず、派遣ロシア軍も未熟なウラジオストックあたりの、演習気分で派遣されてきていた徴集兵主体の東辺部隊で、しかしそれによってウクライナ側も東西に兵力分散を余儀なくされ、それが現在の東部戦線の状況をもたらしているのではないかと想像しているのだが、どうだろう。

 ところで、これまでの情報戦でのウクライナ側の圧倒的優位は、すべてにかかって、民間業者イーロン・マスクが速攻で「スターリンク」を無償提供したことによる、らしい。これは従来の戦争では見られなかった現象と言わねばならない:https://news.yahoo.co.jp/articles/02fc84a64a11177ee98053a75b5422320e9e1397。国家の思惑などどこ吹く風とばかりに、圧倒的な大量の民間動画情報が発信され(もちろん、悪質なフェイクも含まれるが)、それがほとんど検証もされずに国際世論を動かすなど前代未聞の近未来型情報戦の登場である。

 フェイクニュースの横行と拡散を規制する対抗策がない現状では、しかしかつての流言飛語(関東大震災時を想起せよ)とどれほどの違いがあるというのか、はなはだ疑問とならざるをえない。かえって新コロナ対策で成果を収めた中共のように制度的な情報統制が強まるのは必至で、これがかえって民主主義を標榜する米欧においても情報分断を深める結果になりそうだと思っているのだが(目先の利害で動いてしまうのが庶民というもので、容易に衆愚政治となる)、どうだろう。その意味で、まずはフランスの大統領選がどうなるかだ。

 ところで監視カメラ設置数で世界一は英国らしい。それが恐るべき画面フェイクに繫がりかねないというドラマ「ザ・キャプチャー:歪められた真実」(2019年)を見た。ストーリーの設定が特殊すぎて一般論にはならないように私は思ったが、こういった監視システムを英国民は認めざるをえないとしたら、何も隣国中国を監視国家とあげつらってすむ問題ではないように私には思えるのだが。

 

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